フォーミュラE車両の見えない進化。ドライバーの“キックバック骨折”増加受けてFIAが対策
フォーミュラEが2024-25シーズンから使用したGen3 Evo車両は、ドライバーの手を守る機能も追加された。
Sam Bird, McLaren
写真:: Andreas Beil
フォーミュラEは2024-25シーズンからGen3 Evoを導入。予選や決勝スタート時、アタックモード使用時には4輪駆動となり最大出力350kW(470馬力)を発生させることが注目を集めたが、目には見えない部分でも従来マシンから進歩。ステアリングのキックバックによりドライバーが手を骨折する怪我が増加した背景を受けて、FIAが安全措置を講じていたのだ。
フォーミュラEではそれまでの2年間で、ロビン・フラインス(エンヴィジョン・レーシング)とサム・バード(マクラーレン)が走行中のクラッシュにより手を骨折した。
特にフォーミュラカーでは、クラッシュの反動(キックバック)によりステアリングロッドが押し返されることでステアリングホイールが急激に回転し、ドライバーの手が巻き込まれるという事故がよく見受けられる。F1でも2023年オランダGPで当時アルファタウリのダニエル・リカルドがクラッシュ時のキックバックによって左手の中手骨を骨折し、回復に時間を要した。
ただフォーミュラEの場合は、マシン前部でアクシデントが起きた際、ステアリングが通常の10倍のスピードで回転していることが分かったという。また市街地コースでの開催が多いため、クラッシュ時にドライバーが回転するステアリングから手を離すのが遅れやすいというのも考えられる。
「私は、これらの手の骨折が通常ではないことに気がついた」
FIAの医療デレゲートを務めるブルーノ・フランチェスキニは『ドライバーの安全性を向上させる実践的なアプローチ』というFIAのドキュメンタリー動画の中でそう語った。
Oliver Rowland, Nissan Formula E Team
Photo by: Alastair Staley / LAT Images via Getty Images
「ドライバーのことはよく知っているし、彼らからフィードバックを受けていた。彼らが私に伝えている内容や、マシン内での感覚を考慮し、FIAの安全部門と話し合い、何か対策を講じる必要があると伝えた」
フィードバックを受けて、FIAはGen3マシンのシャシー製造を担当するスパーク・レーシングテクノロジーと協力し、ステアリング形状を変更した。コクピット側面にフォームパッドを追加した他、フロントウイングのデザインを変更することでタイヤを保護した。
また、スパークと共に開発した新しいステアリングタンパーはクラッシュ時のエネルギーを吸収。ピーク回転速度を最大40%軽減する役割を果たしており、こうした安全措置を導入して以降、フォーミュラEではキックバックによる怪我は発生していない。
「FIAはこれを認識し、このような事故や問題が2度と起こらないよう、通常の範囲を超えて対応してくれた」とバードは振り返った。
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