激しいバトルにさようなら? マクラーレンCEO、F1の過剰なペナルティ付与に「悪しき前例が作られた」
マクラーレンのCEOであるザク・ブラウンは、ライバルが横へ並んできた場合、ドライバーは“マシンを停めて“抜かさせなければならないという悪しき前例をF1が作ったと警鐘を鳴らした。
写真:: Zak Mauger / Motorsport Images
F1第9戦オーストリアGPでは、ライバルをコース外へ押し出したとしてタイムペナルティが付与されるケースが相次いだ。この事を受け、マクラーレンのザク・ブラウンCEOはF1では激しいバトルがもはや許されなくなるのではないかと懸念を表した。
マクラーレンのランド・ノリスは2番手につけていたレース序盤、セーフティカー明けの4周目ターン4でイン側を走っていたが、アウト側からオーバーテイクを試みたセルジオ・ペレス(レッドブル)が行き場を失う形となり、ランオフエリアのグラベルへ飛び出した。
ふたりは接触していないものの、ノリスには5秒のタイムペナルティが科された。ノリスはピットストップのタイミングでこのペナルティを消化したため、バルテリ・ボッタス(メルセデス)に2番手の座を明け渡し、3位でチェッカーを受けた。ノリスは自身4度目の表彰台に登ったが、ペナルティが無ければ「2位に成り得た」と不満を見せた。
こうした裁定処分を受け、仮にコーナーの入口で並びかけられたノリスがペレスに道を譲らなければならなかったのならば、バトルのルールが完全に変わってしまうのではないかとブラウンは恐れている。
Motorsport.tvの特別インタビューに対し、ブラウンはこう語った。
「これによって今は、誰かの横に並ぶだけで相手がマシンを停めてくれるという前例が作られた。ああいう形でレースをするのは非常に難しくなったと思う」
ブラウンは、なぜノリスがこのインシデントによってペナルティに値すると判断されたのかを未だ理解できないとし、現在のFIAの姿勢に賛同するドライバーは少ないと語った。
「ナンセンスだと思った」と彼は言う。
「私がモータースポーツの世界に入ってから約35年になるが、アウトから仕掛ける時、特に1周目は『抜く者が注意しろ』とされてきた」
「50年もの間、ホイール・トゥ・ホイールのレースは素晴らしいものだとされてきた。しかし同時に、コーナー出口ではスペースが残されていないかもしれないというリスクも伴う」
「堅実かつハードなレースで、素晴らしいと私は思った。時々我々はドライバー達にバトルをさせる必要があると思う。彼らが安全かつリミットを越えないレベルで走れるようにする必要があるのだ」
Lando Norris, McLaren MCL35M
Photo by: Alessio Morgese
「私が聞く限り、あれを単なるクリーンな良いバトルだと思わないレーシングドライバーは世界中探してもいないと思う。アウト側から抜きにかかれば、そのリスクを負うことになる」
ブラウンは、近年のF1には行き過ぎたペナルティが横行しているため、レースの見応えが損なわれていると考えている。
「モータースポーツは長い歴史を持っているが、最近までこうしたペナルティはなかった」と語った。
「F1を始め、様々なモータースポーツを見て育った私の記憶の中では、バトルは素晴らしくかつ厳しいもので、インシデントもあった」
「でも見ての通り、相手に充分なスペースを空けなかったから5秒のペナルティというのは、5〜15年前では存在していなかったし、そうしたバトルも許されていた。だから、なぜコース上の動きを過剰に取り締まる必要があるのか今一理解できない」
「もちろん危険なことをしていれば別だが、あの動きが危険だとはまったく思わなかった。あれは良いバトルだった」
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