ホンダ浅木泰昭、レッドブルF1用PU開発は1月から新LPLに引き継ぎ「後輩たちがしっかりしたモノを作ってくれるはず」

昨年までホンダのF1パワーユニット開発を率いてきた浅木泰昭氏は、今も引き続きHRD Sakuraのセンター長を務めているが、1月1日からはレッドブル・パワートレインズ用のPU開発を、後任のLPLに引き継いだという。

Red Bull Racing RB16B engine detail

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Giorgio Piola

 2021年限りでF1活動を終了したホンダ。そのホンダのF1パワーユニット(PU)開発を率いてきた浅木泰昭(本田技術研究所 HRD Sakuraセンター長)に話を聞いた。

 浅木はホンダがF1活動を終了した後も、HRD Sakuraのセンター長を引き続き務めているが、F1プロジェクトのLPL(ラージ・プロジェクトリーダー)の役割は、後任に任せたという。

「今もHRD Sakuraのセンター長を務めています。昨年まではF1プロジェクトのLPLも兼任していたんですが、1月1日をもって、新しいLPLに移管しています」

「今後は直接開発には関わらないようにしようと思います。見ていられなくなったら、何かやるかもしれませんけどね(笑)。でもそんなことにならないよう、後輩たちがしっかりしたモノを作ってくれると信じています」

 現在の役割について、浅木はそう語ったが、2022年にレッドブル・パワートレインズが使うPUに関しての開発はすでにほぼ完了しているという。

「細かい部分とか、問題があれば修正するということは、常にあります。しかしコンセプトというか、基本的な部分は昨年のうちに終わらせておかないと、シーズンに間に合いませんからね」

 では2022年のパワーユニットは、2021年型”ホンダRA621H”とはどんなところが変わるのか? 浅木センター長は、新たに導入されるE10燃料(従来のガソリンに、バイオエタノールを10%混合した燃料)への対応が最も大きいと語る。

「E10燃料への対応が、もっとも大きい。それに尽きると思います。エンジンの骨格はもう新しくしてしまっています(ホンダは当初2022年に投入する予定だった新骨格のエンジンを、F1活動終了の決定を受けて1年前倒しし、2021年シーズンに投入した)。ですので、E10燃料でベストと思われるパフォーマンスを引き出すための変更を行なったということになります」

 そう浅木センター長は語る。

「E10燃料になると、同じ重量で持っているパワー、カロリーが減ってしまいます。それが、アルコール燃料の特性です。ただその一方でノッキングという異常燃焼(スパークプラグによる点火とは関係なく、燃料が燃えてしまうこと)があるんですが、その抑制は楽になります」

「最大効率を発揮することを目指すわけなんですが、E10燃料だとエンジンのパワーも減るし、発電量も減ってしまいます。ですので、そのバランスを検証してきたということになります」

 E10燃料によってどのくらいパワーに影響を及ぼすのか? そう尋ねると、浅木センター長は「秘密」としながらも、次のように語ってくれた。

「それは秘密ですね。他社は昨年並みと言っているようですが、逆にそういう発表をするということは、昨年並みのパワーを出すのは苦しいということなんだろうなと思います」

 浅木センター長は、再びホンダがF1を戦うのを見たいと語る。

「個人的には私も見たいですね。レギュレーションを含め、会社の方針と一致する時が来れば、止める理由はないですからね」

「今後HRCになること(今後のホンダのモータースポーツ活動は、これまで二輪のレース部門だったHRC/ホンダ・レーシングに、四輪部門も含めてまとめられる)で、今後も可能性を検討し続けることができるかもしれません。本田技術研究所としてやるならば、もっと他にやることがあるとされてしまう場合もありますから」

「HRCとして、カーボンニュートラル燃料の開発を進めつつ、世の中の動きを待つと同時に、レース界全体がそういう動きになるよう働きかければいいのではないかと思います」

 
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