分析

今季3勝……レッドブルRB15はホンダPUをどう内包した? 空力性能にも寄与

レッドブル・ホンダ、2019年シーズンは3勝……ホンダF1はどうやって、パワーアップを成し遂げたのか? そのディテールを”推測”する。

Red Bull Racing RB15, Honda engine

Red Bull Racing RB15, Honda engine

Giorgio Piola

 2019年から、ホンダ製F1パワーユニットを使うことになったレッドブル。レッドブル・ホンダ初年度は”過渡期”だったと、チーム代表のクリスチャン・ホーナーは言うが、終わってみれば3勝+2回のポールポジションを獲得するなど、ホンダにとっては躍進の1年だったと言えよう。

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 2015年からF1に復帰して以来、ホンダは非常に厳しいシーズンを過ごしてきた。勝利はおろか、表彰台登壇すら叶わなかったのだ。しかしトップチームの一角であるとはいえ、レッドブルと組んだことで状況は一変することになった。

 ただ、ホンダのパワーユニットの性能が向上しているのもまた事実である。パワーユニットの開発は、2019年シーズンの重要なポイント。積極的なアップグレード戦略を功を奏した。

 またレッドブルはマシンの空力を改善するため、エンジンカウルの内部も積極的に開発。ホンダのPUも、これに一役買っている。

 下の図は、レッドブル・ホンダのパワートレイン、そのレイアウトである。

Red Bull Racing RB15, Honda engine

Red Bull Racing RB15, Honda engine

Photo by: Giorgio Piola

 インダクションポッドから取り入れた空気を、エンジンの吸気中心に活用してきたホンダ。しかし今季は、ラジエターの冷却にも、その空気を活用することになった。

 ラジエターシステムは、通常ならばサイドポッドの内部に収容されている。しかしこの一部をエンジン(パワーユニット)の上部に配置。ここにインダクションポッド(1)から取り入れた空気を送り込み、冷却しているのだ。この位置にラジエター(2)を配置することで、サイドポッドの形状をコンパクトにすることができる。

 インダクションポッドから取り入れた気流は、コンプレッサー(3)にもこれまで通り送られている。このコンプレッサーはターボのタービンによって駆動しており、内部を通った空気は圧縮され、エンジンの吸気システムに送られる。

 図の中の(4)、(6)、(7)で示された箇所を通り、エンジンからの排気ガスがターボに送られ、タービンを動かすことになる。(8)と(9)は冷却用の排出口と考えられるが、特に(8)についてレッドブルは、その機能の説明を避ける。

 内燃エンジンはシャシーのストレスメンバー(構造部材)の一部を担っているため、(5)のように堅牢な取り付けポイントが設けられている。

 なお同じホンダ製パワーユニットを使うトロロッソは、気流の取り入れ方法が僅かに異なっている。エンジン上部のラジエターはレッドブルと同様。しかし、インダクションポッドの入り口は、冷却とコンプレッサーに気流を送るよう、3分割されているのだ。

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