F1 オーストラリアGP

キャデラック、F1での船出は3周遅れで1台完走。チームは満足感示すも“ハネムーン気分”はこれで終わり「他との差を縮めていく必要がある」

キャデラックはF1での最初のグランプリで1台が完走を果たすも、トップから3周遅れという結果だった。そんな彼らの初陣を振り返る。

Benjamin Vinel Filip Cleeren

公開日時: 2026/03/09 22:11

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Sergio Perez, Cadillac Racing

Sergio Perez, Cadillac Racing

写真:: James Sutton / Formula 1 / Formula Motorsport Ltd via Getty Images

 2024年11月25日、キャデラックはF1への新規参戦が承認された。あれから468日が経ち、彼らはついにF1での初めてのレースを戦った。

 2016年のハース以来10年ぶりの新規チームとなるキャデラックは、ゆっくりながらも着実に歩みを進めてきた。事前のテストでは9日間全ての日程に参加し、合計3,935kmを走破。新規則マシンの開発に手間取り、合流が遅れたウイリアムズやアストンマーティンのような既存チームがいたことを踏まえれば称賛に値する。

 迎えた2026年のF1開幕戦、オーストラリアGP。フェラーリ製パワーユニットを積むキャデラックMAC-26は、予選でセルジオ・ペレスが18番手、バルテリ・ボッタスが19番手となった。ペレスのタイムはQ1トップから3.1秒遅く、Q1突破ラインのタイムからも1.4秒の開きがあった。20番手〜22番手は様々な理由でタイムを計測できなかったドライバーたちであり、キャデラックが事実上の最下位タイムであった。

 そのため、キャデラックにとって厳しい決勝レースになることは確実視されており、現実的なライバルはアストンマーティンだけと言えた。しかしアストンはテストの段階から振動の問題を抱えており、決勝レースを走り切れないだろうと言われていた。

 ただ、最初にレースからリタイアしたのはキャデラックの方だった。14周目にアストンマーティンのフェルナンド・アロンソがトラブルによりガレージに戻った直後(後に復帰)、16周目にボッタスのマシンが最終コーナー脇でストップしてしまった。燃料システムのトラブルだった。

 実はボッタスはリタイアの前、ステアリング交換のためにピットインを強いられていた。チーム代表のグレアム・ロードンはmotorsport.comに対してこう説明した。

Valtteri Bottas, Cadillac Racing

Valtteri Bottas, Cadillac Racing

Photo by: Peter Fox / Getty Images

「実際かなり残念だ。明らかにステアリングホイールの問題があった。我々はステアリングを作っているわけではないので、非常にフラストレーションがたまる。そこに足を引っ張られるのは良いことではないので、原因を調べて改善する必要がある」

 一方のペレスは、2年前の因縁があるリアム・ローソン(レーシングブルズ)と激しいバトルを展開してローソンを苛立たせたが、ペース不足は甚だしく、ライバルについていくことはできず16位フィニッシュ。完走したドライバーの中では最下位で、10位でポイントを獲得したピエール・ガスリー(アルピーヌ)からは2分28秒遅れだった。

 ペレスはこのレースで2ストップ作戦に出たが、ロードンはその理由についてこう説明した。

「1ストップから2ストップへ戦略を変えたのは、後ろからの脅威もなかったからだ」

「アストンの2台は走っていなかったか、少なくとも1台は止まっていた。後方からのリスクはなかったので、チェコ(ペレス)に別のタイヤを試させるのは合理的だった」

 総合的に見れば、キャデラックのパフォーマンスは控えめだったものの、チーム内部では一定の手応えと達成感が共有されている。

 ロードンは「改めて分かったが、これは簡単なことではない」と強調する。

Graeme Lowdon, Cadillac F1 Team Team Principal

Graeme Lowdon, Cadillac F1 Team Team Principal

Photo by: Sam Bagnall / Sutton Images via Getty Images

「今回はスタートすらできなかった者もいた。だから少なくとも1台を完走させられたことには満足している。もちろんペースは改善しなければならないし、それは新チームとして当然の課題だ」

 またボッタスも、全体的には戦うことができていたと総括した。

「何台かとはレースをしていたし、アストンの前にいられた。最初から大きく引き離されたわけではなかったし、そこは励みになる」

「だから全体的に言えば、今ここに立っている(=リタイアによりレース中ながらインタビューエリアに来ている)とはいえ、チームを誇りに思っている。F1に戻ってこられて本当に嬉しい。これは学習過程の一部で、これから問題をひとつずつ解決していくしかない。あとは這い上がるだけだ」

 そして金曜フリー走行では燃料トラブルと液体漏れにより16周しか走れなかった中、決勝を走り切ることができたペレスは、こう付け加えた。

「最初の一歩は踏み出せた。チームとしてレースを完走できたのは素晴らしい。バルテリが完走できなかったのは残念だけど、全体としては良い週末だった。週末の序盤は多くの問題を抱えていたから、よく挽回できたと思う」

「でもこれからは、いわば“ハネムーン期間”は終わりだ。ここからは大きく前進しなければならない。チームとして計画を立ててギャップを縮めていく必要がある。そしてそれは可能だと思っている」

「もちろんチームの中には強い競争心があるし、それが必要な姿勢だ。だからこそ、ライバルとの差を縮めてより大きな目標を目指すことができる」

 ペレスが言及したように、今後はライバルとの差を縮めていくことが次のステップになるだろう。しかしそれは簡単なことではない。ペレスは3周遅れのフィニッシュであり、同じフェラーリ製PUを使うチームとも差をつけられた。

 彼らのパフォーマンス不足はダウンフォースとメカニカルグリップの不足にあると見られている。ボッタスは土曜日に「すべてのコーナーでタイムを失っている。十分に車速を維持できないんだ」と説明していた。

 チーム代表のロードンは、今後に向けてこう語る。

「今回大量のデータを得ることができた。ドライバーにとってもチームにとっても得られるデータが段違いなので、本当は2台とも完走してほしかったが、初めてのグランプリでこれほど複雑なマシンの1台を完走させられたのは素晴らしい成果だ」

「もちろん2台とも完走させたい。もっともバルテリのトラブルは少し特殊なものだと思うので原因を突き止めるつもりだ。まずは2台が無事にマシンを持ち帰ること、そして今後はペースも磨いていきたい。そのための道筋も見えていると思う」

「ただし一晩でできることではない。ほかのチームも開発を続けているからだ。それでも私は本当に、いずれ差を縮められると信じている」

Additional reporting by Ronald Vording

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