分析

F1

F1メカ解説|メルセデスのワイドなフロアは不利なのか? 他チームは”隠しステー”を使用

メルセデスはスペインGPで、ゼロポッドデザインに未来があるのかどうか、最終的な答えを出したいと考えている。

Jonathan Noble Matt Somerfield

編集: 2022/05/29 20:13

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Mercedes W13 fins

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 メルセデスの今季マシン『W13』はポーパシングの問題に悩まされ続けている。斬新なゼロポッドのコンセプトで進展がない中で、カタルニア・サーキットで開催されるスペインGPは、このコンセプトの今後を占う鍵を握っている。

 スペインGPは、メルセデスが貴重なデータを集めることができるレースとなるだろう。メルセデスがゼロポッドを導入したのは、バーレーンでの第2回プレシーズンテストから。バルセロナで行なわれた第1回プレシーズンテストでは、より標準的なサイドポッドで走行していたのだ。

 ローンチ・スペックの走行データが豊富にあるバルセロナで直接パフォーマンスを比較することで、チームがどのような方向性でクルマを開発していくべきか、重要な指標を得ることができるだろう。

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 チームがW13の問題を掘り下げれば掘り下げるほど、問題の核心はゼロポッドのアイデアによって露出しているフロアの面積が大幅に増え、敏感なマシンになってしまっているのではないかとチームは考えている。

 メルセデスのトト・ウルフ代表は、マイアミGPで次のように語った。

「グリッドを歩くと、我々のフロアエッジが他のどのマシンよりも大きく張り出しているのが分かるだろう」

「そのため、マシンが不安定になる原因の可能性がある範囲が広いんだ」

「そこが我々のコンセプトの違いだと思う。バルセロナでのローンチカーが理論上ではずっと遅いのは明らかだが、どうすれば今のマシンがドライバーにとって予測通りに機能するかを見つける必要があるんだ」

 メルセデスのソリューションは、確かにフロアをより多く露出させるモノとなっており、その結果マシンの周りを通る気流の自由度が高く、フロアのより広い範囲に荷重が分散されている。

 その影響なのか、メルセデスはライバルたちよりも低速域からポーパシングが発生。より早い段階で悪影響が起き始め、ブレーキングゾーンに入るまで回復しないほど長引いてしまう。

レッドブルとメルセデスのマシン後部比較(メルセデスはローンチ時の非ゼロポッド)

レッドブルとメルセデスのマシン後部比較(メルセデスはローンチ時の非ゼロポッド)

Photo by: Giorgio Piola

 FIAはプレシーズンテストの後、全チームがポーパシングに悩まされていることを考慮し、シーズン開幕前にマシンの左右、リヤタイヤの前方にフロアを支えるステーを1本ずつ取り付けることを許可した。

 メルセデスの場合、この金属製のステーはボディーを通していないため、他チームのステーよりもかなり長く見える(上図赤矢印)。それだけ、フロアの剛性確保という点では不利に働くはずだ。

 このステーの導入により、たわみを抑えるために強化されていたフロアを軽量化する計画を進めているチームもあるようだ。

 しかしながら、実は見えないところでもメルセデスは不利となっている。レッドブルやフェラーリは、ボディワーク内部の”隠しステー”で、フロアを支えているのだ。

フェラーリ F1-75の内部ステー

フェラーリ F1-75の内部ステー

Photo by: Giorgio Piola

 レッドブル(下)やフェラーリ(上)の画像で見られるように、このステーはサイドポッドのボディワーク内に収納され、車の中心線に近い中間点でフロアを支え、フロアのたわみとそれが原因で起こるポーパシングを抑制している。

 これらのステーはボディワークに内包されているため、上述のステー規制の影響は受けない。チームによっては複数のステーを設置したり、レッドブルのように複雑なカンチレバー(片持ち梁)構造を採用して、フロアの荷重を支えている。

レッドブルRB18の内部ステー

レッドブルRB18の内部ステー

Photo by: Giorgio Piola

 他チームと全く異なるデザインを採用しているメルセデス。しかし現状、メリットよりもデメリットが多いように思われる。

 そのため、ゼロポッド・コンセプトを放棄する可能性はあるのかと、何度も質問を受けているメルセデスだが、バルセロナのプレシーズンテストでも彼らがポーパシングに苦しんでいたことを忘れてはいけない。

 仮にローンチ仕様のサイドポッドに戻した場合、サイドポッド前部の空力特性が変更されるのは間違いないが、その場合でもマシン後部のフロアは大きく露出しているのだ。

 またメルセデスがこれまでに導入したアップデートとの帳尻をどう合わせるかというジレンマもある。

 それでもチームにとっては今季のパフォーマンスをどう改善・挽回するかだけでなく、すでにプロジェクトが進行しているであろう来季マシンの開発において、どんな方向に進むべきかも見定めなければならない。

 来季まで苦戦を引きずらないためにも、メルセデスはできるだけ早いタイミングで問題を理解・解決しなければならないのだ。

 

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