日本のF1ファンが選んだ”あなたの好きなフェラーリ”ベスト10。圧倒的得票数で1位に輝いたマシンはこれだ!
motorsport.com日本版の読者の皆様からお寄せいただいた、”好きなフェラーリ”投票。本稿ではそのベスト10台をご紹介。圧倒的な得票数で、あの1台がベスト1台に輝いた。では、第10位からご紹介していこう。
10位タイ:フェラーリF1-2000(2000年)
「シューマッハー+フェラーリ、黄金期の始まり」9票
Michael Schumacher, Ferrari F1-2000
Photo by: Motorsport Images
ミハエル・シューマッハーが、2000年に自身3度目、フェラーリのドライバーとしては初めてのドライバーズタイトルを獲得した時の愛車である。
シーズン開幕3連勝を果たしたシューマッハーだったが、シーズン中盤にはリタイアが相次いだ。この間に、1998年、1999年と2年連続でドライバーズタイトルを獲得していた最大のライバル、ミカ・ハッキネンが猛追し逆転する。ただシューマッハーは、イタリアGPから連勝。結局1戦を残した日本GPでこの年のタイトルを決めた。フェラーリとしても、1979年以来のタイトル獲得となった。
ハッキネンとの激しいタイトル争い、そしてフェラーリ+シューマッハー黄金期の始まりという声が多数寄せられた1台である。
10位タイ:フェラーリ312T4(1979年)
「水平対向12気筒エンジン最高傑作」:9票
Jody Scheckter drives the Ferrari 312T4 he won the 1979 World Championship with
Photo by: Simon Galloway / Motorsport Images
フェラーリが1979年に投入したマシン。前年、グラウンド・エフェクトカーであるロータス79に敗北したフェラーリが、満を持して投入したフェラーリ初のグラウンド・エフェクトカーである。
ジョディ・シェクターとジル・ビルヌーブがドライブし、いずれも3勝ずつを挙げ、シェクターがドライバーズタイトルを獲得。チームもロータスからコンストラクターズタイトルを奪取することに成功した。
寄せられたコメントの多くは「水平対向12気筒エンジン搭載車の中で最高のマシン」という評価だった。
ただ翌年のフェラーリは、この312T4の進化版312T5を投入したが低迷。シェクターとビルヌーブのコンビでわずか8ポイントしか獲得できず、コンストラクターズランキング10位と、フェラーリ最悪のシーズンを過ごすこととなる。
9位:フェラーリF2003-GA
「シューマッハー、最多王者記録更新」:10票
Michael Schumacher, Ferrari F2003-GA
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
2003年の第5戦スペインGPから投入されたF2003-GA。発表直前に亡くなった元フィアット会長のジャンニ・アリエリのイニシャルをつけ、車両名の最後に”GA”とつけられた。
シーズン序盤は前年マシンの改良版F2002Bを使ったフェラーリ。しかし第4戦サンマリノGPでは優勝したものの、マクラーレン勢の後塵を拝するレースが続いた。そして第5戦から、新車F2003-GAが投入された。
2002年は圧倒的な強さを誇ったフェラーリだったが、この年はそれほどの強さを見せることはできなかった。しかしミハエル・シューマッハーは通算6勝を挙げ、マクラーレンのキミ・ライコネンを2ポイント差で退け、4年連続のタイトル獲得を決めた。
みなさんからお寄せいただいた声の中には、「シューマッハーがチャンピオン獲得記録を更新した1台」との声があった。確かにそのとおり、シューマッハーはこの年、ファン-マヌエル・ファンジオが持っていた5回というチャンピオン獲得回数の最多記録を更新する6回目のチャンピオンに輝いた。そして翌年には7度目のチャンピオンも獲得。今もルイス・ハミルトンと共に7回という最多チャンピオン記録を保持している。
7位タイ:フェラーリ412T2(1995)
「アレジ、歓喜の初優勝。そして唯一の勝利に……」:13票
Jean Alesi, Ferrari 412T2
Photo by: Motorsport Images
1991年から1993年まで、3年連続で未勝利に終わったフェラーリ。前代未聞の暗黒時代を過ごしていた。しかし1994年に投入された412T1は高いパフォーマンスを見せ、表彰台の常連となった。そしてドイツGPではゲルハルト・ベルガーがトップチェッカー。フェラーリに1990年の第14戦スペインGP以来となる優勝をもたらした。
その412T1の後継機となったのが412T2である。
1995年からレギュレーションが変更され、エンジンの最大排気量が3500ccから3000ccへと引き下げられた。しかしフェラーリは引き続きV12エンジンを使用することを選択。ジャン・アレジとベルガーが前年に引き続きドライブを担当した。
この1995年も序盤から安定して表彰台を獲得。そして第6戦カナダGPでは、ライバルの脱落にも助けられ、シーズン初優勝。これがアレジにとってF1キャリア唯一の優勝ということになった。
ただその後は表彰台を手にしたり、ポールポジションを獲得することもあったが2勝目を挙げることができず、2年連続でシーズン1勝に終わった。
