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アイデア爆発! 独創的F1マシン10台:一度見たら忘れられない名(迷)車たち

マクラーレンのザク・ブラウンは「予算制限があるのなら、マシンの設計をもっと自由にすべき!」と言っている。もしそれが叶ったとしたら、以前のような独創的なマシンは現れるのだろうか……。

Vittorio Brambilla, March 751 Ford rear wing extensions

写真:: LAT Images

 マクラーレン・レーシングのCEOであるザク・ブラウンがこんなことを言った。

「予算制限がある以上、我々のレギュレーションは過剰だ」

「予算制限があるのなら、私は逆に(F1チームは)やりたいことをやればいいと思う。6輪にしたければ、6輪にすればいい。でも、そうするためにお金をかけないといけないんだ」

 確かに2021年からF1では、各チームの年間活動予算上限が規定された。にも関わらずマシンのデザインを制限するテクニカルレギュレーションは依然として厳しく、「コース上を走っているマシンは、どれも似たように見える」という意見もある。実際、マシンのカラーリングやスポンサーロゴを剥ぎ取れば、どれがどのマシンなのか……それを判別できる人は一握りかもしれない。

 かつてのF1は、レギュレーションは存在したものの、マシンのデザインは比較的自由度が高かった。そのため、ブラウンが言うように多種多様なマシンが存在することができた。

 本稿では、これまでに登場したマシンの中から、特に独創的だと思われる車両10台をピックアップ。ご紹介していく。

■アイフェラントE21:え! そんなところにミラーが!!

 

 1972年のF1に登場したF1マシン。マーチ721をベースに、ルイジ・コラーニが改造を施した。

 同年の第2戦南アフリカGPに登場。驚くのはそのリヤビューミラーの位置である。コクピットの前方中央にステーがニョキリと伸び、その先端にミラーが取り付けられている。こんなので果たして後ろが見えるのか……心配になってしまう。

 前方の視界も心配になるが、現在のF1マシンには取り付けが必須となっているヘイローも、コクピットの真正面にピラーがあるから、まあ問題ないんでしょう。

 エンジンへのエアインテークもコクピット前方に存在し、さらにフロントウイングもまるでスケートボードのような楕円形であり、独特な存在感を放つ1台である。

 南アフリカGPから第9戦オーストリアGPまで走ったこのマシン。最高位はモナコとイギリスの10位だが、8戦中完走6回と、まずまずの完走率と言えるのではなかろうか。

 しかし資金難によりオーストリアGPを持ってチームが撤退。ドライバーはロルフ・シュトレメンが務めた。

■マーチ751:めちゃくちゃでかい、ディフューザー??

 

 マーチが1975年のF1で走らせた751。F2マシンと共通点が多いマシンだったが、ヴィットリオ・ブランビッラの手により第12戦オーストリアGPで優勝を果たした”ちゃんとした”F1マシンであり、デアゴスティーニさんのF1マシンコレクションの中の1台としても世に出回っている。

 ただこの写真に写っているリヤエンドのデザインはものすごい。これはイギリスGPの決勝前の写真であるが、リヤウイング翼端板の下部が横に伸びていて、まるでディフューザーのようになっている。後端の上部がはね上げられていることからも、ディフューザーとしての効果を狙ったモノであるのは想像に難しくない。

 ただこれはダウンフォースを生み出そうとしたモノではなく、リヤタイヤの後方に生じる気圧の低い部分を解消させ、空気抵抗を減らそうという試みに見える。ディフューザーボックス内の圧力を下げることで、リヤタイヤ後方に空気を多く流し込み、タイヤ前後の圧力差を低減しようとしたのだろう。しかしそのデザインの存在感たるや凄まじい。

■メルセデスW196:これでF1マシンってあり? まるでスポーツカー

Juan Manuel Fangio, Karl Kling, Mercedes-Benz W196.

Juan Manuel Fangio, Karl Kling, Mercedes-Benz W196.

Photo by: Motorsport Images

 1950年台の名車、メルセデスW196である。1954年と55年のF1に登場し、13戦中9勝を挙げるという、圧倒的な強さを発揮。ファン-マヌエル・ファンジオのドライバーズタイトル獲得に貢献した(当時はコンストラクターズタイトルがなかったのだ!)。

 このW196には、2種類のボディパッケージが存在する。ひとつはホイールが剥き出しの、いわゆる普通の葉巻型F1マシン。しかしもうひとつのストリームラインという仕様は、4輪の全てがボディワークで覆われ、まるでスポーツカーのよう……これでF1マシンを名乗るとは、今では考えられないです。

 しかし速かったのは事実。F1史を語る上で外せない1台だ。

■リジェJS5:デッカいエアボックスの理由とは?

Jacques Laffite, Ligier JS5 Matra

Jacques Laffite, Ligier JS5 Matra

Photo by: Ercole Colombo

 リジェが1976年に投入したマシン。巨大すぎるインダクションポッドが特徴で、ティーポットと揶揄された。

 乱れの少ない気流をエンジンに導こうとしたのか、非常に高い位置にこのインダクションポッドが設けられ、実に特異な存在感を放った。でも、ジダンのロゴマークである踊る女性のシルエットが綺麗に入れられ、美しいマシンとも言えた。

 このティーポットの登場により、レギュレーションに高さ規定が導入。第4戦からはインダクションポッドの低いモデルへと変更された。

 ティーポット最後の1戦アメリカ西GPでは4位、ティーポットが排除された後は3度の表彰台を獲得している。ドライバーはジャック・ラフィットだった。

■ロータスE22:クワガタのような、フォークのような出で立ち……左右で長さも違う!

