分析
F1
フェラーリが2008年に登場させた過激なアイデア。今は必須デバイスのSダクト
F1チームは何も学ばないわけではない。レギュレーションの変更により、優れたアイデアの使用が禁止されると、デザイナーたちは多くの時間を費やして、失われたアドバンテージを取り戻すための方法を模索する。
Giorgio Piola Matt Somerfield
編集: 2020/04/27 3:10
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
F1は技術開発による”競争”の場である。そのため、ライバルチームに差をつけようと、様々なアイデアが登場しては消えていった。
現在多くのチームが採用しているSダクトも、そういったデバイスのひとつだ。このデバイスはフェラーリが2008年に登場させたもので、当初は非常にアグレッシブなモノとして当時注目を集めた。翌年から新レギュレーションが導入されたこともあり、一時このSダクトは使われなかったが、今では標準的に各マシンに使われている。
2008年にフェラーリが走らせていたのはF2008。そしてスペインGPで、このSダクトが初めてマシンに搭載された。
ただシーズン開幕前、発表会仕様のマシンを振り返ると、当時からこのSダクトの搭載を予定していたのは明らかだ。
Ferrari F2008 front suspension
Photo by: Giorgio Piola
シャシーの上面には、マシンの登場以来切り欠きが存在しており、新しいデザインのノーズが登場するまで、楔形のパネルで覆われていた。
このコンセプトの中心となる新しいノーズには、下面に開口部が設けられ、さらに背面に設けられた排出口はモノコックの切り欠きに位置が合わせられているだけでなく、その前方に小型の開口部が設けられている。
Sダクトの基本的な目的は、ノーズ下からバージボード、フロア前端やサイドポンツーンに向けて流れる気流を整えることにある。
気流が乱れるポイントに、ノーズ下の吸気口を付け加えることで、この問題をマネジメントし、気流の感度の低いところに流すようにしているのだ。
ただ、何もSダクトに限ったことではないが、設計の複雑さや重量の増加などを考えれば、そのデメリットを上回るだけのメリットがなければならない。特にこのSダクトの場合は、モノコックに切り欠きを設ける分、クラッシュテストを通過するのが難しくなるのだ。
帰ってきたSダクト
2009年はレギュレーションに大きな変更が加えられ、マシンが発生するダウンフォース量、そしてそれを生み出すための方法に、大きな影響を及ぼした。
このレギュレーション変更により、フェラーリスタイルのSダクトが採用できなくなった。ノーズの穴が空いていてはならないという、新たな規定が存在していたのだ。
2012年、メルセデスがDRSを作動させた際にフロントウイングも同時にストールさせるシステム、いわゆる”ダブルDRS”を登場させた際、レギュレーションがさらに改訂。フロントホイール中心線から150mm以上前方にある開口部は、ドライバーの冷却用にのみ使えることになった。
ただこのレギュレーションは、Sダクト同様の効果を生み出すのに十分な余地があり、ザウバーがそのコンセプトを最初に導入した。厳しい規制をかい潜ってのソリューションではあったものの、十分に価値のある効果を発揮した。
それ以降、このアイデアはさらに洗練され、全てのチームが少しずつ異なるアプローチながらも同様のデバイスをマシンに登場させてきた。
Read Also:
- 2009年のチャンピオンF1マシンBGP001は、同年を代表するマシンなのか?
- F1の歴史をガラリと変えた、奇抜なアイデア。ティレル019”ハイノーズ”誕生秘話
- 美しきF1マシン:まるで戦闘機。美しくも苦戦した、フェラーリF92A
- 美しきF1マシン:「ハイテク車最初の完成形。”最強マシン”の代名詞」ウイリアムズFW14B
- 使用禁止になった”画期的”デバイス1:各チームが追従したXウイング
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 F1の奇妙なスポンサー2:怪しすぎるオーナーの下、チームは活躍「マネートロン」
次の記事 ルクレール「ビアンキは僕よりも、フェラーリF1に相応しかったはず」
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment
More from
Giorgio Piola

F1メカ解説|2022年ヨーロッパ初戦……エミリア・ロマーニャGP木曜日、ピットレーン直送便
F1
F1
エミリア・ロマーニャGP
2022/04/22
F1メカ解説|2022年ヨーロッパ初戦……エミリア・ロマーニャGP木曜日、ピットレーン直送便

F1メカ解説|超高速サウジアラビア対策! 各チームはどんな空力パッケージを持ち込んだのか?
F1
F1
サウジアラビアGP
2022/03/30
F1メカ解説|超高速サウジアラビア対策! 各チームはどんな空力パッケージを持ち込んだのか?

フェラーリ、新車『F1-75』に革新的”分割”ノーズを採用。デザイン変更&コスト削減に効果アリ
F1
F1
Ferrari launch
2022/02/17
フェラーリ、新車『F1-75』に革新的”分割”ノーズを採用。デザイン変更&コスト削減に効果アリ
最新ニュース

フェルスタッペン、シンガポールGP未勝利の呪い解いて2連勝「ここまで長かった」
F1
F1 F1
シンガポールGP
1 時間前
フェルスタッペン、シンガポールGP未勝利の呪い解いて2連勝「ここまで長かった」

全部自分のせいだ……ルイス・ハミルトン、戦略ミスの責任を認める「チームに貢献したかった。次、必ず挽回する」
F1
F1 F1
シンガポールGP
3 時間前
全部自分のせいだ……ルイス・ハミルトン、戦略ミスの責任を認める「チームに貢献したかった。次、必ず挽回する」

アロンソ、ホンダ製PUの奇妙な挙動に苦しむ「マシンがサーキットのどこにいるのか、正確に把握できていなかったみたいだ」|F1シンガポールGP
F1
F1 F1
シンガポールGP
4 時間前
アロンソ、ホンダ製PUの奇妙な挙動に苦しむ「マシンがサーキットのどこにいるのか、正確に把握できていなかったみたいだ」|F1シンガポールGP

目指していた結果には届かなかった……ホンダF1折原エンジニア、シンガポールGPを振り返る「ある程度の期待を持って準備してきたが」
F1
F1 F1
シンガポールGP
9 時間前
目指していた結果には届かなかった……ホンダF1折原エンジニア、シンガポールGPを振り返る「ある程度の期待を持って準備してきたが」
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録