F1 モナコGP

アルピーヌCEOが明かす”アマチュア発言”の真意。F1モナコGPの表彰台が「どうしても必要だった」理由とは?

アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、チームのシーズン前半の戦いぶりを「アマチュア並み」と辛辣に批判した。しかし、自らを戒める意図があったとして、モナコGPでの表彰台獲得がアンサーだと考えている。

Adam Cooper

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公開日時: 2023/06/02 5:52

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Esteban Ocon, Alpine F1 Team celebrates his third position with the team

 アルピーヌのエステバン・オコンは、F1モナコGPで3位表彰台を獲得。フランス勢にとって今年最大のレースであるモナコという絶好のタイミングで、力強いパフォーマンスを発揮した。

 アルピーヌのローラン・ロッシCEOは前戦マイアミGPの際、フランスのテレビインタビューで、チームのパフォーマンスは「受け入れがたい」「アマチュアのようだ」と痛烈なコメントを発し、F1パドックを驚かせた。

 その発言から数週間後に、こうした結果を残したアルピーヌ。このタイミングでの表彰台獲得は、チームにとって非常に重要だった。

 モナコでの好調はチームのプレッシャーを解放。叱咤激励したロッシも、オコンの表彰台獲得を祝うチーム写真でドライバーふたりの間に陣取り、喜びを爆発させていた。

 アルピーヌはモナコGPを終えてコンストラクターズランキング5番手につけているが、大きな野望を抱くワークスチームが、数シーズンかけて行なってきた再建プロセスの中で望むポジションではない。フランス政府が株主につくルノー傘下のスポーツカーブランドとしては尚更だ。

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 ロッシにとってモナコで鍵となったのは、レース後半に雨が降る難しい展開でチームが全てを上手くやり遂げ、メルセデスとフェラーリを上回る順位を手に入れたことだ。

 チームにとっては素晴らしい週末となったが、ロッシは大局をよく理解している。

 現在のマシンが十分に速くない中で、チームが最大限にパフォーマンスを引き出し、マシン特性に合ったサーキットでチャンスを掴むことが今後も重要だと彼は考えているのだ。

「良いことだし、重要だ。どうしても必要なポイントを獲得できたからね」

 そうロッシはモナコGPを振り返る。

「というのも、最初の数レースは本来あるべきレベルのパフォーマンスを発揮することができなかったからね。私がメッセージを発した目的はそこだ」

Esteban Ocon, Alpine F1 Team celebrates his third position with Pierre Gasly, Alpine F1 Team, Laurent Rossi, Alpine Chief Executive Officer and the team

Esteban Ocon, Alpine F1 Team celebrates his third position with Pierre Gasly, Alpine F1 Team, Laurent Rossi, Alpine Chief Executive Officer and the team

Photo by: Alpine

「そしてその結果、多くのポイントを獲得することができ、少なくともランキング5番手というポジションを強固なモノとすることができた」

「でも先走るのは禁物だ。我々が3位表彰台の常連であるということは、表面的には疑わしい。1週間後のスペインGPでは、おそらく普通の形に戻るだろう。6~10位の間のどこか、といったところだろう」

「そして私がチームに期待していたこと、つまり優れたチーム運営を実現し、エラーやミスを分析して異なる姿勢で対処する。そして、今回のような手堅い結果を持ち帰る……それはとても良いことだ」

 ロッシは今季マシン『A523』の競争力を高め、メルセデスやフェラーリと互角に戦うことは簡単ではないと認めている。しかし、良い方向性を見出すことができたという。

「マシンパフォーマンスの面では、時間がかかるものだ」

「アップグレードが必要だ。空力の成熟度が上がり、みんなマシンを理解するようになり、停滞期に入ってきている感じだ」

「だからこれからは、どんなコンディションでもマシンを運用し、確実に結果を出すことが重要だ。残りのシーズンは、かなり面白くなりそうだ」

「とはいえ、少なくともこの2戦のマイアミGPとモナコGPでは、優秀なチーム運営を実行に移すことができた。そのおかげで、2021年は6番手マシンでランキング5位に、昨年は4番手マシンで4位を獲得することができていたのだ」

