ひとりでマシンを降りれないほど……アストンマーチンのストロール、初日は骨折した右手首を「庇いながら」走行も気合いの6番手
アストンマーチンのランス・ストロールは、F1バーレーンGP初日に負傷した右手首を守るために、左手でステアリングを切っていたと語った。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
アストンマーチンのランス・ストロールは、自転車トレーニング中の事故により右手首を骨折。回復に専念すべく3日間のプレシーズンテストを欠席した。ストロールにとっては、開幕戦バーレーンGPの初日が2023年マシンでの初の本格走行となったが、彼は負傷した右手首を庇うために左手でステアリングを切っていたと明かした。
車載カメラの映像を見てみると、ストロールは右手を休ませつつ走行を行なっていたのが分かる。特にタイトなターン1では、右に旋回する際に左手の位置を変え、ステアリングを押し込むような形にすることで、右手への負荷を軽減しようとしていた。このテクニックは、モナコGPのヘアピンを周るためにステアリングの持ち手を組み替える方法や、ラリー事故の影響で腕に障害が残りながらもF1復帰を果たしたロバート・クビサのドライビングと似たモノだった。
ストロールは回復プログラムの一環として、チームのシミュレータでパワーステリングの重さを強化して体力テストを実施していた。その成果が初日の走行で出ていたのかもしれない。
ストロールはターン1~2を周るペースを向上するためにエンジニアのベン・ミッシェルからアドバイスを受けたものの、ステアリングを切ることに苦労しており、それは不可能だと返した。
「ランス、ターン1を妥協して、ターン2に向けてより良い走行ラインを取ろう。ターン2のためにターン1を妥協するんだ」とミッシェルはストロールに言った。
しかしストロールは「無理だよ。この手じゃ無理だ」と答え、ミッシェルも「そうだね。了解」と伝えた。
Lance Stroll, Aston Martin F1 Team
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
アストンマーチンはピットウォールで議論を行なった後、ミッシェルは再びストロールにこう語った。
「ランス、ターン1でもっとマシンの速度を落とせばステアリングを切る量も減るはずだ。他のマシンもそうしている。マシンの速度を落として、ステアリングを切る量を減らし、コーナーの立ち上がりを重視するんだ」
アストンマーチンの関係者は、最初のやり取りではストロールとミッシェルの間に誤解があり、チームは公の場で議論を続けるのではなく、セッションが終わるまで詳しく説明するのを待つことにしたと示唆している。
初日を締めくくるフリー走行2回目では、メカニックの助けを借りながらマシンを降りる姿も目撃されている。
手首の負傷から、決勝日にレース距離を走りきれるかどうか疑問は残っているかと訊かれたストロールは、次のように答えている。
「いや、僕はただ庇っていただけだ」とストロールは言う。
「少しは快適に感じられるようになっている。間違いなく、マシンを運転できると感じているよ」
「体調は問題ない。少し身体は硬いけど、マシンは全体的に大丈夫だった」
プレシーズンテストでチームメイトのフェルナンド・アロンソが最多の270周を走破した一方で、ストロールは怪我により0周。妥協を強いられることになっているが、バーレーンGP初日はコース上でできるだけ走行マイレージを稼ぎ、今年のマシン『AMR23』を理解することに専念する必要があった。
フリー走行2回目でストロールは1分31秒450を記録し、6番手。アロンソは0.543秒差でトップタイムをマークしている。
昨シーズンからのチームの進歩について、ストロールは次のように語っている。
「信じられないくらい素晴らしいよ。マシンのフィーリングも最高だし、チームは本当に最高の仕事をしてくれた」
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