バーレーン”オーバル”GPの実現可能性は高い? その理由は……

F1のマネージングディレクターであるロス・ブラウンは、今年末にバーレーンの”ほぼオーバル”コースでレースを開催する可能性があることを明らかにした。ただこれは幻想ではなく、現実的な案のひとつであると言えそうだ。

Bahrain oval track

 7月5日にオーストリアで遂に開幕を迎える今季のF1。その後9月上旬までヨーロッパでレースを行ない、9〜11月にアジアと南北アメリカ大陸を転戦……12月に中東で最終戦を迎える予定だ。ただ日本、シンガポール、アゼルバイジャンの3戦は今季中止されることが決まったため、今後開催スケジュールはさらに変更される可能性もある。

 F1のオーナー企業であるリバティメディアは、今季中に15〜18戦開催することを目指しており、それを実現するためには、中止されるグランプリの代替イベントを設定しなければならない。そのため、オーストリアとシルバーストンは、2レースを開催することがすでに決定。イモラやホッケンハイムといった当初の開催カレンダーには含まれていなかったサーキットで、代替イベントが開催される可能性も示唆されている。

 12月に開催が予定されているバーレーンも、2レース開催が噂されているサーキットのひとつだ。そしてF1のモータースポーツ面のマネージングディレクターを務めるロス・ブラウンは、同サーキットでの2レース目が、通常のレイアウトとは異なり、ほぼオーバルのレイアウトになる可能性があることを明かした。

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 このレイアウトは、通常F1で使われるヘアピンやスイッチバックを排除。3つの長いストレートを全11のコーナーで繋いだレイアウトは、事実上三角オーバルとも言えそうなモノである。

 コースの全長は3.543km。これはモナコに次ぐ短さとなる。通常F1のレースは305kmを超えた最も短い周回数で争われるとレギュレーションによって規定されているため、計算上は87周のレースということになる。

 ただモナコなどとは異なり、平均速度はかなり高くなることが予想されるため、レース時間も短くなることだろう。チームはマシンのダウンフォースを減らしたセッティングを施すことになる。さらにDRSの有効性も高まり、通常とは全く異なるレース展開を生み出すかもしれない。

 F1の上層部は、同一サーキットで2レース連続開催となった場合、その2レース目がマンネリ化することを防ぎたいと、様々な対策を考えていることを明らかにしていた。

 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、同一サーキットで2レース連続開催することについて、次のように語った。

「1週間後に行なわれる同じイベントに、チャンネルを合わせるだけの大きな魅力があるとは思えない」

 2レース目となるイベントで、リバースグリッドによる予選レースを実施しようという動きもあった。しかしこれはメルセデスが反対し、導入が見送られている。

 その代わりに、現状分かっている範囲内で言えば、シルバーストンのレースは、1レース目と2レース目のタイヤ持ち込みコンパウンドが変えられている。しかし、これがレースに与える影響はごくわずかであろう。

 またいくつかのサーキットでは、サーキットを逆走したり、異なるレイアウトでレースを行なうという可能性も取り沙汰された。最終的には安全性の問題により実現が難しそうだが、その案については好意的な意見も多かった。

 フェラーリのシャルル・ルクレールは、この計画について早々に支持したひとりだ。

「それはとってもクールだ。そして、とても良いことだと思う」

「全てのサーキットを再発見することになるだろうし、マシンに求められるモノも大きく異なるだろう。これは面白いアイデアかもしれない」

 ただこれは、前述の通り安全上の理由から実現しないことになった。F1のレースは、FIAからグレード1のライセンスが付与されたサーキットレイアウトでのみ開催できるようになっているからだ。これを考えると、すでに2週連続開催が決まっているレッドブルリンクとシルバーストンは、いずれも通常のレイアウトのみグレード1のライセンスを取得している。つまり、他のレイアウトを使うことはできないのだ。

 ただ、複数のレイアウトでグレード1を取得しているサーキットもある。そのうちのひとつがバーレーンであり、三角オーバルのレイアウトも同グレードを取得済み……つまりF1を開催することができるのだ。

 このように通常とは異なるレイアウトでレースを行なえるというチャンスは、滅多にない。今年は、それを試してみることができる唯一無二のシーズンであるとも言える。試してみる価値は十分にありそうだ。

 

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