公道レース本格開催への”本当に第一段階”……JAFが考える、A1市街地GPの意義
島根県江津市で開催されたA1市街地グランプリGOTSU 2020。この開催コースは臨時ながらもJAFのカートコースライセンスを取得した正式なモノとなった。

9月20日(日)に島根県江津市で開催されたA1市街地グランプリGOTSU2020。走ったマシンはレンタルカートながら、日本で開催された初めての公道レースとして、ある意味金字塔を打ち立てたと言える。
今回の舞台となったコースは、当初予定された1.7kmkから783mに短縮されたもの。そして、実際にJAF(日本自動車連盟)から「JAFカートコースライセンス」が臨時で発給された。
コースについては、何度もJAFの担当者が視察に訪れ、開催の2〜3週前にも最終的な視察を実施。そして20日の走行開始直前にも最終的なチェックが行なわれ、無事にライセンスが発給されることになった。
「短時間でアッという間にコースができてしまった。この様子なら、いろんなところで開催できるんじゃないかという気がします」
そう語るのは、JAFのカート審査委員グループの鎌田新リーダーである。
「地元の同意を得るのには、相当時間がかかったみたいです。でも日本で初めての公道レースだということは、モータースポーツの認知を上げていくためにも、PRしていくべきだと思います。そして、同じようなレースを、日本のいろんなところでやってもらいたいと思います」
今回のレースが成功すれば、さらに大きな公道レースを日本で開催できるようになる、その第一歩になると、鎌田リーダーはレース前に語っていた。
「本当に第一段階だと思います。そして、これからも色々なところで盛り上がっていけばいい。もう少しコース幅が広ければ、さらに安全を確保することができます。走るのはレンタルカートですから、スピードも60km/hくらいですし、マシン自体も安全にできています」
「ただ心配だったのは、短時間でもコース設営でした。でも、予定の時間よりも早く完成してしまった。地元の方にご迷惑をかけるわけにはいかないということでこういうスケジュールになりましたが……楽しんでいただけるといいですね」
そしてレース後、改めて鎌田リーダーに話を聞くと、沿道で見ていた地元住民らの姿に、感銘を受けたという。
「結構うまくいったんじゃないですかね?」
そう鎌田リーダーは語る。
「コースを1周回ってみたんですが、地元の年配の方々も、『面白かったのでまたやってください』とおっしゃっていました。そんなこと、なかなかないですよ。夫婦でニコニコ笑いながらそう語る方もいたし、一家でベランダに出て、何か食べたりしながらレースを見ていました。ヨーロッパみたいだなと思いました」
コース幅が狭く、そして観戦ポイントから近いところを、マシンが駆け抜けた。初めてモータースポーツを見る人たちにとっては、迫力満点のスピード感だったようだ。だだ、マシンをもう少し速いレーシングカートにしても、今回のメンバーなら問題ないだろうと語った。
「今日はタイヤが新品だったので、おそらくレースが終わる頃にようやくグリップが上がってきたんではないでしょうか? このタイヤは、スリックタイヤですが耐摩耗重視のタイヤでしたから」
「レーシングカートで走ったら、衝撃吸収バリアに当たると壊れてしまうかもしれません。ただその分グリップは上がるし、コントロールしやすい……今日のメンバーなら、速くなっても問題ないでしょうね」
なおこの日は、JAFカート部会の小島義則部会長も訪れていた。小島部会長も、今回のレースがモータースポーツへの理解が広がる、その第一歩になることを願っていると語った。
「主催者とか行政とか、そういう人々の協力があって実現できたと思います」
「四輪もカートもそうですが、開催サーキットの多くは、一般の人が行きにくい場所にあります。そういう意味では首都圏など、人が集まりやすい場所でも今回のようなイベントができれば、もっとモータースポーツを、いろんな方に理解していただけるんじゃないかと思います」
「みなさんが真剣に、そして安全を最大限に考えてレースをやっています。そういうふうにきちんとやっているモータースポーツが、一般の方々にどう見えるのかは分からないですが……少なくとも今日は、多くの方々に見ていただくことができました」
「でもこれを続けていくことで、理解がだんだん深まっていくのではないかなと思います」
JAFが主体となって公道レースの開催を推し進めていくのは難しいとしながらも、それを進めていきたいと希望するオーガナイザーをサポートしていきたいと小島部会長は語る。
「オーガナイザーさん次第ですね。色んなところでこういうイベントを企画されることになると思います。それを期待するしかないですね」
「我々にできるのは、提出されたモノに対して安全確認をしたり、ルールと照らし合わせたり、こうした方が安全性が高まるとアドバイスしたり……そういうところまでです。そこから先は、オーガナイザーさん次第だと思いますね」
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