やはりアレジの優勝がみなさんの記憶に色濃く残っているようで、「アレジの勇姿が忘れられない」「もっとも敬愛するアレジの優勝マシン!」との声が多く寄せられた。
7位タイ:フェラーリ312T2(1976年)
「日本で初めて走ったフェラーリF1」:13票
Niki Lauda, Ferrari 312T2 leads James Hunt, McLaren M23
Photo by: Motorsport Images
1975年に登場した312Tシリーズのうちのひとつで、1976年から78年まで、3シーズンにわたって使われた。その間、ニキ・ラウダやカルロス・ロイテマン、ジル・ビルヌーブら錚々たるドライバーがドライブ。76年と77年にはコンストラクターズタイトルを獲得。また77年にはラウダがチャンピオンを手にした。
1976年は、日本で初めてF1が開催された年(F1 in ジャパン)であり、その時のフェラーリがこの312T2。そのため、印象に残っていらっしゃる方が多いように見受けられる。
パフォーマンスの面ではウイングカーであるロータス78や、6輪車ティレルP34といったライバルもいた。しかしながら信頼性を武器に好結果を手にした。
6位:フェラーリF92A(1992年)
「美しすぎる”駄馬”」:14票
Jean Alesi, Ferrari F92A
Photo by: Motorsport Images
読者の皆様の中にはマニアックな方が数多くいらっしゃる……このF92Aが6位なんていう順位に入ってくるのは、その証拠だと言える。優勝なんてもちろんゼロ回。最高位は3位と、シーズンを通じてパフォーマンスの面で苦しんだ1台……なのになんで投票するんですか! と言いたいが、その気持ちはよくわかる。筆者がもっとも好きなフェラーリもこのF92Aだ。
フェラーリとしては最初のハイノーズマシン。そしてジェット戦闘機のようなサイドポンツーン。さらにはフロアが2重になり、ディフューザーを最大限にまで活用しようとした”ダブルフロア”。数々の意欲的なデザインが施された1台である。
しかし遅かったし、よく壊れた。ウイリアムズやマクラーレン、ベネトンにも太刀打ちできず、時にはロータスやティレルに追い回されることもあった。そんなマシンを、特にジャン・アレジがねじ伏せるようにドライビング。雨のスペインと、波乱のレースとなったカナダで表彰台を獲得した。
ただこのマシンの最大の弱点は実はエンジンにあった。空力的には実は優れており、良いエンジンさえあれば勝つことも夢ではなかったとも言われる。しかしエンジンを槍玉に上げることは当時のフェラーリではタブーであり、車体側に問題が押しつけられた。そして、ギヤボックスを縦置きから横置きに変更(F92AT)したことでダブルフロアの効果がスポイルされてしまい、さらに戦闘力が低下した。
「駄馬と言われてますけど、スタイリングは一番美しい」といった声が多く寄せられた。好成績は残せませんでしたが……やっぱり格好よかったですよね。
5位:フェラーリF2002(2002年)
「シューマッハー最強。なんと全戦表彰台」19票
Michael Schumacher, Ferrari F2002
Photo by: Motorsport Images
シューマッハーの最強時代は、おそらくことの年だろう。
開幕戦で優勝したシューマッハーは、第2戦マレーシアGPで3位。そして第3戦ブラジルGPでこのF2002が投入された。するとその後は連戦連勝。最終戦まで、優勝10回、2位5回……つまりすべてのレースを2位以上でフィニッシュしてみせたのだ。旧車の改良版F2001Bを走らせた開幕2戦も表彰台を手にしているから、この年のシューマッハーは全レース表彰台という信じられないような結果を実現してみせたのだ。
チームメイトのルーベンス・バリチェロも4勝、2位5回。シューマッハーも速かったが、マシンも速かった証拠と言えよう。
読者の皆様から寄せられた声も、やはり”シューマッハーの圧倒的な強さの象徴”という意見が多数あった。
4位:フェラーリF2007(2007年)
「ライコネン王者を後押しした美しい1台」26票
Kimi Raikkonen, Ferrari F2007 leads Lewis Hamilton, McLaren MP4/22
Photo by: Sutton Images
ミハエル・シューマッハーが引退(1度目)した後に加入したのが、”フライングフィン”キミ・ライコネンであった。そのライコネンに唯一のタイトルをもたらしたのが、このF2007である。チームもコンストラクターズタイトルを手にしており、ダブルタイトル獲得となった。ただこのダブルタイトルの裏には、あるドラマがある。
この年速さを見せたのは、マクラーレンだった。2005年と2006年にチャンピオンを獲得し、脂が乗った新加入のフェルナンド・アロンソと、新人ルイス・ハミルトンのコンビ。ただふたりの不仲もあり、取りこぼすレースもいくつかあった。またスパイゲート事件があり、マクラーレンのコンストラクターズポイントは剥奪されることになった。
ライコネンはハミルトン、アロンソと激しいタイトル争いを繰り広げたが、終盤4戦中3勝を挙げて逆転で王者獲得。アロンソ、ハミルトンとのポイント差はわずか1だった。
カラーリングは赤基調ながら、メタリックなモノに変更された。また当時は空力パーツが厳しく規制される最終晩年だったこともあり、サイドポンツーンやバージボード、前後のウイングが実に複雑な形状となった。またホイールには、タイヤの動きに合わせて回転しないホイールカバーを装着し、気流を制御した。
