レッドブルの”ハミルトン個人攻撃”はやりすぎ? メルセデスのウルフ代表苦言「私なら別の言葉を使う」
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、F1イギリスGPの後ルイス・ハミルトンに対して激しい個人攻撃を行なったレッドブルの姿勢に不満を示したが、プロとしての”ライバル関係”を取り戻すことを望んでいると語った。
Toto Wolff, Team Principal and CEO, Mercedes AMG
Steve Etherington / Motorsport Images
F1イギリスGPの決勝レース1周目に起きたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとメルセデスのルイス・ハミルトンによる接触。これによりフェルスタッペンは大クラッシュを喫してリタイアし、ハミルトンは事故の責任を負う形で10秒のタイム加算ペナルティを受けた。
ハミルトンにはこの事故の後、多くの批判が投げかけられ、中には人種差別的なモノもあった。またレッドブル陣営も、ハミルトンに対して激しい言葉を使い、批判を繰り広げている。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、レースの後行なわれた発言の数々は、攻撃性のレベルが行き過ぎていると感じている。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、ハミルトンのドライビングを「無謀」だと語り、さらにクラッシュした相手のフェルスタッペンが病院にいる中でメルセデスが祝ったことについては「それが彼らのスタイルだ」と語った。
事故の当事者であるフェルスタッペンも、自身が病院にいる間に勝利を大喜びしたハミルトンを「無礼」だと指摘。さらにチーム代表のクリスチャン・ホーナーも、ハミルトンのドライビングについて「フェアではない」と語った。
ウルフ代表は、ハミルトンとフェルスタッペンの事故の後は、それぞれの感情が高まっていたと認めつつも、批判で使われた言葉は正しくなかったと考えている。
「ライバルという観点で言えば、状況が混乱していたことは理解できる」
ウルフ代表はそうmotorsport.comに対して語った。
「私にはそれが理解できるよ」
「にもかかわらず、使用された言葉、そしてその批判を個人的に行なうということは、我々がこれまでF1で見たことのないようなレベルのモノだった」
フェルスタッペンが日曜日の夜に自身のSNSに投稿した、ハミルトンが”スポーツマンらしくない”としたコメント、そして彼の父親であるヨス・フェルスタッペンのコメントを引用し、ウルフ代表はさらに続けた。
「事故についての偏見と、そして父親としての感情が混じり合っているということは理解できる。私も、おそらく同じように行動してしまうだろう。しかし、別の言葉を使うとは思う」
■レッドブルとの関係
オランダのメディアは水曜日に、ハミルトンが事故後初めて、フェルスタッペンにコンタクトを取ったと報じたが、ウルフ代表は、レース後にはまだレッドブルと話をしていないと語った。
しかしウルフ代表は、状況が少し落ち着けば、レッドブルと連絡を取るつもりだと語った。
「感情が落ち着いたら、F1のためにプロとしての関係を取り戻したいと思う」
ウルフ代表はそう語った。
「しかしこれまでのところ、議論を行なったことはないし、する必要もないと思っている」
レッドブルは、今回の事件についてさらなる検証をFIAに求めるかどうか、現在も検討中である。ただこれには、新たな証拠を突きつけることが必要となる。
事故が起きた1周目のコプス・コーナーへのハミルトンの進入速度は、レース中最も速かったというGPSデータが存在するという話もあった。しかしメルセデスはこれを否定。他のマシンのスリップストリームに入っていた時にも、同じくらい速いことがあったと主張する。
レッドブルがさらなる抗議をすることを心配しているかと尋ねられたウルフ代表は、次のように語る。
「これはF1だ。私はそんなことを心配していない」
■ハミルトンの反応
ウルフ代表曰く、イギリスGPの後も定期的にハミルトンと話をしているという。そして様々な論争の的になっているにも関わらず、ハミルトンは悪い影響を受けていないと説明した。
「正直なところ、彼は今回のことについて、かなりリラックスしていると思う」
そうウルフ代表は語った。
「これはとても二極化した話であり、コメントのいくつかはとても個人的で、状況をさらに悪化させることになった。しかし全体的に見れば、彼は影響を受けていない」
ウルフ代表は、メルセデスとしては今季のチャンピオンを獲得することに集中しているため、今回の論争はあまり気にしていないという。
「論争が起きたり、それが二極化するということは、このスポーツにとっては良いことだと思う」
そうウルフ代表は語る。
「でもそれが個人的な敵意に波及してしまっているところが、踏み外してしまっていることだと思う」
「チャンピオンシップはまだ長い道のりが残っており、獲得できるポイントはまだ数多くある」
「レースで勝利を目指し、純粋なペースで戦うためには、自分自身のことを見つめて、そしてある程度パフォーマンスを取り戻そうとする必要がある。だが論争は外部のモノであり、組織の内部に影響を及ぼすと、我々が認識しているモノではない」
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