FIA、フォーミュラEの全チームにブレーキシステムの安全性見直しを要請

FIAは、開幕ラウンドのディルイーヤePrixで発生したエドアルド・モルタラの事故を受けて、ブレーキシステムに不具合が発生した場合に備え、故障モードとその影響分析の見直しをするよう要請した。

The damaged car of Edoardo Mortara, Venturi Racing, Silver Arrow 02, on a truck after his crash

The damaged car of Edoardo Mortara, Venturi Racing, Silver Arrow 02, on a truck after his crash

Andrew Ferraro / Motorsport Images

 FIAは、2月末に開催されたフォーミュラEの開幕ラウンド、ディルイーヤePrixで発生したエドアルド・モルタラ(ヴェンチュリ)の事故を受けて、全チームに対して改めてブレーキシステムの故障モードと影響の分析を見直すよう求めた。

 モルタラは、ディルイーヤePrixのレース2のプラクティスでスタート練習を行なった際、ブレーキ・バイ・ワイヤ(BBW)のシステム不具合により、ターン1を直進しウォールに激しくクラッシュ。大きな衝撃を受けたモルタラは、念のため病院で検査を受けた。

 このトラブルを受けて、メルセデスとそのカスタマーチームであるヴェンチュリは予選への出場が許可されなかったが、日曜日の夜に行なわれた決勝レースへの出場は認められた。

 ローマePrixのダブルヘッダーを前に、FIAは全チームに対しブレーキシステムの故障モードと影響分析(FMEA)を見直すよう要請した。各マニュファクチャラーは、車両のホモロゲーションを取得するため、トラブルに関するあらゆるシナリオを想定したリストを提出しなければならない。

Marshals remove the car of Edoardo Mortara, Venturi Racing, Silver Arrow 02, from a barrier after his crash

Marshals remove the car of Edoardo Mortara, Venturi Racing, Silver Arrow 02, from a barrier after his crash

Photo by: Andrew Ferraro / Motorsport Images

 テクニカル・デレゲートのローラン・アルノーが発行したブルテンには、次のように記されている。

「特に、ドライバーが何らかの理由(リークやキャリパーの問題など)でフロントブレーキを失った場合、システムはそれを検知して(回生またはBBWなどで)リヤブレーキを作動させることができなければならない」

「サプライヤーが供給するシャシーの共通パッケージには、タンデムブレーキマスターシリンダーの変位センサーが含まれている。これらのセンサーを使って、ブレーキシステムのリークを検出できれなければならない」

 モルタラのクラッシュでは、ブレーキペダルは完全に踏み込まれていたが、フロントブレーキの圧力はゼロだと記録されていた。これはブレーキラインのリークが起きていた可能性が高い。

 FIAは、モルタラの事故の根本的な原因はまだ完全には特定されていないものの、「今のところ、シャシーの共通部品には懸念はない」と明らかにしている。

 メルセデスのニック・デ・フリーズは、昨年のメキシコシティePrixで同様のトラブルに見舞われてリタイアしているが、モルタラのクラッシュとは要因が異なると示唆されている。

 またFIAは各チームに対し、ブレーキペダルに問題が発生した場合に備え、マシンを減速させることができるパドルを搭載するよう提案している。多くのチームが、すでにエネルギー回生を制御するパドルを使い、そうした機能を実現しているようだ。

 DSのパフォーマンス・ディレクターであるトーマス・シュヴォシェは、motorsport.comに次のように語った。

「FMEAに加え、FIAはドライバーがパドルを使ってクルマを減速させることができるモードを推奨している」

「ブレーキシステムに非常に深刻な多重トラブルが発生した場合、ドライバーは回生パドルを使ってクルマを減速させることができる。これは、通常の内燃機関搭載マシンと比べ、安全性が高いと言えるだろう」

「何らかの理由でブレーキが効かなくなった時、モーターによって減速させることができるんだ」

 ローマePrixのシェイクダウンでは、残り時間1分のところでアンドレ・ロッテラー(ポルシェ)がBBWのトラブルにより、コース上でマシンを停めている。

Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 ポルシェ、Gen3規則下でのフォーミュラE継続参戦を表明。合成燃料の開発と並行し電動レースにも注力
次の記事 フォーミュラE、ローマePrixの開催は「奇跡に近い」ドライバーたちがイベント実施の努力に感謝

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

最新ニュース

岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での更新に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?

岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での更新に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?

SF スーパーフォーミュラ
第1戦:鈴鹿
岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での更新に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”? 岩佐歩夢が、SF開幕戦で無線交信に英語を使っていた理由「日本語での更新に違和感」 レポートも日本語と英語が混在……まるで”ルー”?
レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア

レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア

F1 F1
レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア レッドブルの今季マシンRB20、次世代2026年見据えた「大勝負」だったとチーフエンジニア
佐藤琢磨、15回目のインディ500へ。紅白基調のマシンカラー公開……多くの日本企業がスポンサーに

佐藤琢磨、15回目のインディ500へ。紅白基調のマシンカラー公開……多くの日本企業がスポンサーに

Indy IndyCar
佐藤琢磨、15回目のインディ500へ。紅白基調のマシンカラー公開……多くの日本企業がスポンサーに 佐藤琢磨、15回目のインディ500へ。紅白基調のマシンカラー公開……多くの日本企業がスポンサーに
ドゥカティ、期待の若手フェルミン・アルデゲルとの契約を発表。2025年にMotoGP昇格も、チームは未発表

ドゥカティ、期待の若手フェルミン・アルデゲルとの契約を発表。2025年にMotoGP昇格も、チームは未発表

MGP MotoGP
ドゥカティ、期待の若手フェルミン・アルデゲルとの契約を発表。2025年にMotoGP昇格も、チームは未発表 ドゥカティ、期待の若手フェルミン・アルデゲルとの契約を発表。2025年にMotoGP昇格も、チームは未発表

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本