Nostalgia

美しきF1マシン:エイドリアン・ニューウェイが手がけた最初のチャンピオンマシン。”最強マシン”の代名詞……ウイリアムズFW14B

アストンマーティンに加入することが決まったエイドリアン・ニューウェイ。彼が最初に手がけたチャンピオンマシンは、1992年シーズンを席巻したウイリアムズFW14Bだった。車体こそ前年モデルの正常進化版だが、様々なハイテクデバイスを搭載し、圧倒的な強さでダブルタイトルを手にした。

Nigel Mansell, Williams FW14B Renault, celebrates winning the drivers World Championship
Nigel Mansell, Williams FW14B Renault
Nigel Mansell, Williams FW14B Renault
Nigel Mansell, Williams FW14B Renault, at Loews Hairpin
Nigel Mansell, Williams FW14B Renault, raises his arm as he crosses the line
Nigel Mansell, Williams FW14B
Nigel Mansell, Williams FW14B
Mechanics work on a Williams FW14B Renault in the pits
Ayrton Senna, McLaren MP4/7A, Nigel Mansell, Williams FW14B
Podium: winner Nigel Mansell, Williams, second place Riccardo Patrese, Williams
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 アストンマーティンF1に加入することが決まった、エイドリアン・ニューウェイ。これまで数々のチャンピオンマシンを手がけてきた天才的デザイナーであり、その加入によりアストンマーティンのパフォーマンスが一気に上がることにつながるのではないかと言われている。しかも新しい巨大なファクトリーや風洞も完成し、新レギュレーションが施行される2026年からはホンダのワークスパワーユニットを手にすることになっており、期待感が高まるのは当然とも言える。

 そのニューウェイが手がけたマシンが最初にチャンピオンとなったのは、1992年のことである。

 ナイジェル・マンセルとリカルド・パトレーゼがドライブしたFW14Bは、前年マシンFW14の正常進化版である。ただ最大の違いは、リ・アクティブサスペンションと呼ばれるハイテクデバイスを搭載していたことだ。

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 アクティブサスペンションは、路面からの入力をサスペンションが能動的に動くことで受け止め、車体の姿勢変化をコントロールするというデバイス。1980年代前半にロータスが初めて使った。ウイリアムズも1980年代後半に採用したが、一時採用を中止し、その間に開発を進め、FW14Bに搭載された。ただ、ウイリアムズやロータスが80年代に使ったモノは油圧コントロールのみで車体をコントロールしていたが、FW14Bに搭載されたのはこのアクティブサスペンションと通常のパッシブサスペンションの両方の特性を併せ持ったモノ……ゆえにリ・アクティブサスペンションと呼ばれた。

 このリ・アクティブサスペンションは、ニューウェイデザインの空力デバイスを効果的に活かすためのモノだった。前述の通り油圧でサスペンションを動かすことで車体と路面の間隔を保ち、グラウンド・エフェクト効果を安定させて一定のダウンフォースを発揮し続けた。その結果、FW14Bは路面を滑るように走った。

 なお2024年のF1マシンは、グラウンド・エフェクトカーになったことで路面と車体の間隔を一定に保つことに苦労している。このアクティブサスペンションがあれば、おそらくものすごいパフォーマンスを発揮することだろう。

 話をFW14Bに戻そう。このFW14Bにはセミオートマチック・ギヤボックスやトラクションコントロールなど、他にも様々なハイテクデバイスを搭載。圧倒的な強さを見せた。

 中でもマンセルは、16戦中9勝を挙げ、第11戦ハンガリーGPの時点で早々に同年のタイトルを決めた。確かに9勝という数字も素晴らしいが、特筆すべきはポールポジションの獲得回数である。マンセルはカナダとハンガリー以外の14戦でポールポジションを奪取。ハンガリーではチームメイトのリカルド・パトレーゼがPPを取っており、16戦中15戦でFW14Bが予選最速だったのだ。

 なおこのFW14Bが倒したのは、前年まで4年連続でダブルタイトルを獲得していたマクラーレン。当時のマクラーレンのマシンには、ホンダのエンジンが搭載され、そのパワーを武器に最強を誇った。今度はニューウェイとホンダが結果的に手を組む……それも何かの運命だろうか?

 

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