Romain Grosjean, Lotus E22

Romain Grosjean, Lotus E22

Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 2014年にロータスが登場させたE22。ロマン・グロージャンとパストール・マルドナドがドライブした。

 このノーズ先端は何度見てもすごい。二股に分かれ、しかもその分かれた先端の長さが違ったのだ。

 同年のF1では、ノースの先端から50mm後方のボディワーク断面中心の高さを185mmへと引き下げ(前年までは500mm)、しかもこの断面は単一でなければならなかった。そのためロータスは先端を二股とし、片方だけを長くしてこのレギュレーションを満たしたのだ。

 車体の中央部は、フロア下でのダウンフォース獲得に重要な部分で、ここには一切のボディワークを置きたくない。そのため二股にし、その間に気流を通そうとしたのだ。

 しかし何度見てもクワガタみたい……近年のマシンの中では、特に特異な1台だ。

■ブラバムBT46:エンジンでファンを回して、強制的にダウンフォースを発生させてしまえ!

Niki Lauda, Brabham BT46B

Niki Lauda, Brabham BT46B

Photo by: Sutton Images

 ブラバムが1978年に登場させた、あまりにも有名なマシン。この車両の後部には、巨大なファンが設けられていた。エンジンを動力源にして、この巨大なファンが回転し、フロア下の空気を強制的にマシン後方へと排出し、巨大なダウンフォースを発生させたのだ。

 この方式なら、マシンの速度によってダウンフォースの発生量が増減することもなく、走行中安定してマシンを路面に押し付けることができる……まさに夢のようなマシンである。

 ニキ・ラウダのドライブで、同年第8戦スウェーデンGPに登場。いきなり優勝を手にした。ただ、ファンにより埃や石を巻き上げるので危険! とされ、同GP限りで使用禁止となった。勝率100%のマシンである。
 
■ティレルP34:言わずと知れた6輪マシン”たいれる”

Jody Scheckter, Tyrrell P34 Ford

Jody Scheckter, Tyrrell P34 Ford

Photo by: Motorsport Images

 1976年のティレルのF1マシンP34。フロントタイヤを通常の2輪ではなく4輪とし、径を小さくした。つまり、合計6輪である。

 これはF1マシンにとって最大の空気抵抗を生み出すタイヤの前面投影面積を減らすための策。グッドイヤーも特注でタイヤを用意し、これに応えた。

 優勝は第7戦スウェーデンGPのみだったが、16戦で12回の表彰台を獲得する速さを見せた。この時点では、ある意味”成功”と言える存在だった。翌77年にもシーズンを通して使われた。

 ただ1983年のレギュレーション改定により、6輪車の登場が禁止されることになった。また、フロントタイヤの径を小さくしたことで傷みやすくなるという事象も発生した。

 ザク・ブラウンは「6輪だっていいじゃないか!」と言っているが、復活の時はやってくるだろうか??

■ウイリアムズFW08B:たいれるだけが6輪じゃない?? もしかしたらトレンドになっていたかも……

Martin Brundle drives a six-wheeled FW08B

Martin Brundle drives a six-wheeled FW08B

Photo by: Joe Portlock / Motorsport Images

 ティレルだけが6輪F1マシンを目指したわけじゃない。ウイリアムズも6輪車を登場させようとしていた。そのテストマシンが、FW08Bである。

 ティレルと違うのは、フロントが6輪になったわけではなく、リヤが4輪化した6輪車であるということ。空気抵抗を減らすだけでなく、トラクションの増強も目指されたのだ。

 テスト走行のみで実戦デビューはしなかったが、車両は現存しており、グッドウッドなどで走行することがある。

 このマシンが成功していたら、もしかして6輪F1はブームになった?

 この他マーチやフェラーリも6輪車をテストしていた。

■エンサインN179:これ空力に絶対悪いよね?

Derek Daly, Ensign N179

Derek Daly, Ensign N179

Photo by: David Phipps

 マシンの前面にラジエターとオイルクーラーを配置したエンサインN179。この位置は、気流が最初にマシンに当たる部分であり、こんなところにラジエターなどがあれば、間違いなく気流を乱してしまうはずだ……。

 ただ実際にはそれ以上に冷却がうまくいかず、デビュー戦ではオーバーヒート。その後ラジエターはサイドポンツーンに移され、いわゆる”ふつうの”F1マシンの形になったが、戦闘力は振るわなかった。

 予選落ち多数。決勝出走はわずか4回で、完走はイギリスGPの13位のみだった。

■マーチ711:丸っこいデザインのF1マシン。なんか可愛い?

March 711: Primeiro carro de Niki Lauda na Fórmula 1

March 711: Primeiro carro de Niki Lauda na Fórmula 1

Photo by: Divulgacao

 マーチの2代目F1マシン711。1971年にF1参戦した。

 車体も、フロントウイングも、そしてスポンサーロゴやカーナンバーまで丸い……これも独特な形状を持ったマシンである。でも、既出のアイフェラントE21に比べれば、ミラーが普通の位置にあるぶん、ふつうのF1マシンに見えてきてしまう。

 しかしカラーリングはフェラーリとはまた違った赤であり、それも印象を強くしているのかもしれない。

 しかし速さはあり、ロニー・ピーターソンの手で10戦中5回の表彰台を獲得。コンストラクターズランキングでは3位になっている。

 ニキ・ラウダがデビューしたのはこのマシンである。

 
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