F1 オランダGP

F1分析|オランダでメルセデス勝利の可能性は皆無だった? 圧倒的ノリスのペース……そして”ベテラン”ハミルトンも忘れてはいけない!!

F1オランダGPを完勝したノリス。レースペースやタイヤ交換のタイミングは完璧であった。またハミルトンのペースも実に秀逸だった。

田中 健一

公開日時: 2026/08/26 11:27

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Lando Norris, McLaren

Lando Norris, McLaren

写真:: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images

 F1オランダGPを制したのは、マクラーレンのランド・ノリスだった。ノリスはこれで、ハンガリーGPに続き連勝。昨年王者が息を吹き返してきた。

 ノリスはまだ、首位アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)と比べると、83ポイントもの後れをとっている。しかしこのままの勢いでいけば……どんな結末になるのかは分からない。

 ただ連勝したとはいえ、オランダGPでのマクラーレンが圧倒的に速かったというわけではない。しかしひとつのピットストップのタイミングの差で、ノリスとアントネッリの勝敗が分かれた……という感じがする。それが、実質的な2回目のピットストップである。

 レースペースの推移を示した折れ線グラフをご覧いただこう。

F1オランダGP決勝レースペース分析(上位グループ)

F1オランダGP決勝レースペース分析(上位グループ)

写真: Motorsport.com Japan

 緑色の実線で示したアントネッリと、オレンジ色の実践で示したノリスは、第1スティントはほぼ同等のペースで走った。この時はアントネッリがミディアムタイヤを履いて首位、ノリスがソフトタイヤで2番手という関係性だった。

 両者は21周を走り切ったところでピットイン。いずれも新品のハードタイヤに履き替えた。ここでもふたりのペースはほぼ同じであった。

 しかし40周を走ったところで、メルセデス陣営が先に動いた。首位のドライバーが先に動くということは少ないが、アントネッリをピットインさせ、2セット目のハードタイヤを投入し、コースに戻した。

 ただノリスはこのアントネッリの動きに反応せず、周回を重ねた。実はこれが勝負の決め手だったように思う。

 グラフ赤丸の部分をご覧いただきたい。アントネッリとノリスは、いずれもハードタイヤに履き替えてから、徐々にペースが下落していた。つまりデグラデーション(タイヤの性能劣化)が大きかったということだ。そのためメルセデスは、ノリスも早々にピットストップするだろうと考え、それならば先にピットインして、いわゆるアンダーカットをしてやろうと思ったのではないだろうか。

 しかし思惑は外れた。

 前にアントネッリがいなくなった後のノリスはペースが下げ止まり、安定したラップタイムで周回を重ね始めた(グラフ青丸の部分)。そのため、この第2スティントを伸ばしていったわけだ。

 その結果ノリスが2回目のピットストップを行なったのは47周目。アントネッリよりも7周も先送りにした。これが効いた。

 新しいタイヤに履き替えると、ペースが上がるのが常だ。40周目にピットインしたアントネッリは、それ以前は1分16秒台後半で走っていたが、タイヤ交換を行なったことで1分15秒台後半までペースを上げた。一方のノリスは、7周後まで1分16秒台後半のペースを維持し、タイヤ交換後は1分14秒台前半に爆上げした。圧倒的ペース差を生んだのだ(グラフ緑丸とオレンジ丸の差を参照のこと)。

 当然アントネッリは一時ノリスの前に立ったが、その差は5秒ほど。タイヤのパフォーマンス差は大きく、すぐノリスに追いつかれ、攻略されると、そのままなすすべなくレースを終えた。

 もしアントネッリがもう少し第2スティントを伸ばすことができたならば、ノリスに対して勝ちを狙う算段もできたはずだ。つまり戦略失敗ということになる。しかしタイヤがもう限界であり、40周目に2回目のタイヤ交換をしなければどうしようもない……ということであったならば、いずれにしてもアントネッリに勝ち目はなかった。

 確かにデグラデーションの値は、今回のメルセデス勢は2台共に大きかった。これはメルセデスの弱点であり、今後解決できなければ、本当にタイトルを逃してしまうということにもなりかねない。

 タイトル争いにマクラーレンが加わってこようものなら、シーズン終盤は本当に面白くなるだろう。

■ハミルトンを侮るなかれ!

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes, Lewis Hamilton, Ferrari, Lando Norris, McLaren

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes, Lewis Hamilton, Ferrari, Lando Norris, McLaren

写真: Andy Hone/ LAT Images via Getty Images

 さて、レースペースを振り返ると、もうひとり注目しておきたいドライバーがいるのがわかる。それが、フェラーリのルイス・ハミルトンである。

 ハミルトンはやはりソフトタイヤでスタート。そして上位陣では誰よりも長い25周目までこのソフトタイヤで走った。その第一スティントの絶対的ペースはアントネッリやノリスに軍配が上がるが、デグラデーションの傾向に関して言えば、ハミルトンは群を抜いていた。

 その後ハードタイヤに履き替えた後も、絶対的ペースは、アントネッリが15周後にタイヤを交換した時と同等のペースであり(グラフ紫丸の部分)、その後のデグラデーションは実に小さい。

 これを見ると、もしハミルトンが1回目のピットストップをあと数周後ろ倒しし、実質的1ストップで走っていたならば、かなり上位に肉薄できていたのではないかという気がする。ひょっとしたら上位2台を凌駕できたようにさえ思える。

 ハミルトンはレース中、執拗に「ルクレールの前に行かせろ!」と訴え、レースが終わった後も、すぐに判断できなかったチームを痛烈に批判した。それも、かなりの手応えを感じていたことの反応なのかもしれない。

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