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大事なのは”格好いいこと”。ホンダが目指す『F1』の人気拡大策……そして来日ドメニカリCEOのプレッシャー。HRC渡辺社長「強い要望が寄せられている」

ホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長に、日本でのF1人気を引き上げる施策について尋ねた。

Max Verstappen, Red Bull Racing, Yuki Tsunoda, Red Bull Racing

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写真:: Red Bull Content Pool

 世界中でのF1人気は、年々盛り上がりを見せている。

 Netflixのドキュメンタリー番組で火がつき、アメリカを中心に人気が急上昇……かつては不毛の地とさえ言われたアメリカで、年間に3回もグランプリが開催されるようになった。1国1開催という原則などクソ食らえとばかりに同国での開催が増え、現在に至っている。

 そして2025年には”スーパースター”のブラッド・ピットが主演を務める映画『F1/エフワン』が公開され、これも大ヒット。ブランドとしての価値も大いに上がり、ルイ・ヴィトンやアメリカンエクスプレスをはじめとした、世界に名だたる企業とのパートナーシップを締結。2026年からは、泣く子も黙り笑顔になるディズニーとのコラボレーションも始まる。飛ぶ鳥を落としてさらに上を飛んでしまうような勢いである。

 しかし日本国内では同じような状況にあるとは言えない。たしかに今年のF1日本GPの観戦チケットは発売と同時に売り切れたし、角田裕毅のファンミーティングも1500人以上のキャパがあっという間に埋まる……しかし一般的にF1の話題が語られているとは、お世辞にも言い難い。テレビのスポーツコーナーでF1が取り上げられることは稀だし、お茶の間にF1の話題が上ることもほとんどないだろう。ある意味既存のファンのためだけのスポーツと言ってしまっては、言い過ぎであろうか?

 日本国内でのF1/モータースポーツ人気を高めるために、何かしなきゃいけない。そんなヒントになりそうなのが、昨年京都鉄道博物館で行なわれた『レーシング&レールウェイ ヒストリー』である。新旧の鉄道車両が林立する中にF1マシンが置かれる……その後継は異様ではあるものの、新鮮でもあった。F1/モータースポーツのファンにとっては、間近でF1車両を見られるという素晴らしい環境だったはずだ。しかしその一方で、鉄道車両を観に来たという人たちに、美しいF1車両をお見せできたというメリットもあった。こういうことは、新たなファンを生み出すきっかけとして、非常に重要なことであろう。

レッドブルRB16B、クハネ581、クハ489

レッドブルRB16B、クハネ581、クハ489

写真: Motorsport.com Japan

「鉄道車両とF1の色々な共通点を見つけてもらって、展示してもらいました。それがお客様に魅力として伝わったと思うし、私としても、こういうところが一緒なんだ……改めてそういうことを知ることができて、本当に楽しいイベントでした」

 そう語るのはホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長だ。この『レーシング&レールウェイ ヒストリー』は、HRCと京都鉄道博物館、そしてJR西日本のコラボイベント。大成功であった。

「こういうことは今後もぜひ継続したいですね。ホンダ側としてはそう思っているので、今後もお付き合いしていきたいと思います。今度、京都鉄道博物館の松岡(俊宏)館長とも、お食事をご一緒する予定になっています」

「そして、このイベントを実現していただいた、博物館の北野(高宏)さんにも、本当に感謝です。色々な方の努力があって実現して、それがファンの皆さんに届いたんだと思います」

Max Verstappen, Yuki Tsunoda, Liam Lawson, Isack Hadjar, Red Bull Showrun × Powered by Honda

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写真: Maruo Kono Red Bull Japan

 渡辺社長曰く、今後も鈴鹿だけでなく、東京をはじめとした別の場所で、新たなファンにF1の魅力を届けるためのイベントを実施していきたい……そして若い人たちにそれをアピールできるような施策を考えていきたいという。

「現時点で、飛び道具のようなものはないです。でもF1で言えば、鈴鹿でレースをやるだけではなくて、東京などでファンを増やす取り組み、若い人たちにもっと知ってもらうという取り組みをやっていくということについては考えています」

「まだお話しできるような段階ではないですが、若者をターゲットとしたイベントの開催であるとか、eモータースポーツに力を入れるとか、アパレルやアクセサリーなど、ありとあらゆるモノをやっていきたいです。そしてファッショナブルで格好いいHRCみたいなところの演出も必要だと思っています」

「昨年はF1日本GPの直前に、お台場でイベントを行ないました。昨年の反省も踏まえて、もっと若い人たちに、F1を中心としたメッセージが伝わるといいな……そういうイベントにしていきたいと思っています」

Formula One CEO Stefano Domenicali

Formula One CEO Stefano Domenicali

写真: Giuseppe Cacace - AFP - Getty Images

 近年ではFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)も、積極的に新しいファンを獲得するための策を講じている。前述の映画も、FOMの理解と協力がなければ、絶対に実現しなかっただろう。また昨年はF1創設75周年を記念して、全チーム合同での発表会を開催。さらにラスベガスでは、ミッキー・マウスによる噴水ショーまで実現させて見せた。F1のショーアップ化待ったなしの状況である。

 そのFOMを率いるのが、ステファノ・ドメニカリだ。ドメニカリCEOは、1月20日に東京都内で行なわれるホンダとアストンマーティンF1のパートナーシップ始動発表会に出席するために来日する。この行動には、日本やホンダに対する期待感が感じられる一方で、「日本でのF1人気拡大のために、もっと力を入れてくださいよ!」というプレッシャーも込められているように感じられる。

「私はグランプリに行くたびに、ドメニカリさんとミーティングをしています。そして1月にホンダとアストンマーティンのキックオフイベントをやりますよとお伝えしたことがあったんです。そうしたら『できれば私も参加したい』と仰ってくださったので、喜んでご招待させていただきました」

 そして実際、F1人気を高めることに対するプレッシャーは、ホンダにも鈴鹿サーキットにもかけられているという。

「ホンダに対しても、そして鈴鹿サーキットに対しても、F1人気をさらに高めていくことについての強い要望が来ています。人気が上がれば、それは我々にも跳ね返ってくることになりますしね」

 そう渡辺社長は言う。

「お互いで協力し合いながら、日本でのF1を盛り上げていきましょうということに合意しています。合意というか、同じ気持ちなんですよね。それで彼も、色々とサポートしてくれています」

「ホンダとしても私としても、ドメニカリさんのサポートに対しては本当に感謝しています」

 日本でF1人気が高まるためには、当然スター選手が日本から登場してくるのが一番の近道だ。しかしそれでは、そのドライバーにおんぶに抱っこなだけであり、その先には繋がらないかもしれない。

 しかし”格好いい”とか、”ファッショナブル”とか、そういう要素があれば、人気を定着させることもできるかもしれない。もちろん、若い人の琴線に触れるようなセンスの商品/プロジェクトでなければいけないだろうが。

 F1に復帰するホンダ、そしてそれを支えるHRCが、今後F1をどう使い、その魅力をどう伝えていくのか。注目してみるのもよろしかろう。

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