角田裕毅の新相方、ニック・デ・フリーズってどんなヤツ？　明るく努力家なナイスガイ……でも角田とは“仲良し兄弟”な関係にはならない？

　2023年シーズンはアルファタウリで3年目となるF1シーズンを送ることになる角田裕毅。今年までの2年はピエール・ガスリーがチームメイトだったが、ガスリーは来季アルピーヌに移籍するため、ニック・デ・フリーズが角田の新しい相方となる。

　デ・フリーズはオランダ出身の27歳。2019年にARTグランプリからFIA F2に参戦してチャンピオンを獲得するも、翌年のF1レギュラーシートは得られず。しかしフォーミュラEの2020-2021シーズンにチャンピオンに輝き、今季のイタリアGPではアレクサンダー・アルボンの代役としてウイリアムズからF1デビューを果たしていきなり9位入賞を果たしてさらに評価を上げた。そしてこの度、遅咲きながらF1レギュラーシートを手にしたのだ。

　角田のチームメイトということもあり、今後は日本のファンからも注目を集めることになるであろうデ・フリーズ。そんなデ・フリーズはどんなドライバーなのか？　国内レースを戦うドライバーたちに聞いてみた。

「すごく真面目で、努力家なタイプです。自分の中で何をしないといけないかをしっかり考えていて、それを分析して組み立てていくタイプだと思います」

　そう語るのは、GP3（現FIA F3）時代の2016年にARTグランプリでデ・フリーズとチームメイトだった福住仁嶺。彼はさらにこう続ける。

「めちゃくちゃ明るくて、ポジティブなドライバーです。どんなリザルトになっても同じようなテンションで、ポジティブなことを言っているイメージですね」

 

Photo by: GP3 Series Media Service

「冗談も言うし、明るいですね。カートの時から一緒に走ったりしてましたけど、アブダビのGP3テストで久しぶりに会った時もそのことを覚えてくれていました」

　福住の話を聞くに、デ・フリーズは明るく努力家なナイスガイだということが伝わってくる。F1日本GPの取材の際、ひょんなことからオランダのメディアと立ち話をする機会があり、そこでもデ・フリーズの人となりについて尋ねたのだが、「彼は本当にナイスガイで、クレバーだ」と話していた。人間性の評価はかなり高いようだ。

　そんなデ・フリーズとは“旧知の友人”だというのが、笹原右京。彼はF1日本GPの際にデ・フリーズと再会を果たしていたが、実はカート時代から家族ぐるみの付き合いなのだという。

「彼が日本のカートレースに出場した時、一緒にレースをしました。そこで仲良くなって、それから彼と彼のお父さんが僕の動向を気にしてくれていたんですよ」

「お互いがお互いを認め合っていたような感じで、敵ながら色々と話したりしていたので、僕がヨーロッパ時代に資金面で苦労したこととか、日本でのあれこれとか、全部知ってくれているんですよね。彼に久し振りに会った時に最初に言われたのも『SF初優勝おめでとう』でした」

　笹原自身も苦労人なだけに、デ・フリーズがようやくその実力を認められてF1シートを掴んだことをとても喜んでいる。「頑張って欲しいですね。そして早く一緒に戦いたいです」と語る。

　またデ・フリーズの人となりについては、やはり「努力家で真面目」と評しつつ、負けず嫌いな面も強いと語った。

Nyck de Vries, Mercedes

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

「めちゃくちゃ真面目で、努力家です。ただ勝負ごとになると、とんでもなく負けず嫌いですね。はたから見るとピエールと裕毅は兄弟のようにじゃれあっているようなイメージですが、来年はそうもいかないかもしれません（笑）」

　ガスリーと角田の関係性は欧米でもしばしば“ブロマンス”（ブラザーとロマンスを掛け合わせた造語。男性同士の深い友情を指す）と表現されるが、角田とデ・フリーズに関してはそうもいかないのではと指摘する笹原。レッドブルのアドバイザーであるヘルムート・マルコは、レース経験豊富なデ・フリーズがチームリーダーに向いているとコメントしているが、笹原もそのコメントは理解できると語る。

「マルコさんのコメントも理解できます。彼は才能ももちろんありますが、人間力が素晴らしいと思います」

「周りの人を動かす、惹きつける力はすごいと思います。苦労した中でも最終的にあそこ（F1）にいるのは、彼の人間力があってこそだと思います」

「もちろん、ふたりがすごく険悪になるということはないと思いますが、（デ・フリーズは）絶対に負けたくないという気持ちはすごく強いと思います。もちろん、裕毅にも頑張ってほしいですし、来年のアルファタウリはけっこう楽しみですね」