F1
挑戦することを恐れるな! 革新的SF-26を生み出したフェラーリのチーム内文化の変革……バスール代表説明「報われる時も、そうでない時もあるがね」
フェラーリの革新的な今季マシンSF-26は、チームの「リスクを回避する」という体質を改めるよう意識的に取り組んだ結果生まれたものだとチーム代表のフレデリック・バスールは語った。

Filip Cleeren
公開日時: 2026/09/01 11:24
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、今シーズンのマシンを開発するにあたっては、これまでチーム内に蔓延していた「リスクを避ける」という姿勢を捨て去ることを目指してきたという。その結果、今季の革新的なマシンSF-26が誕生したという。
2月にバーレーンで行なわれたF1の公式プレシーズンテストが始まると、フェラーリの2026年型マシンは即座に注目を集めた。
テスト初日、SF-26には排気管の後方にFTMとチーム内部で呼ばれている整流板(エキゾースト・ウイング)が装着されていた。そして2日目には、コーナリング時とストレート走行時にフラップが上下逆さまに回転するタイプのアクティブモード対応リヤウイングが登場し、すぐに”マカレナ・ウイング”と名付けられることになった。
これらのデバイスは、氷山の一角に過ぎない。これらはパフォーマンスへの影響こそ限定的だったが、目立つデバイスであるために大きな注目を集めた。しかしこれらのデバイスは、フェラーリがライバルを追いかけるのに十分だというよりも、革新を主導するチームへと変貌を遂げたことを示すものであった。
後にレッドブルやマクラーレンも、独自に開発した”マカレナウイング”を投入した。レッドブルは、フェラーリが登場させる前からマカレナウイングを開発していたとして知られているが、マクラーレンはフェラーリがマカレナウイングを投入したのを見て「出し抜かれた」ことに気付き、独自バーションを開発したという。
エキゾーストウイングも、広く模倣されている。しかしフェラーリは、これを活かすために特別な設計を行なったため、リバースエンジニアリングは困難に。その結果、他チームにとってはあまり効果的なデバイスとはならなかった。
Lewis Hamilton, Ferrari
Photo by: Marcel van Dorst / EYE4images / NurPhoto via Getty Images
フェラーリが革新的な2026年型マシンを生み出したのは、偶然ではない。これは、バスール代表はチーム内の”責任を押し付ける”文化を根絶し、リスクを冒すことをあまり恐れないよう、意識的に改革を進めた結果である。
バスール代表はmotorsport.comのインタビューに応じた際、チーム内のあらゆるレベルで考え方を変える必要があったと説明した。F1では、わずかなマージンを積み重ねて相対的なパフォーマンスを引き上げていく必要がある。チーム間の差が小さくなるに連れて、そのことがフロントロウからスタートすることになるのか、それとも6番グリッドから決勝をスタートすることになるのかを分ける可能性がある。
「最初からもっとリスクを冒さなければいけないと感じていたのは事実だ」
バスール代表はそう説明する。
「コースの上にはより大きなリスクがあり、革新を起こすことにもリスクがある。他者を追いかけるのではなく、異なる方向に進む開発には、より多くのリスクが伴う」
デザインもセットアップの選択も、そしてレース戦略も、リスクを冒したからと言って必ずうまくいくとは限らない。ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールは、競争力のあるマシンを手にしたことで、今年優勝を経験。しかし、チームとして間違った方向に向かうこともあった。
しかしバスール代表は、チームの意思決定の過程がかなり改善したと確信している。
「それが報われる場合もあれば、そうでない場合もある」
そうバスール代表は言う。
「戦略に関して少しアグレッシブになった時、バルセロナのように天才的に見える時もあれば、そうでもない時もある」
「リスクを取ることに関しては改善しているので、このメンタリティを発展させる必要があると思う。リスクに関する評価は向上する。そうすれば決断を下す能力は向上するだろうし、そのことは我々がそうし続けなければいけないことを意味している。そして我々は、レースごとにますます良い成績を収めることになるだろう」
Frederic Vasseur, Ferrari
Photo by: Michael Potts / LAT Images via Getty Images
バスール代表は2023年にフェラーリに加入。しかし企業文化を変革するには時間がかかった。しかし、ファクトリーでの変革には、落とし穴が存在している可能性がないわけではない。コスト上限など開発の制限が設けられているため、チームは無制限にアイデアと資金をかければいいというわけではない。
「開発の選択肢という点で我々が行なったことには、非常に満足している。コスト制限があるから、この方向に進む時に成果が上がらなければ、マイナスとなってしまうからだ」
そうバスール代表は説明する。
「報われなかったから、それが残念だというわけではない。お金を注ぎ込んでいるのだから、何かに賭けているんだ」
バスール代表は、フェラーリが今後も革新をリードし続けることを「大いに熱望している」と述べ、フェラーリの変化する文化によって、エンジニアたちはその影響を恐れて安全策を講じなければならないと感じるのではなく、サポートされていると感じられるようになるはずだと信じている。
「チームのメンバーにとって、革新を起こす際に会社からのサポートを感じられるということが重要だった」
そうバスール代表は言う。
「これはそのプロセスの始まりに過ぎず、今後も同じアプローチと同じダイナミクスを維持できることを願っている」
「F1は、他のモノを模倣するということも流行する。だから、我々が取っている方向性は、いずれ収束するだろう。しかし我々が一歩先を行き、いくつかのプロジェクトのいくつかのテーマで集団をリードすることをしたい。私はそれに熱心だ」
「確かにそれはどんどん難しくなっていくだろう。そしてそれは、誰にとっても同じような挑戦になるだろう」
【PR】2026年のF1™︎を見るならFOD。至極の体験『F1® TV』連携プランも!
関連ニュース:
F1タイトル争いの起爆剤となるか? フェラーリ、イタリアGPでの改良版PU投入に踏み切る。救済措置ADUOを活用
F1アストンマーティン・ホンダの躍進は、アウディにとって脅威に? マクニッシュ「中団は非常に熾烈な戦いになる」
F1ハジャー、手首の負傷は「回復が順調に進んでいる」イタリアGPでの復帰に”期待”
F1アップグレードで前進続くアストンマーティン、しばらくは厳しい展開に?「最適化にも数戦かかる」
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 ホンダF1、パワー重視のイタリアGPへ。折原エンジニア「今後の競争力向上につながるよう、さらなる最適化を進める」
次の記事 ハミルトン今季8度目王座獲得のチャンスはある! フェラーリが「チームオーダーで全賭け」すれば……元F1チーム代表語る

