F1 中国GP

F1分析|中国GPをハードタイヤでスタートしたのは大失敗……しかしそれはあくまで結果論。戦略分けたアルピーヌのペースを分析

アルピーヌ勢はF1中国GPで戦略を分けた。コラピントはこれによりポジションを下げることになったが、ガスリーは6位に。このペース差を分析する。

田中 健一

公開日時: 2026/03/17 3:03

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Esteban Ocon, Haas F1 Team, Franco Colapinto, Alpine

Esteban Ocon, Haas F1 Team, Franco Colapinto, Alpine

写真:: Lars Baron / Getty Images

 F1中国GPの決勝レースは、タイヤ戦略が分かれるレースとなった。スタートタイヤは、全3種類に分かれたが、一体どれが正解だったのだろうか? 検証してみよう。

 中国GPのスタート時には、装着タイヤの選択が大きく分かれた。全22台中、ソフトタイヤが3台、ミディアムタイヤが10台、ハードタイヤが9台である。

 上位勢が履いたのはミディアムタイヤが中心。しかし10周目にランス・ストロール(アストンマーティン)がストップし、セーフティカー(SC)が出動したことで、レースが大きく動いた。

 今回のレースは56周であり、10周目というのはまだまだ序盤であった。しかし1ストップ戦略が主流になると見られていたため、ここでタイヤを変えてしまっていいのだろうかと、大いに悩まされたことだろう。SC中にタイヤ交換を行なえば、ピットストップのロスタイムを少なくすることができる。しかし残り周回数はまだ長い……。

 とはいえソフトタイヤやミディアムタイヤを履いていたマシンはここでピットインし、ハードタイヤに履き替えた。残り周回をハードタイヤで走り切ることに賭けたのだ。しかしそれとて、可能かどうか不透明という周回数である。

 一方でハードタイヤを履いていたマシンとしては、ここでタイヤを履き替えるわけにはいかなかった。たとえ少ないロスタイムでタイヤ交換できたとしても、残り周回をミディアムタイヤもしくはソフトタイヤで走り切るのは事実上不可能。2ストップを強いられることになるのは、火を見るよりも明らかだったからだ。そのためステイアウトすることになった。

 結局はこの判断、もしくはレーススタート時に履くタイヤで勝敗が分かれた部分があったと言える。つまり柔らかいタイヤ(ソフトかミディアム)でスタートしなければ、今回のレースは好結果を手にしにくい展開であったのだ。

 それを如実に表す好例がある。それは、アルピーヌの2台である。

2026年F1第2戦中国GP決勝レースペース推移:アルピーヌ

2026年F1第2戦中国GP決勝レースペース推移:アルピーヌ

写真: Motorsport.com Japan

 上のグラフは、アルピーヌ勢2台のレース中のペース推移を折れ線で示したものである。

 一見したところ、両者は終始同じようなペースで走った。これならば通常は、同じポジションを争っていたドライバー同士であるはずだ。

 しかし最終的な結果はピエール・ガスリーが6位、コラピントは10位。しかも両者は50秒近い差がつき、ガスリーは先頭と同一周回でフィニッシュしたのに対し、コラピントは1周遅れである。

 この差がついた理由が、前述のスタート時のタイヤ選択であった。実はガスリーはミディアムタイヤを履いてスタートした一方、コラピントはハードタイヤを履いてのスタートであったのだ。

 SCが出動した際、ガスリーはタイヤを交換。コラピントは交換しなかったため、2番手に浮上することになった。

 ガスリーはハースのオリバー・ベアマンの前を走っていた。しかしリスタート時、ベアマンはズバリとガスリーを抜き、さらに古いタイヤを履くコラピントとエステバン・オコン(ハース)を一気に抜き、これが最終結果5位につながった。

 一方でガスリーはコラピントとオコンの後に付き合わされるような格好となり、ペースを伸ばせなかった。この結果一時はベアマンに10秒ほどの差をつけられることとなり、5位を逃す結果となった。

