F1 ハース富士TPC
ハースとトヨタによる2度目の富士TPCは昨年以上の盛況。将来的にはF1レギュラードライバー招聘も? しかし目的はあくまで「育成と成長促進」
富士でのハースF1チームのTPCは2度目の開催が終了。今後はレギュラードライバーを参加させる可能性なども否定されていないが、盛り上げのためではなく、あくまで「ドライバー育成」のための人選をする構えだ。
戎井健一郎
公開日時: 2026/07/30 11:05
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Nirei Fukuzumi, Haas
写真:: Motorsport.com / Japan
富士スピードウェイで、ハースF1チームの旧型車テスト(TPC)が行なわれた。ハースによる富士でのTPCはこれが2回目で、2日間の来場者数は7,900名と前年から30%ほど増加した。
ハースの小松礼雄代表は会見の中で、富士TPCを開催する意義について改めて説明。日本のファンがもっと気軽に、身近にF1を感じられる場を作りたかったこと、そして提携するトヨタと共に、日本人ドライバーのF1への道筋を作りたいという思いがあるのだと述べた。
この富士TPCを通して、昨年は坪井翔が、今年は福住仁嶺がF1マシンを初ドライブした。ふたりは共にその実力を高く評価されているドライバーでありながら、F1には縁がなかった。特に福住はホンダのサポートでF1直下のFIA F2まで上り詰めながらも、結果を残せず帰国したという挫折の過去がある。そんな彼が紆余曲折を経てF1テストまで漕ぎ着けたというストーリーは、「夢を諦めてはいけない」という強いメッセージを残した。
「福住仁嶺みたいなドライバーがこの場に来てくれたことは、すごく意味があることだと思います」と小松代表。
写真: Motorsport.com Japan
「他のドライバー、そしてファンの方に勇気を与えることだと思います。そういう意味でも、この2日間は良い機会になったと本当に思っています」
一方のトヨタとしては、TPCをはじめとするハースとの各種提携を通じて、モータースポーツ活動において重視している“3つのP”を鍛えたいと常々語っている。その3つとは、People(ピープル/人材)、Pipeline(パイプライン/データ活用)、Product(プロダクト/車両開発)だ。また、ハースと共に「チームの文化」を作ろうとしている。
TGRグローバルモータースポーツディレクターの加地雅哉氏は、それらが少しずつ形になってきていることを実感した2日間だったと振り返る。そして小松代表同様、福住のF1初走行は多くの人たちに夢を与える良い機会になったと語った。
「僕たちはこういうプロジェクトを始めるにあたって、夢を与えたかったというのがすごく大きかったです」
写真: Motorsport.com Japan
「坪井選手は1年乗っての再チャレンジ、福住選手は初めてのチャレンジでしたが、子供達や応援してくれる皆さんに夢を与える機会になったと思います。特に福住選手は欧州で1度チャレンジして、色々な苦労を経て勝ち取ったチャンスです。諦めなければチャンスが巡ってくるんだということを体現してくれたと思います」
「ふたりはお互いに切磋琢磨し合う姿だったり、目まぐるしく変わるコンディションの中でしっかり適応してくれる姿を見せてくれたと思います。そういった点でも、ドライバーが輝ける、力を見せられる場所になっていることも見えましたし、こういった道作りをもっともっと取り組んでいきたいと思っていますので、皆さんの応援をいただきながら、この活動を広げていきたいです」
今後はレギュラードライバーが来る可能性も?
2回目の富士TPCは、トヨタの日本人ドライバーふたりが走行するという点では昨年と変わりなかったが、新たにグッズ販売のトレーラーが設置されたり、ファンエリアでは車両展示にタイヤ交換体験、ピレリタイヤ触り放題(!)、さらにはテストで実際に使用するフロントウイングへの寄せ書き(落書き?)ブースなど充実のコンテンツが用意されており、着実にアップグレードされている印象を受けた。他にも日本カート協会(JKA)のスカラシップ生が来場するなど、子供たちの未来に繋がる場としての活用も見られた。
写真: Motorsport.com Japan
次回以降の富士TPCが実現した場合、新たに取り組みたいことはあるのだろうか? ハース、トヨタの両首脳に尋ねた。
「昨年やった時は初めてだったのもあって、色んなことが急だったという反省があるんですよ」と言うのは小松代表。
「だからもっと告知も早くしたいです。今年もちょっと遅かったと思いますし」
「昨年から学んでアップグレードしたことはあります。ファンの方が服を買えるようなところを作ったり、ファンゾーンも昨年から変えました。今回も振り返りをして、ファンの方がもっとインタラクティブに、もっと身近に感じられるように考えてやっていきたいです」
また、今回のTPCはハース、トヨタ、富士スピードウェイの3者が少人数で企画を進めてきたと明かす加地ディレクター。ドライバー、エンジニア、メカニックに限らず、イベントの企画・運営スタッフを鍛える良い機会になっているとして、今後もこういった機会を増やしつつ、ファンと触れ合える機会も増やしていきたいと述べた。
では、テストの内容に関する面はどうだろうか? 小松代表は「将来的にハースのレギュラードライバーを招聘する意向はあるか」との質問に「もちろんあります」と回答し、「今は優先順位をつけて一歩一歩やっていますが、将来的にレースドライバーを持ってきて、もっと包括的にやって、盛り上げていきたいと思っています」とした。
ただ、“盛り上げ最優先”のドライバー起用はしない構えだ。というのも、あくまでこの富士TPCは人材育成がテーマになっているからだ。加地ディレクターはこう語る。
「ドライバーに関しては育成でやっているので、盛り上げのためだけにすごいドライバーを呼ぼうということではありません」
「ドライバーを鍛える一環の中で、例えばレギュラードライバーの比較をやろうとか、そういうことができたら良いなという風には思います」
また、元F1ドライバーでトヨタのドライバー育成に携わる中嶋一貴氏はそれに補足する形で、富士TPCでは「ドライバーが成長できるプログラム」を組むことが重要になると述べた。
「そのドライバーが経験したことがないことができる、というところに大きな意味があると思います」
「今回も仁嶺は全てのことが初めての経験でしたし、坪井選手は何度もTPCに乗っている中でも新しい経験がありました。TPCにも色々と制約があるのですが、その時々でドライバーが成長できるようなプログラムができればいいんじゃないかと思います」
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