F1
F1パワーユニットの”エネルギーマネジメント”問題。いよいよ話し合いがスタート……結論を出すには時間がかかる?
本日(4月9日)、英国のロンドンでF1のエネルギーマネジメントに関する会議が行なわれる予定だ。そこでの話し合いが行なわれる結果、軌道修正することができるのだろうか?

Filip Cleeren
公開日時: 2026/04/09 11:14
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Isack Hadjar, Red Bull Racing
写真:: Clive Mason / Getty Images
中東情勢の悪化に伴い、F1は4月に開催が予定されていたバーレーンGPとサウジアラビアGPの2戦を中止せざるを得なかった。そしてこの間を使って、賛否両論巻き起こっている2026年のエネルギーマネジメントに関する規則について、会議が行なわれる予定だ。
オーストラリアで開幕した2026年のF1は、3月中に中国、日本と転戦した。その3戦では、今季から導入された新しいレギュレーションに関する、いくつかの問題が浮かび上がってきた。
F1もそしてそれを観戦するファンの多くも、オーバーテイクが増え、よりエンターテインメント性の高いF1になることに期待を寄せている。しかし新レギュレーション導入から3戦で、安全性、予選の迫力、そしてドライバーがマシンをどの程度コントロールできるのかという哲学的な部分などについては、批判的な声も挙がっている。
F1の商業権所有者であるFOM(フォーミュラワン・マネジメント)と統括団体であるFIA(国際自動車連盟)は、性急な決定を避けるよう努めてきた。FIAには調整を行なうための手段がいくつかあり、その一部は2026年シーズンの序盤戦から、すでに試験的に導入されている。
■最初の会議は4月9日
木曜日(4月9日)には、イギリスのロンドンで、技術面に関する会議が行なわれる。F1のショーとしての要素、そしてリアリティを高めるために、電気エネルギーの使用方法に関する規則をどう改善するかという点が、正式に話し合われることになる。
この会議が行なわれることになった最大の理由は、ほぼ全てのF1ドライバーが、現行規則下での予選アタックを、全開で行なうことができないという点に不満を抱いていることだ。
予選は、グランプリの週末の間で唯一、各マシンの全開走行を見られる機会であると言っても過言ではない。もっとも速いラップタイムが記録されるのも、この予選(特にQ3)であることが多いのも事実だ。
しかし今季のF1は、パワーユニット(PU)の全出力における電動モーターの割合が増え、エンジンとほぼ均等のパワーを発揮している。しかしバッテリー自体の容量は基本的には変わっていないため、どこでエネルギーを回生し、そのエネルギーを一番効果的に使うためにはどうすればいいかということを、常に考えながら走らねばいけないということだ。結果的にストレートでアクセルを緩めたり、高速コーナーを全開で駆け抜けることができなかったり……ドライバーは予選アタックであっても、全開走行を行なうことができなくなってしまっている。
今回の会議では、この事象を改善すべく、予選におけるエネルギー配分の微調整を行ない、ドライバーのスキルとレースの楽しさを再び前面に押し出すということが、主な議題のひとつとなるだろう。具体的には、そもそも使える電気エネルギーの量を減らしたり、エネルギー回生の方法やタイミングを変更したりすることが考えられる。
ただこの会議は、5月上旬に予定されているマイアミGPまでの間に行なわれる複数の会合の1回目にすぎない。そのため、いきなり何らかの決定が下されるということは考えにくい。それよりも、各チームやPUメーカーの技術専門家が、まず具体的な変更案を提案することが主となるだろう。この提案を受け、4月20日に行なわれる次回の会議で議論が行なわれる予定。この4月20日の会議には、F1の首脳陣や各チームも参加し、その後電子投票をもって決定が下されることになるだろう。
この一連の会議で得られた結論は、マイアミGP以降に試験的に導入され、そこで得られたデータがさらに分析される。そして必要に応じて、今度は夏休み期間にスポーティングレギュレーション(競技規則)の見直しが行なわれるということになるだろう。
■安全性に関する対策は?
マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、2026年シーズン開幕前から、エネルギーの使い方が異なる2台のマシンが急接近する危険性について警告していた。最初の2戦では大きなトラブルもなく、むしろ見応えあるレースが繰り広げられたため、この問題については影を潜める形となった。
しかし日本GPで、懸念されていたことが起きた。エネルギー回生のためにスプーン手前で減速したアルピーヌのフランコ・コラピントのマシンに、オーバーテイクの好機とブーストボタンまで押して最大加速を見せたハースのオリバー・ベアマンが急接近。2台はあわや追突という事態となった。ベアマンがコース外に飛び出してコラピントを避けたことで、追突という最悪の事態は避けられた。しかしベアマンはコースオフした「ことでコントロールを失い、ほとんど減速しないままコーナーアウト側のタイヤバリアにクラッシュ。その衝撃は50Gにも達したとされる。
この事故の結果、安全性に関する議論が再び持ち上がった。
レギュレーションの観点から見ると、安全性という言葉は実に複雑な意味合いを持つ。なぜなら、チームの合意が得られない場合でも、FIAとしては”安全性”が理由であれば、レギュレーションを一方的に変えてしまうことができるからだ。
しかし日本GPの後では、この車両が急接近してしまう可能性については、微調整が必要であるという認識が広がっている。そのため、4月20日の会議ではもちろん政治的な駆け引きもあろうが、FIAが強引に介入する必要はないだろうという見方もある。
■期待値の管理
新レギュレーションの大幅な見直しを期待していた人たちにとっては、4月の会議で導き出される結論は、期待はずれのものとなるかもしれない。
開発にかかる時間のことを考えれば、ハードウェアを変更するのはまず不可能。しかしチームとPUメーカーは、このレギュレーションに合わせて最適化するために、膨大な時間をリソースを投入してきたわけだ。どんな解決先が合意されたとしても、これまでの努力が無駄になるようなことは避けようとするだろう。
大きな変更が必要……ということになれば、少なくとも来季までは待たねばならないだろう。
新レギュレーションにおける人間vsマシンという要素、そしてドライバーは何をすべきで、何をすべきではないのか……そういった哲学的な議論も、後々なされるべきだろう。しかしそれ以上に差し迫った問題を解決するのが最優先であり、その哲学的議論は、別の機会に持ち越されるということになるはずだ。
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