 コラピントは、ハードタイヤでは秀逸なペースで走っていたものの、その後ミディアムタイヤに履き替える必要があり、32周目にピットイン。後方に落ちた。

 本来ならばミディアムタイヤは、ハードタイヤよりも圧倒的にペースが良いはずだ。差を縮めていくこともできただろう。しかしハードタイヤを履くガスリーと、ペースはあまり変わらなかった。これは何も、コラピントが悪かったわけではない。ハードタイヤがあまりにも良すぎたということではないだろうか。

 ミディアムタイヤには、どうしても徐々にデグラデーション(性能劣化)が生じている傾向があった。しかしハードタイヤに関しては一向にその傾向は見られなかった。これはガスリーだけではなく、その他のほとんどのドライバーも同様だった。なによりコラピントの最初のスティントのペースも、まさにそのような傾向にあった。

2026年F1第2戦中国GP決勝レースギャップ推移:中団グループ

2026年F1第2戦中国GP決勝レースギャップ推移:中団グループ

写真: Motorsport.com Japan

 こちらはレース中の差の推移を示したグラフである。こちらを見ていただくと分かりやすいと思うが、コラピントはSC出動中ではないタイミングでピットストップしたそのロスタイムを、ついぞ埋めることはできなかった。コースに復帰した直後には、オコンと接触してスピンするシーンもあった。

 さらにレース最終盤には、ペースが遅いウイリアムズのカルロス・サインツJr.に追いついたが、ミディアムタイヤのデグラデーションが始まっていたためかオーバーテイクを成功させることができず……10位が精一杯だった。

 結果的に見れば、ソフトタイヤもしくはミディアムタイヤでレースをスタートしていれば、ピットストップのロスタイムを稼ぐことができるため、成功だったと言えよう。一方でハードタイヤを履いてスタートしたのは失敗であった。

 ただ失敗とはいえ、これはあくまで結果論。もしレース終盤までSCが出なければ、ハードタイヤでスタートしたメリットを享受できていたはずだ。また、もし2台揃ってハードタイヤでスタートすることになっていたら……せっかく速さがあったのに、大惨事につながっていたかもしれない。

 そう、今回のアルピーヌは速かった。メルセデス、フェラーリに次ぐ位置にいたと言えよう。順位ではベアマンに先行されたが、これはリスタート時のベアマンが優れていただけであり、レース終盤にガスリーが追い上げていることを見れば、アルピーヌの高いパフォーマンスを実感できる。彼らは昨年、コンストラクターズランキング9位だったのだ。

 ただアルピーヌは、開幕戦ではそこまで秀逸なパフォーマンスを発揮していたわけはない。チーム別という意味では、8番目くらいだったように思える。それを考えれば、今季しばらくは、コースの特性によって勢力図がガラリと変わる、そんなF1が見られるのかもしれない。

 次は鈴鹿サーキットでの日本GP。世界屈指の難コースを制するのは、一体どのチームか?

 

関連ニュース:

 

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 F1、日本GP前にレギュレーション調整はなしか。メルセデス代表、政治的な”攻撃”を警戒

