たった3レース、されど鈴鹿サーキットに魅せられた男アラン・マクニッシュ「鈴鹿は常にチャレンジングであり続ける」
かつてトヨタでF1を走り、ル・マン24時間を3度制したアラン・マクニッシュ。大クラッシュや不運を経験したものの、彼はお気に入りのサーキットとして、昔ながらでチャレンジングな鈴鹿サーキットを挙げている。
写真:: LAT Images
ル・マン24時間を3度制し、2002年はトヨタからF1を走ったアラン・マクニッシュ。現在はアウディのモータースポーツ・コーディネーション部長を務めている彼は、大きな成功を収めたことがないものの、お気に入りのコースとして鈴鹿サーキットを挙げている。
今年設立60周年を迎える鈴鹿サーキットで、マクニッシュはこれまでに3戦しか戦っていない上、大クラッシュにも見舞われている。
マクニッシュは、F1 2002年シーズン最終戦日本GP予選のアタック中に、175km/hもの速度で度胸試しの名物コーナー「130R」を飛び出し、バリアを突き破る大クラッシュ。このクラッシュにより彼は翌日の決勝レースを欠場。F1ラストレースはグリッドに並ぶことすらできなかったのだ。
しかし、マクニッシュの鈴鹿サーキットへの想いは強い。マクラーレンのテストドライバーを務めていた際は、ホンダV12エンジンの1991年シーズン投入に向けて、何日もテストに明け暮れていた。
motorsprot.comが彼にお気に入りのサーキットを尋ねると、ル・マン24時間の舞台サルト・サーキットや12時間耐久を4度制したセブリングを差し置き、迷わず鈴鹿サーキットを選ぶと答えた。
「初めてサーキットに来た時から、ずっと好きなんだ」とマクニッシュは語る。
「自然な感じで、高低差がある。チャレンジングなサーキットだ」
「コース脇には芝が生えていて、(コース幅は)かなり狭い。ミスをすると痛い目を見るから、リスペクトが必要なサーキットだ。きちんと走るのが大変だったけど、上手くいった時はとても気分が良かった」
またマクニッシュは、案内標識に英訳が付いていなかった時代に“異国の”鈴鹿サーキットを訪れることには「ロマンチックな面もあった」と語っている。
McNish's Toyota TF102 vaulted the 130R barrier in a huge 2002 qualifying crash that ruled him out of the Japanese Grand Prix
Photo by: Motorsport Images
「どこもかしこも書いてあるのは、日本語だけなんだ。鈴鹿にいくのもちょっとしたチャレンジだったよ。ロマンチックな冒険心がくすぐられたね」
「サーキット自体も冒険のようなモノで、今も昔も大好きなサーキットだ」
「このサーキットが好きな理由のひとつは、設立当時と根本的にはほとんど変わっていないこと……つまり“浄化”されていないことだ」
マクニッシュの2022年の大クラッシュを受け、安全性に懸念の声が上がったことから、130Rは85Rと340Rの複合コーナーへと改修された。
しかしマクニッシュは、クラッシュによって鈴鹿サーキットへの情熱が衰えることはなかったという。実際、ルノーのテストドライバーを務めた2003年は日本GPの金曜日フリー走行にはルノーからテストドライバーとして出走している。
「あのコーナーを変更して、大切な何かが少し失われてしまったからガッカリしたよ」
「それ(クラッシュ)で僕が165cmから120cmになりかけたのは分かるけど、コーナーのせいじゃない。トヨタのエアロ不足と僕がそれにすぐ適応できなかったことが問題なんだ。ただ、(改修によって)サーキット全体が悪くなった訳じゃない」
マクニッシュが鈴鹿サーキットでレースを行なった3レースの内、残りふたつはFIA GT選手権の一戦として開催されていた1997年と1998年の鈴鹿1000km。ポルシェワークスのドライバーとして戦ったが、両レース共ベルント・シュナイダー組のメルセデスに敗れ去っている。
マクニッシュは鈴鹿サーキットを走る楽しさは、乗るマシンに左右されないという。
「スポーツカーでもF1マシンでも、どのコーナーも同じ様にチャレンジングなんだ」と彼は言う。
「スパ・フランコルシャンのオー・ルージュは、F1マシンのダウンフォースが非常に大きくなって、チャレンジングとは言えなくなった。でも鈴鹿は常に変わらない」
「ターン1に向けてブレーキをかけ、曲がってターン2に向けてマシンの体勢を整える時、あるいはS字を通過する時、マシンのフロントが入っていくように少しアクセルを戻す必要がある。ただ、ベタ踏みするだけではないんだ」
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