「それは、チームが強くしっかりしていたからだ。チームがそのレベルに戻ったことを嬉しく思う」

「これでこそアルピーヌだ。彼らはとても誇りに思っているはずだし、そうであるべきだ」

Laurent Rossi, Alpine F1 Team CEO

Laurent Rossi, Alpine F1 Team CEO

Photo by: Alpine

 またロッシは、チーム経営陣は既に自身の考えを知った上で、CEOとして強烈なメッセージを”外向き”に発信したのだという。

「私はみんなひとりひとりにそのメッセージを伝えた」とロッシは説明する。

「ひとつみんなが忘れているのは、私はチーム代表ではないということ。アルピーヌF1のトップには非常に優秀なマネージャー陣がいて、私がF1に割く時間はほんの少しだ。彼らには私の考えを何度も伝えている」

「そしてジャーナリストや投資家、外の世界の人々から『状況に満足しているか』『評価はどうか』と訊かれたら、私はそれに答える必要がある」

「みんなは私のチームに向けた発言だと思っていたが、あれはチーム内だけでなく、チームの外にも向けられたモノだったのだ」

「忘れて欲しくないのが、私たちは上場企業の一員であるということだ」

「パートナーやスポンサーも沢山いる。そして彼らは、一見してチームが正しい方向に進んでいるのかどうか、疑問に思う時がある。だから『我々の野心に比べたら、まだまだだ』と分かっている人が(アルピーヌ内に)いる、という安心感を与えるメッセージを送る必要がある」

 ロッシの発言によって、就任から1年余りでチーム代表のオットマー・サフナウアーの座が危ういのではないかという憶測を呼んだ。

 ただロッシはサフナウアーを採用する際に調査を行ない、当時は彼がチーム代表に相応しい人物であると断言していた。そして自身のメッセージはチーム代表だけに向けたモノではなかったと説明している。

「私がそう言ったから、オットマーは脅されたように映ったのだ」とロッシは言う。

「オットマーがトップであることは確かだが、それだけの話ではない。オットマーはマシンを設計する訳でも、マシンをドライブする訳でもなく、全てを指揮する男なのだ」

「あのメッセージは、『自分たちには目標があり、その目標に照らされて評価されるのだ』ということを思い出させるためのモノだ。それだけだ。そう言った1レース後に、オットマーを解雇するつもりはなかった」

 メッセージは経営陣に向けたモノでもあったのではないか? とロッシに訊くと彼は次のように答えた。

「あれはマネジメント陣へ向けたモノでもあったのだ」

「私だけでなく、世界中が自分たちを見つめていることを理解してもらうためだ。私はスポンサーや投資家、株主に対して、彼らを代表して話をしていた。診断書の提出を求められたので、私はそうしたのだ」

Esteban Ocon, Alpine F1 Team A523

Esteban Ocon, Alpine F1 Team A523

Photo by: Alpine

 ただ、こうした発言によって、チーム周辺に混乱と不安をもたらし、不用意なゴシップをパドックに振りまくリスクがある。しかしロッシは、自分の言葉が意図と違う形で受け止められることはないと考えている。

「正直なところ、それがどうであれ、どうなるかは分からない」とロッシは言う。

「場所によって受け取られ方が全く違うのは理解している。アメリカでは好評、フランスでも好評だとしてもイギリスでは不評かもしれない」

「でも、効果があればそれで良い。チームは私がどう考えているか知っている。そして私が彼らを高く評価していることは、何度も何度も伝えてきた」

「(テレビ)インタビューでは、このチームの実力は分かっているとさえ言った。彼らは昨年、それを示してくれた。ただ、私はガッカリしたのだ」

「つまり、ランキングを見れば誰でも分かるように、とてもシンプルなメッセージなのだ。『我々はちゃんと戦えているか?』『それは満足いくモノなのか?』それらが理由だ」

 

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