F1 エミリア・ロマーニャGP
F1分析|角田裕毅、"10台抜き”10位入賞も優れなかったレースペース。今回の苦悩を糧に、前進を期待
角田裕毅(レッドブル)は、F1エミリア・ロマーニャGPの決勝で10位入賞を果たしたが、そのレースペースはかなり厳しいものであった。
田中 健一
編集: 2025/05/20 2:30
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Yuki Tsunoda, Red Bull Racing Team
写真:: Sam Bloxham / Motorsport Images via Getty Images
レッドブルの角田裕毅は、F1エミリア・ロマーニャGPで10位入賞を果たした。ピットレーンスタートからの入賞というのは素晴らしい結果だが、レース中のペースはかなり厳しいものであったことが分かる。
しかしそんな中でもしっかりとタイヤをマネジメントして1ストップで走り切ることを成功させたこと、そして好戦略と幸運もあり、角田は入賞を掴むことができた。
角田はピットレーンからスタートし、すぐに隊列に追いついた。しかし隊列の最後尾にいたオリバー・ベアマン(ハース)をオーバーテイクすることができず、そのまま周回を重ねていくことになった。そうこうしているうちに、10周目前後に最初のピットストップを終えていたマシンが後方から追いつき、角田は防戦を強いられた。特にマクラーレンのオスカー・ピアストリや、フェラーリのシャルル・ルクレールを少しでも抑え込むことは、チームメイトであるマックス・フェルスタッペンの勝利をサポートする上でも重要であった。
F1エミリア・ロマーニャGP決勝ギャップ推移分析:中団グループ
写真: Motorsport.com Japan
このグラフは、レース中の各車の首位からの差の推移をグラフ化したものである。赤丸で示した部分、角田はずっとベアマンに抑え続けられていた。そしてその間に青丸で示した部分で、ピアストリやルクレールに抜かれた。
ただ気になるのはその後、緑色の丸で示した部分で、角田とベアマンの差が広がっていることだ。これは、次のグラフを見ていただくとよく分かる。
F1エミリア・ロマーニャGP決勝レースペース分析:中団グループ
写真: Motorsport.com Japan
こちらのグラフは、レース中の各車のレースペース推移を示したものだ。赤丸で示した部分で、濃いピンク色の折れ線で示したベアマンが一気に1秒ほどペースを上げているのがよく分かる。この時のベアマンは、ウイリアムズ勢よりも速い秀逸なラップを刻んでいた。
このペースアップに角田はついていけなかったのが、グラフを見るとお分かりいただけるだろう(角田のペース推移は紺色の折れ線で示している)。
そんな中、ハースのエステバン・オコンがコース脇にストップしたことで、バーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言され、角田はここでピットストップ。スタート時に履いたハードタイヤから、ミディアムタイヤに交換した。
ここで角田にひとつの幸運が舞い込んだ。ハースはベアマンのタイヤ交換時にミスをしたのだ。
ベアマンも角田と同じVSC中の29周目にピットインし、タイヤ交換を済ませた。しかしホイールがうまく装着されていないことが発覚。VSCが解除された後の31周目に、再びピットストップすることを強いられた。
ベアマンにとっては、ペースを上げて安定して走っていた中でのVSC(しかも原因となったのはチームメイトだ)、さらにタイヤ交換ミスなど、短い期間で立て続けに不運に見舞われた格好となってしまった。
さて角田は、同じタイミングでピットストップをしたカルロス・サインツJr.(ウイリアムズ)にすぐに抜かれてしまうなど、やはりペース面では第一スティント同様苦しんだ。しかしその一方で、VSC中にピットストップを行なわなかったフェルナンド・アロンソやランス・ストロールらアストンマーティン勢を抜いてポジションを上げることができた。
そしてレース終盤、今度はアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がトラブルでストップしたことで、セーフティカー(SC)が出動。レッドブルはここで、角田をピットに呼び戻さない判断を下した。つまり1ストップ作戦でレースを走り切ることにしたわけだ。比較的新しいタイヤを履いていたマシンが追い上げてくるのは必至であり、ある意味賭けとも言えた。
これで角田は11番手をキープ。SC解除後には、同じ1ストップ戦略だったキック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグを抜いて10番手。最終盤には新しいタイヤを履いていたアロンソの追撃を凌いでチェッカー……10位1ポイントを手にした。
総じて言うならば今回の角田には、入賞を争うだけのペースは本来はなかったように思える。しかしベアマンを襲った不運、さらにはVSCとSCのタイミング、そして1ストップで走り切ることを決断した戦略により、1ポイントをまさにもぎ取ることができた。もちろんそこには、確実に1ストップで走り切ることを成功させた、角田自身のタイヤマネジメントも貢献したであろう。
予選での”不必要な”大クラッシュにより、角田は今回反省しきり。決勝後もその後悔を口にしていた。角田には今回の失敗を糧にして、次戦モナコGP以降の活躍を期待したい。
レッドブル昇格が決まった当時、角田は「プレッシャーをいっぱいかけて欲しい」と語っていた。彼なら、今の状況を乗り越えられるはずだ。
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