F1

久々F1ドライブも“余裕”! 復帰待望論も飛び出した小林可夢偉。トヨタ若手の“コーチ”として「今のF1を知ってもらう必要あった」とTGR

TOYOTA GAZOO Racingの加地雅哉グローバルモータースポーツディレクターは、ハースF1のテストに参加した小林可夢偉について、彼がF1の舞台で再び戦う姿を個人的には見たいとしつつも、小林に後進へのコーチ的な役割を担ってもらうためのテスト機会であったと改めて語った。

戎井健一郎

編集: 2025/07/30 3:11

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Kamui Kobayashi, Toyota TF109

写真:: James Moy

 フランスのポール・リカールでハースのF1テストに参加し、実に11年ぶりにF1マシンをドライブした小林可夢偉。これはハースがTOYOTA GAZOO Racing(TGR)と提携を結んだことで実現したもの。この報に、彼のF1現役時代を知る10年来、20年来のF1ファンは色めき立った。

 2日間で200周近く走ったという38歳の小林は、体力的にも全く問題なかったといい、「「あのまま『レースしろ』と言われても出来るくらい、余裕だった」と話している。またTGRの加地雅哉グローバルモータースポーツディレクターも、小林のF1テストでの走りについて「全く問題ないというか、全然走れるなと。全然やれると思います」と舌を巻いていた。

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 小林はF1を離れた今もWEC(世界耐久選手権)やスーパーフォーミュラに参戦し、世界屈指のハイパフォーマンスマシンを操って一線級の活躍を見せている。そのため、現行F1マシンを問題なく乗りこなしたこと自体はある意味驚きではないかもしれないが、今回のテスト参加のニュースに触れて小林のF1復帰を期待するファンの声も多く聞かれた。

 ただ、トヨタは小林のテスト参加の経緯について、現行F1マシンに関する知見を後輩ドライバーに伝えてもらうのが目的だと説明している。当の小林もmotorsport.comに対し、テスト参加によって自身のF1復帰への意欲が高まったということはないとして、「若いドライバーに頑張って欲しい」とコメントしている。

 上記の小林のコメントがあった翌日、加地氏に改めて話を聞く機会があった。そこでファンからの“カムイ復帰待望論”の存在を伝えた上で、F1テストの機会を与えた理由について改めて問うた。

「可夢偉がF1に乗れなくなった経緯を振り返った時に、本当にちゃんと走れる環境で勝負ができたら、もっと結果を残せただろう……と思うじゃないですか。そういう姿を見たいか見たくないかと言われたら、それは見たいですよ」

 そう語った加地氏。小林は2009年シーズンの終盤戦に代役という形でトヨタからF1デビューを果たすと、アブダビでは6位入賞を記録し大いに期待されていたが、同年限りでトヨタがF1から撤退するという憂き目にあった。2010年からはザウバーのシートを得て2012年には日本GPで3位表彰台を獲得するも、その年限りでチームから離脱。1年のブランクを挟んで下位チームのケータハムから復帰したが、この2014年が彼にとって最後のF1シーズンとなっている。

 こういった不遇とも言える小林のキャリアを踏まえて、ファン心理に同調した加地氏だが、さらにこうも続けた。

「ただ、何でもできるというわけではありません。彼が(F1で)シートを得る、走るという前提で全ての物事を整えるという状況では正直ありません」

「ハースとの提携を通しての大きな狙いのひとつには、若い人たちにそういう(F1への)道筋を作っていくということがあります。それを達成していくにあたって可夢偉本人がどういう貢献ができるのかという観点で、少なくともドライバーコーチをやってほしいという思いはずっとありました」

「そのためには、まず彼にはしっかり今のF1というものを知ってもらう必要がありました。今のF1が彼から見てどういうクルマであるか、そして彼のスキルや能力、経験をどのように活かせるかをちゃんと確認したかったということです」

 8月には、スーパーGT、スーパーフォーミュラのディフェンディングチャンピオンとして君臨する坪井翔が新たにハースのTPCに参加する。このようにトヨタからF1行きのチャンスを模索する後輩ドライバーたちに、現代F1の味を知った小林がどのように関わっていくのかは引き続き注目と言える。

 

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