FIA F2

チームが一時”トリコロール”に染まりかける危機……岩佐歩夢、F2制覇に向けた足場づくりで得た学び「チームメイト同士で争うだけでは何も得られない」

F1直下のFIA F2に参戦する岩佐歩夢は、2023年シーズン開幕3戦を終え、チームメイトのアーサー・ルクレールとの関係性に大きな前進があったとして、コース内外で大きな学びを得られたと語っている。

滑川 寛 田中 健一

公開日時: 2023/04/27 9:05

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Ayumu Iwasa, Dams

 F1への最終ステップとなるFIA F2に今季もDAMSから参戦する岩佐歩夢。今季チームメイトには新たに、スクーデリア・フェラーリ所属のF1ドライバー、シャルル・ルクレールの弟アーサー・ルクレールを迎えた。

 ホンダ・フォーミュラドリーム・プロジェクト(HFDP)およびレッドブル・ジュニア所属の岩佐と、フェラーリドライバーズアカデミー(FDA)所属のルクレール。大きな看板をそれぞれに背負うふたりは、開幕前からお互いをライバル視していたものの、シーズン前半戦を戦う中で、コース外での関係性がコース内の結果に大きく影響することを学んだと岩佐は語っている。

 岩佐は参戦初年度となった昨年のF2をドライバーズランキング5位で終え、今季はF2タイトルを手中に収めるべくシーズン開幕を迎えた。しかし、プレシーズンテストから第1戦バーレーンにかけては、フランスのル・マンに拠点を置くDAMSにフランス語を母国語とするルクレールが加入したことで、チーム内のコミュニケーションが英語からフランス語に置き換えられてしまうこともあったという。

「テストの時期や開幕戦周辺では、やはりフランス語が多くなってしまい、苦戦していました。この状況が良くないというのは誰もが分かる話なので、僕の方からそれに関してチームや色々なメンバーに話をしました」と岩佐は言う。

「それで、英語でしっかりと話をするようにという伝達がチームの各メンバーに届き、サウジアラビアやオーストラリアではかなり状況が変わってきていました」

 そうした状況の中で、岩佐とルクレールはチームを”自陣営”に取り込もうとライバル心を燃やしていたという。

「ルクレールは1年目ですけども、DAMSをできるだけ自分のチームにしようとしているとすごく感じました。僕もそれではまずいと思って、さらに自分へ振り向かせようと少しアプローチしていたこともありました」

 そう岩佐は言う。

「ただそれは結局、チームメイト同士でバチバチやりあっているだけで、チームに対して何の利益にもならなかったんです。そうなると速いマシンはできなくて、ARTグランプリやMPモータースポーツに離されてしまったというのが開幕戦とサウジアラビアでの状況でした」

Ayumu Iwasa, DAMS

Ayumu Iwasa, DAMS

Photo by: Red Bull Content Pool

 DAMSは今シーズン、F2参戦2年目となる岩佐がサウジアラビアでの第2戦ジェッダのスプリントレースを制したものの、開幕2戦で苦戦。ARTグランプリやMPモータースポーツ、カンポスなどといったチームに後れを取っていた。

 しかし第2ラウンド終了後、チーム側からマシンの改善にはドライバーのフィードバックが”頼みの綱”だと念を押された岩佐とルクレールは、第3ラウンドに向けてより良い協力体制を築くようになった。その成果が、第3戦での岩佐のポール・トゥ・ウィンやルクレールのF2初表彰台獲得といったDAMSとしてのパフォーマンス改善に繋がったと岩佐は説明する。

「バーレーンやサウジアラビアでのポールラップやレースのオンボード映像を見て、僕とルクレールの一対一で『なぜこのARTのマシンはこういう動きができるのか』『なぜこのドライバーはこういう走りができるのか』を分析する時間を作るなど、ふたりでコミュニケーションを取って何か発見できないか色々トライしました」

「ふたりで見ているとアイデアが生まれたり、発見もあります。それをチームに『こういうのはどうだろう』『この動きは僕らにはできない』と話をすると、DAMSの強力なエンジニア陣にもアイデアが色々と浮かんできます。コミュニケーションを取っていく中で、オーストラリア戦に向けた方向性もある程度見えてきて、シーズン中には普通変えないようなマシンセットアップまで変更してみた結果、2台とも速くなりました」

「僕自身もそうですが、チームとルクレールも、シチュエーションの違いが結果に大きく影響するということを大きく感じたオーストラリア戦でした」

Ayumu Iwasa, DAMS, Theo Pourchaire, ART Grand Prix, Arthur Leclerc, DAMS

Ayumu Iwasa, DAMS, Theo Pourchaire, ART Grand Prix, Arthur Leclerc, DAMS

Photo by: Formula Motorsport Ltd

 そして、岩佐はこの学びが今後に活きるとして、残りシーズンに確かな手応えを感じている。

「チームとして2台がまず上位で走れるようになれば、ふたりに優勝のチャンスが回ってきますし、僕もルクレールもお互いに絶対負けないと思って走っています。その後はコース上でバチバチやり合うだけになりますが、そこに到達するまではチームとして動いていくことが本当に大事だと、僕自身かなり勉強になりました」

「やはり去年末から僕も彼に対してライバル意識もありましたし、チームを自分の方向に向けようというようなアプローチもしていたので、それが必ずしも正しい方向性という訳ではないと個人的にかなり勉強になった期間でした」

「これは絶対にF2だけの話ではないと思うので、こういったコース上ではないところでの経験値はしっかりと今後に活かして活きたいと思います」と岩佐は言う。

「今シーズンに関しても(チームが)良い状況になってきているというのはポジティブなことなので、これを継続してまずチームとして強くなってから、その先の自分自身の優勝を目指して戦っていきたいなと思います」

 

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