次の記事 セルジオ・ペレス「キノコが欲しい」F1新ルールの“マリオカート”揶揄、またしてもひとり参戦

More from

田中 健一



ついにF1デビューへ……平川亮の想い叶う。紆余曲折も、常に語り続けてきた目標が現実に「F1は夢」

F1

F1

メキシコシティGP

16 時間前

ついにF1デビューへ……平川亮の想い叶う。紆余曲折も、常に語り続けてきた目標が現実に「F1は夢」



フェルナンド・アロンソ、予選Q1でトラブル発生! 上位進出のチャンスを逃す「想像を絶するほど悔しい」

F1

F1

メキシコシティGP

19 時間前

フェルナンド・アロンソ、予選Q1でトラブル発生! 上位進出のチャンスを逃す「想像を絶するほど悔しい」



勝たなきゃいけない……ハミルトンとラッセルがフロントロウに並ぶ。初予選平川19番手。アロンソ、トラブルに激怒|F1メキシコシティGP予選

F1

F1

メキシコシティGP

22 時間前

勝たなきゃいけない……ハミルトンとラッセルがフロントロウに並ぶ。初予選平川19番手。アロンソ、トラブルに激怒|F1メキシコシティGP予選

More from

ピエール ガスリー



ガスリー、悪夢のシンガポールGP……マシンの挙動に苦しみ無得点「アクセルを踏むとマシンが横滑りしちゃうんだ」

F1

F1

シンガポールGP

17 日前

ガスリー、悪夢のシンガポールGP……マシンの挙動に苦しみ無得点「アクセルを踏むとマシンが横滑りしちゃうんだ」



これまでのシンガポールGPとは一味違う? 初のスプリント開催という”挑戦”に、ドライバーたちはワクワク

F1

F1

シンガポールGP

23 日前

これまでのシンガポールGPとは一味違う? 初のスプリント開催という”挑戦”に、ドライバーたちはワクワク



アルピーヌ、コラピントの“懲罰交代”はナシ「確かにブリアトーレは怒っていた。でも全面的にサポートしてくれている」

F1

F1

バーレーンGP

30 日前

アルピーヌ、コラピントの“懲罰交代”はナシ「確かにブリアトーレは怒っていた。でも全面的にサポートしてくれている」

More from

アルピーヌ



平川亮、ブラウニングら多数のルーキードライバーがF1メキシコシティGPのFP1出走へ。ミニは公式セッション初登場

F1

F1

アメリカGP

4 日前

平川亮、ブラウニングら多数のルーキードライバーがF1メキシコシティGPのFP1出走へ。ミニは公式セッション初登場



誹謗中傷に声を挙げたコラピント、自身を揶揄するブラックジョークを意に介さず「この状況を改善したい。みんなの力が必要だ」

F1

F1

アメリカGP

4 日前

誹謗中傷に声を挙げたコラピント、自身を揶揄するブラックジョークを意に介さず「この状況を改善したい。みんなの力が必要だ」



一線を越えた誹謗中傷に”最後の手段”。自身の思いを明かしたコラピント「これは、どこにでもある問題なんだ」

F1

F1

アメリカGP

9 日前

一線を越えた誹謗中傷に”最後の手段”。自身の思いを明かしたコラピント「これは、どこにでもある問題なんだ」

最新ニュース



2歩進んで1歩下がる……苦しい現状のマクラーレンにとって「今が大事な時期」とピアストリ

F1

F1 F1

メキシコシティGP

8 時間前

2歩進んで1歩下がる……苦しい現状のマクラーレンにとって「今が大事な時期」とピアストリ



MotoGP、ヤマハのカタールGP欠場は「遺憾に思う」ペナルティの可能性も警告。一方で他チームは参戦確認とも強調

MotoGP

MGP MotoGP

マレーシアGP

9 時間前

MotoGP、ヤマハのカタールGP欠場は「遺憾に思う」ペナルティの可能性も警告。一方で他チームは参戦確認とも強調



ピアストリ、まさかのQ2敗退はタイヤが原因?「グリップがまったくなかった。決勝の追い上げは難しい」

F1

F1 F1

メキシコシティGP

9 時間前

ピアストリ、まさかのQ2敗退はタイヤが原因?「グリップがまったくなかった。決勝の追い上げは難しい」



ヤマハ、MotoGPカタールGPを欠場。緊迫する中東情勢を考慮し独自の決断

MotoGP

MGP MotoGP

マレーシアGP

10 時間前

ヤマハ、MotoGPカタールGPを欠場。緊迫する中東情勢を考慮し独自の決断

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録