分析

F1

コロナで開催延期相次ぐ……F1は2020・2021年を”スーパーシーズン”にすべきか?

コロナウイルスの影響で多くのレースが延期され、リスケジュールに苦しんでいるF1。2020年と2021年のシーズンを統合し、変則的な1シーズンにすべきなのだろうか。

Jake Boxall-Legge

Jake Boxall-Legge

編集: 2020/04/01 10:27

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 世界中で新型コロナウイルスの感染が拡がっている。刻一刻と状況が変化しており、モータースポーツにいつ”日常”が戻るのか不透明なままだ。

 F1は開幕戦オーストラリアGPの開催をスケジュール通り進めていたものの、走行直前になって開催が中止された。それ以降、F1は開幕から8レースの開催延期・中止を決めており、シーズンの開幕は早くても6月まで待たなければならない。

 現時点で正式に中止が発表されているのはモナコGPのみ。つまり時間的な余地がない中でF1の開催カレンダーを再編する必要がある。例年8月に設けられていた夏休みも前倒しされ、ほぼ半年で21戦を消化できるよう、カレンダーを圧縮しなければならないのだ。

 ある時点でコロナウイルスのパンデミックが落ち着けば、再びレースができるようになる。しかしそれは、今年後半までずれ込む可能性がある。

 世界耐久選手権(WEC)が9月開幕のウインターシリーズに移行する際、2018年と2019年のシーズンを統合した”スーパーシーズン”を実施したが、F1がこのような手法を採用すれば、スケジュールの問題を一気に解決できる。実際、このような提案を行なうことを検討しているF1チームもあるようだ。

 フェラーリのチーム代表であるマッティア・ビノットは、カレンダーの変更について絶えず対話をしていると認めている。

 2021年に導入が予定されていた新しい技術規則は、チームの財政的負担を減らすため、導入が2022年に延期。シャシーとギヤボックスの設計は凍結されることになる。そのため、2020年と2021年はほぼ同じマシンが使用されることになり、2シーズンを統合するのは理に適っていると言える。

#92 Porsche GT Team Porsche 911 RSR: Michael Christensen, Kevin Estre

#92 Porsche GT Team Porsche 911 RSR: Michael Christensen, Kevin Estre

Photo by: JEP / Motorsport Images

 仮に2020年と2021年をスーパーシーズンとした場合、どんなメリットとどんな問題があるのだろうか?

 スーパーシーズンとした場合、2020年はコロナウイルスが落ち着いてから6ヵ月ほどの期間レースを実施し、2021年はよりオープンな形でスケジュールを設定できる。ダブルヘッダー開催でレースを詰め込む必要もない。チームのスタッフが移動する時間も十分に取れるはずだ。

 いくつかのレースが、スーパーシーズン中に2度レースを実施することになるだろう。プロモーターによっては、スーパーシーズンに1戦できれば満足のグランプリもあれば、喜んで2戦実施するグランプリもあるはずだ。

 しかしながら、レースが減る形となる一部のプロモーターは間違いなく、このようなカレンダー変更に不満を抱くだろう。大多数のプロモーターがすでに2021年までのグランプリ開催契約を結んでいるからだ。彼らはその立場を守るため、決して少なくない額の金額を支払っている。

 開催権料はF1の収入において大部分を占めているが、1レース開催となったグランプリに関してはその分を返却する必要がある。コロナウイルスの影響により返却できないと主張することもできるだろうが、スーパーシーズンで2レース開催するサーキットがある以上、説得は不可能に近い。

 スーパーシーズンを行なうことで、ドライバーとの契約にも問題が生じるだろう。シャルル・ルクレール(フェラーリ)やマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2021年以降の契約を持っているため問題ない。しかしルイス・ハミルトン(メルセデス)やセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、ダニエル・リカルド(ルノー)は2020年で現行契約が終了する。

 シーズン半ばにして、あるチームが別のチームのドライバー獲得に動く可能性があり、そうなれば混乱が起きるのは避けられない。ファンにとってはそうした事態に興味を持つだろうが、チームはドライバーとの契約を1年延長することを急ぐだろう。

 もちろん、スポンサーやサプライヤーとの契約にも同じようなことが言える。スポンサーシップは結局のところ、一種の贅沢なのだ。コロナの影響で財政状況が苦しくなれば、スポーツへの出資を正当化するのは難しくなる。

 マクラーレンは、2020年限りでパワーユニット(PU)のサプライヤーをルノーからメルセデスに切り替える予定だ。シャシー開発が凍結されるため、メルセデスPUへの切り替えが疑問視されたが、ルノーPUから変更するために必要な修正を施すことが許可されることとなった。マクラーレンはかつて、シーズン中にエンジンを変更した経験(1983年)もあるが、スーパーシーズン中にうまくPUを変更できるかどうかは不透明だ。

Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11 EQ Performance, leads Charles Leclerc, Ferrari SF1000

Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11 EQ Performance, leads Charles Leclerc, Ferrari SF1000

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 FIAとF1は、新レギュレーション導入に合わせ、財政規則を新たに設け、予算制限を行なう予定だった。新技術規則の導入は延期されたが、財政規則は予定通り2021年から施行され、予算制限が導入されることとなっている。スーパーシーズンに、これらをどう扱うかも議論の対象となってくるだろう。

 しかし、これらのシナリオや金銭的な問題は、コロナウイルスの脅威が去った後の世界がどうなるかに依存していると言える。純粋に商業的な観点から言えば、スーパーシーズンは扱いが難しいものの、高い柔軟性を持っており、確かな妥協点を見出すことができるはずだ。

 WECではスーパーシーズンが機能したし、フォーミュラEも年またぎのスケジュールで開催されている。伝統的な手法ではないが、F1でも機能する可能性は確実にある。

 そして、F1が2021年の初頭までに現在のシーズンを終えて契約上の義務を果たすことができないような状況となった場合、他に選択肢はあまりないはずだ。

 

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Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

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