エンジン圧縮比のトリックを封じても、メルセデスの独走は止まらない? フェラーリ代表「多くの要素が関係している」
エンジンの圧縮比に関する抜け穴が封じられることで、メルセデスはパフォーマンスを落とすだろう。しかしフェラーリのチーム代表は、それによってメルセデスの優位性が完全に失われることはないだろうと語る。
Lewis Hamilton, Ferrari, George Russell, Mercedes
写真:: James Sutton / Formula 1 / Formula Motorsport Ltd via Getty Images
今年の6月1日から、エンジンの圧縮比の測定方法が変更されることになる。これはメルセデスがレギュレーションの抜け穴を突き、エンジンの温度によって圧縮比が変わる手法を見出したことを封じるものであるが、フェラーリはこのことによって、メルセデスに追いつけるとは感じていない。
2026年からF1のレギュレーションが大きく変更。様々な要素が変更されたが、そのうちのひとつが、エンジンの圧縮比を昨年までの18:1から16:1へと引き下げるということだ。
この圧縮比は、現在は常温時にのみ計測されることになっている。しかしエンジンが稼働し温度が上がった際に圧縮比を引き上げる手法を、メルセデスが見つけ出したとされる。
メルセデスも基本的にはこれについて認めているものの、チーム代表のトト・ウルフは、2〜3馬力程度の効果しかないと主張。一方でライバルたるレッドブルのマックス・フェルスタッペンは「間違いなくひと桁違うだろうし、それ以上かもしれない」と反論している。
この件については開幕前から大論争に発展。様々な話し合いが行なわれた結果、6月1日からは常温と130℃のふたつの条件で圧縮比が計測される形にレギュレーションが変更された。つまり、温度によって圧縮比を引き上げる手法が封じられるわけだ。
これによってメルセデスは、確実にパフォーマンスを落とすことになるだろう。しかしフェラーリは、圧縮比の抜け穴が封じられたとしても、メルセデスに追いつくことはできないと考えているようだ。
「新しい圧縮比のルールが、勢力図の変更に繋がるとは思っていない」
フェラーリのフレデリック・バスール代表はそう語った。
「それよりもむしろ、ADUOが我々にとって差を縮めるチャンスとなるだろう」
ADUOとは、”追加開発&アップグレードの機会”のこと。シーズン第6戦、第12戦、そして第18戦の後に各メーカーのパワーユニット(PU)の性能がそれぞれ評価され、最高出力を誇るPUから2〜4%パフォーマンスが劣るメーカーは、追加のアップグレードが1回許可され、4%以上劣るメーカーは2回アップグレードを行なうことができる。
当初このADUOは、マイアミGP、ベルギーGP、シンガポールGPの際に判断されることになっていた。しかしバーレーンGPとサウジアラビアGPの開催が中止となったため、モナコGP、オランダGP、メキシコシティGPの後に判断する形に変更されるだろう。
「しかし繰り返すが、重要なのはエンジンの性能だけではない」
バスール代表はそう説明する。
「エネルギーマネジメントやシャシーなど、多くの要素が関係している。ひとつのパラメータだけに注目するのは、間違いだろうね」
フェラーリは開幕2戦を終え、2番手チームのポジションを確固たるモノとしている。しかし首位メルセデスとは大きな差があり、予選では0.6秒ほど遅れている。レースペースではその差は縮まるように見えるが、バスール代表によればそれはオーバーテイクモードの影響であるという。
「中国GPの序盤は、メルセデスと激しいバトルを繰り広げることができた」
そうバスール代表は言う。
「1秒差以内につけていれば、ブーストを効かせてペースを維持できる。しかし1秒以上逃げられてしまうと、状況は一変する。最初の数周はメルセデスよりも少しプッシュできるかもしれないが、各スティントの最初の10周を過ぎると、彼らよりも1周あたり0.4秒、あるいは0.5秒ほど遅れてしまうんだ」
「特にストレートでのパフォーマンスに課題があることは分かっている。改善する必要があるだろう。メルボルンでは0.8秒差、(中国GPの)金曜日は0.6秒差、土曜日は0.4秒差だったがら、少しずつ改善している。状況を理解し、差を縮めつつあるけど、まだ大きな差があるんだ」
「エンジンだけの問題ではない。あらゆる面で改善に取り組む必要がある。これまで同様に、シャシーやタイヤについても改良しなければいけない。レースの本質は変わっていないし、パフォーマンスを構成する全ての要素は依然として重要だ。ひとつのパラメータだけに集中する必要はないが、これは大きな挑戦だ」
「エンジンの改善が必要なことは分かっているが、これはADUOの後になる。エネルギーマネジメント、シャシー、エアロダイナミクスについても改善が必要だ。あらゆる分野に全力で取り組み、差を縮めようとしている」
フェラーリは現時点でランキング2番手。ランキング首位のメルセデスとは、既に31ポイントの差が開いている。ただランキング3番手のマクラーレンとは49ポイントの大差である。
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