ライコネンファンからの票は、このF2007に集中した感がある。
3位:フェラーリF2004(2004年)
「シューマッハー最強伝説Part2。最多勝記録樹立」:30票
Michael Schumacher, Ferrari F2004 leads Juan Pablo Montoya, Williams BMW FW26
Photo by: Sutton Images
ミハエル・シューマッハーが最後にチャンピオンを獲得した時の愛機F2004が4位にランクインした。
この年のシューマッハーは連戦連勝で、第13戦ハンガリーGPまでに12勝。結局シーズン13勝を挙げ、2022年にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に更新されるまで、シーズン最多勝記録だった。
チームメイトのルーベンス・バリチェロは2勝に終わったものの、2位7回、3位5回と安定して表彰台を獲得。その結果このF2004は、全戦で表彰台を獲得するという離れ業を演じた。
寄せられた意見も、やはり「シューマッハーの黄金期」とか「速くて壊れなくて美しい」というモノが多かった。
2位:フェラーリ640(1989年)
「セミオートマ投入。歴史上欠かせない」:31票
Nigel Mansell, Ferrari 640
Photo by: Motorsport Images
1位となった641/2の前年、1989年のF1を走ったのがフェラーリの640で、これが今回の読者投票2位となった。
641/2同様、美しいサイドポンツーンの形状が目を引く1台であり、高い人気を集めた。それ以上にこのマシンで特筆すべきなのは、セミオートマを採用した最初のF1マシンであるということ。それまでのF1では、ステアリングから片手を離し、シフトレバーを操作していた。しかしこの640に搭載されたセミオートマなら、ステアリングを両手で握りながらギヤチェンジを行なうことができた。
ただ信頼性には乏しく、リタイア連発。16戦中、ナイジェル・マンセルとゲルハルト・ベルガーがチェッカーを受けたのは9回のみだった。ただそのチェッカーすべてが表彰台……速いが脆いを地で行った1台だった。
ただセミオートマは後のトレンドとなり、現在に至る。F1の歴史を語る上で欠かせない1台と言えるだろう。
1位:フェラーリ641/2
「最も美しく、最もセクシーなフェラーリ」:80票
Alain Prost, Ferrari 641
Photo by: Ercole Colombo
圧倒的な得票数で読者の皆様から”一番のフェラーリ”に選ばれたのは、1990年のF1を走った641/2だ。
1990年、フェラーリはニューマシン641を開幕戦に投入。その後、エンリケ・スカラブローニやスティーブ・ニコルズの手によるアップデートが施され、第3戦目に登場したのが641/2である。
この年は前年のチャンピオンであるアラン・プロストがマクラーレンから加入。そのため、カーナンバーは当時のフェラーリ伝統のナンバーである27&28から、1&2(ナイジェル・マンセル)に変わった。
サイドポンツーンが綺麗な曲線で形作られており、歴史上最も美しいF1マシンとの評価が寄せられることもあり、ニューヨーク近代美術館にも飾られているほどだ。戦闘力も高く、プロストが4勝(+641でも1勝)、マンセルが1勝を挙げた。MP4/5Bを走らせたマクラーレン・ホンダと互角に渡り合ったが、最終的にはダブルタイトル獲得を許してしまい、ランキング2位となった。
読者の皆様からは、「とにかく美しい」とその流線美についての意見が寄せられたが、搭載していたV12エンジンのサウンドと相まって「バイオリンみたい」との声もあった。
■10位以下の順位
12位:8票
フェラーリ126C2(1982年)
フェラーリF2008(2008年)
14位:7票
フェラーリ248F1(2006年)
15位:6票
フェラーリ643(1991年)
16位:5票
フェラーリF1-75(2022年)
17位:4票
フェラーリ312T(1975年)
フェラーリSF15-T(2015年)
フェラーリSF90(2019年)
20位:3票
フェラーリ126CK(1981年)
フェラーリ412T1(1994年)
フェラーリF138(2013年)
フェラーリF187(1987年)
フェラーリSF71H(2018年)
フェラーリSF70H(2017年)
フェラーリ312B2(1971-72年)
27位:2票
フェラーリ156/85(1985年)
フェラーリF2012(2012年)
フェラーリF187/88C(1988年)
フェラーリF2001(2001年)
フェラーリF310(1996年)
フェラーリF60(2009年)
33位:1票
フェラーリ126C2B (1983年)
フェラーリ126C3(1983年)
フェラーリ150° Italia(2011年)
フェラーリ312F1/67(1967年)
フェラーリ312T3(1978-79年)
フェラーリF10(2010年)
フェラーリF14T(2015年)
フェラーリF2005(2005年)
フェラーリF399(1999年)
フェラーリ639(1988年)
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