More from
Filip Cleeren

努力が報われた! アントネッリ、予想外のポールに「ようやくアップデートの成果が表れてきた」
F1
F1
アメリカGP
3 時間前
努力が報われた! アントネッリ、予想外のポールに「ようやくアップデートの成果が表れてきた」

タイトル争い最初の王手。アントネッリはいつも通り「まずはきちんと自分の仕事をやり遂げたい」
F1
F1
アメリカGP
2 日前
タイトル争い最初の王手。アントネッリはいつも通り「まずはきちんと自分の仕事をやり遂げたい」

F1がルワンダと10年契約を締結! 最短で2030年にレース開催へ。アフリカ大陸での開催は1993年の南アフリカGP以来
F1
F1 11 日前
F1がルワンダと10年契約を締結! 最短で2030年にレース開催へ。アフリカ大陸での開催は1993年の南アフリカGP以来

More from
シャルル ルクレール

フェラーリ、アメリカGPで今季最後のアップデート投入。バスール代表「再びあらゆる面で安定したパフォーマンス発揮が目標」
F1
F1
アメリカGP
2 日前
フェラーリ、アメリカGPで今季最後のアップデート投入。バスール代表「再びあらゆる面で安定したパフォーマンス発揮が目標」

ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」
F1
F1
シンガポールGP
12 日前
ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」

ハミルトン、SQ3のアタック戦略を悔やむ「間違った判断だった。SQ2までは良い感じだったのに」
F1
F1
シンガポールGP
14 日前
ハミルトン、SQ3のアタック戦略を悔やむ「間違った判断だった。SQ2までは良い感じだったのに」

More from
フェラーリ

F1メカ解説|フェラーリが投入したアップデート、その効果は0.1秒未満? 本拠地から遠い遠いアメリカに持ち込んだ理由
F1
F1
アメリカGP
1 日前
F1メカ解説|フェラーリが投入したアップデート、その効果は0.1秒未満? 本拠地から遠い遠いアメリカに持ち込んだ理由

連勝レッドブルは最強チームじゃない? フェラーリ代表語る「スタート直後の1コーナーをうまくやれていれば、我々が勝ったかもしれない」
F1
F1
シンガポールGP
11 日前
連勝レッドブルは最強チームじゃない? フェラーリ代表語る「スタート直後の1コーナーをうまくやれていれば、我々が勝ったかもしれない」

F1分析|フェルスタッペン、VSC中にピットストップしたかった? ”壊れかけのラジオ”越しの訴え。フェラーリは戦略失敗
F1
F1
シンガポールGP
12 日前
F1分析|フェルスタッペン、VSC中にピットストップしたかった? ”壊れかけのラジオ”越しの訴え。フェラーリは戦略失敗
最新ニュース

MotoGPオーストラリアGP決勝、最高峰クラスも悪天候で中止に。マルク・マルケス、大量リード拡大のチャンス失う
MotoGP
MGP MotoGP
オーストラリアGP
16 分前
MotoGPオーストラリアGP決勝、最高峰クラスも悪天候で中止に。マルク・マルケス、大量リード拡大のチャンス失う

ボッタスのキャデラック離脱はもはや既定路線? ブコウスキー代表「シートが決まっていない全員から連絡をもらっている」 しかし最優先は”アメリカ人”
F1
F1 F1
アメリカGP
50 分前
ボッタスのキャデラック離脱はもはや既定路線? ブコウスキー代表「シートが決まっていない全員から連絡をもらっている」 しかし最優先は”アメリカ人”

悪天候で遅延中のMotoGPオーストラリアGP、決勝は日本時間14時以降を予定。Moto2とMoto3は中止
MotoGP
MGP MotoGP
オーストラリアGP
1 時間前
悪天候で遅延中のMotoGPオーストラリアGP、決勝は日本時間14時以降を予定。Moto2とMoto3は中止

努力が報われた! アントネッリ、予想外のポールに「ようやくアップデートの成果が表れてきた」
F1
F1 F1
アメリカGP
3 時間前
努力が報われた! アントネッリ、予想外のポールに「ようやくアップデートの成果が表れてきた」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録