メルセデスが“大幅アップデート”で投入した超小型サイドポンツーン。レギュレーションではどう規定されている?
メルセデスは、F1バーレーンテストに大きくアップデートが施されたニューマシン「W13」を持ち込んだ。これには多くの関係者が驚かされたが、レギュレーションでは当該箇所はどう規定されているのだろうか?
写真:: Giorgio Piola
Motorsport.com's Prime content
The best content from Motorsport.com Prime, our subscription service. <a href="https://www.motorsport.com/prime/">Subscribe here</a> to get access to all the features.
メルセデスは、バーレーン・インターナショナル・サーキットで始まった2回目のF1プレシーズンテストに、大幅にアップデートされたマシンを持ち込んだ。そのマシンはサイドポンツーンがF1の歴史を振り返っても類を見ないほど小型化されていた。
このデザインはレギュレーションを満たしているのか? すでに論争の的となっており、今後もそれが加熱していくことになるかもしれない。では、このエリアはレギュレーションではどのように規定されているのだろうか?
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、このメルセデスのサイドポンツーンはレギュレーションの「精神」に反していると示唆したと、一部のメディアで報じられている。しかしF1では『レギュレーションの精神』を推し量るのは、非常に難しい。実際に検証できるのは、レギュレーションに書かれていることのみである。
今回のサイドポンツーンに関するレギュレーション上の重要な要素は、横方向の衝撃吸収構造(SIS)の配置と、フェアリングであろう。
F1マシンでは、SISを上下ふたつ設けることが規定されている。これは、2014年に導入されたモノで、搭載位置も厳格に規定されている。そのため、マシンをデザインする上での自由度も制限されることになった。
2022年には、ふたつあるうち上のSISの取り付け位置が、50mm引き上げられることになった。その結果各チームは、どうやって取り付けるのか、そしてサイドポンツーンのインテークへの気流にどう影響が及ぶのかを再考する必要があった。
Mercedes W13 chassis canards
Photo by: Giorgio Piola
メルセデスは、SISを許される範囲内のできるだけ高い位置に置き、それをフェアリング状のボディワークで覆った。そして超小型化されたサイドポンツーンからは独立して存在させ、空力パーツとしても機能させることを目指したのだ。
レギュレーションではこのSISは「車体で完全に囲まれていなければならない」と規定されているが、フェアリングで覆うことで「車体で完全に囲む」という文言を満たせると解釈したのだろう。
このフェアリングの上にはリヤビューミラーが設置され、ミラーのステーに並ぶような形でフェアリング外縁にボーテックスジェネレータ状のフィンが4枚(青い矢印)立てられた。
さらにコクピットのすぐ横にも、新しいフェンス(緑色の矢印)が設けられている。これを使って、気流を最適な方向に導こうとしていると考えられる。このフェンス自体は、他のチームも採用しているモノだ。
上部のSISをサイドポンツーンから切り離すことで、チームは内部のコンポーネントのサイズ、形状、レイアウト、さらにはインレットの形状を検証する上での自由度を引き上げる。さらにはそれらを覆うボディワークも再検討できるわけだ。
なおSISを内包するフィンは後傾しており、サイドポンツーンの上を通る気流を下向きに変えるようコントロールする役割も果たしているようだ。これに呼応する形で、コクピットの横、サイトポンツーンのインテーク前には2枚のカナード(赤い矢印)が設置され、インテーク内部に向かう気流の向きを下方に転換している。
メルセデスがサイドポンツーンを小型化するためには、前述の通り内部のレイアウトも大きく変える必要があったはずだ。この小さなインテークだけでは、各コンポーネントを冷却する上では不十分だろう。おそらくマシンの中心エリアに冷却用の機器を移動させ、サイドポンツーンの内部に置く機器の数を減らしているモノと考えられる。
そのためメルセデスのエンジンカウルも大きくなったように見え、排熱用のルーバーも、サイドポンツーン上面とエンジンカウル側面の2箇所に開けられるようになった。
■サイドポンツーン以外にも大規模アップデート
Mercedes W13 front wing comparison
Photo by: Giorgio Piola
この他にも、W13にはいくつかアップデートが加えられている。
まずフロントウイングの形状は、より複雑になった。ノーズ付近の角度が立てられた一方で、翼端板に近い部分にはうねるような複雑な形状が設けられている。さらに、複雑な波状の部分が特徴的だったフロアは、より平らでシンプルな形状に変わった。
バーレーンテスト初日、メルセデスはジョージ・ラッセルが9番手、ルイス・ハミルトンが11番手と、タイムシートでは下位に沈んだ。そして激しいポーポイズ現象にも相変わらず見舞われているようだ。さて、今回のアップデートの効果やいかに? そして彼らの真の実力はどれほどのモノなのだろうか?
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments