General JAPAN MOBILITY SHOW 2025
ホンダが目指す宇宙への道……垂直離着陸に成功したロケットには、F1に通じる部分も?「そのまま使う技術はあまりない……でも共通する考え方はある!」
Japan Mobility Showでは、ホンダが開発したロケットの実機が展示されている。このロケットには、モータースポーツに共通する考え方が活かされているという。そして2029年には、宇宙に到達することを目指している。
田中 健一
編集: 2025/11/02 6:46
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JAPAN MOBILITY SHOW 2025
写真:: Motorsport.com / Japan
東京ビッグサイトで開催されているJapan Mobility Show。ホンダのブースには、なんとロケットが展示されている。このロケットは今年(2025年)の6月に離着陸実験に成功した、まさにその実機である。近くで見ると、そこかしこに実験の際についた傷などがついており、それがまさに迫力を演出している。
ホンダのWEBサイトでは、このロケットには「自動車だけでなく、ホンダジェットや、F1の技術なども参考にしている」と語られている。ではこのロケットには、F1のどんな技術が転用されているのだろうか?
「そのまま使っているかというと、そんなわけでもないです。ですが、いろいろな制御技術だったり、空力も含めてどう評価するかというところは、やはり共通してくる部分があります。明確に『これです!』というモノがそんなに多いわけではないですが、少し幅を持たせながら、いろいろな技術を取り込んでいます」
そう語るのは、本田技術研究所の宇宙開発戦略室、サステナブルロケットプロジェクトの責任者である石村潤一郎氏である。
例えば制御技術では、モータースポーツのどんな要素が活きているのか? そう尋ねると、石村氏は次のように説明してくれた。
「実はモータースポーツというより、自動運転で進めてきている制御技術なんです。いろんなセンサーを統合して、どう評価してコントロールしていくかという技術をベースに使っています。でもそれはレースにも使っている部分もあります」
「制御するためには、それに必要な応答性と分解能でハードが動いてくれなければいけない。それはレースでも同じ話なので、同じような考え方を入れ込んでいます」
「もともと宇宙業界って、結構ギリギリのところで性能を出し切るという形でやっています。そこはレースに近いところがあると思いますので、そういう厳しい環境下で、きっちりコントロールするというためにどんなハードにするかという部分は、近しい設計思想であると思います」
求められる応答性能は、実はロケットよりもレースの方がシビアだという。しかし出力が大きく、重量も重いため、近しいレベルの応答性能がロケット開発でも求められるようだ。
「時間だけで言えば、レースの方が求められる応答性能の方が早いと思います。でもロケットは出力が大きく、機体が大きいので、応答が遅れると追いつけなくなって、向きが整わなくなってしまいます。しっかりと”今!”というタイミングで力を出して、そこまで瞬時に出力を上げて、そこで安定させる……そういう戦いになります」
ただこのロケットは、高度271.4mまで上昇したのみ。出力的には宇宙には届かない。しかし2029年には、上空100kmに到達するロケットを飛ばすのが目標であるという。
「2029年には、準軌道に到達するのを次のステップに置いています。100kmを超えると、一般的には宇宙と言われているので、2029年にはそこまでもっていきたいですね」
2029年……わずか4年後である。しかし課題は大きい。それは、大きさだ。
「機体を制御して、コントロールするというところに関しては、ある程度思ったように動かせそうだという基礎技術は、手に入ったと思います。しかし今後それとセットで必要なのが、重力に打ち勝って、より重たいモノをより高く、スピードを上げて飛ばすかというところが重要なんです」
「今回の機体では、200〜300m上げるというのが目標でした。しかし100kmまで上げるためには、もっと多くの燃料が必要になるので重くなりますし、それに打ち勝つ強い力を出すという技術を確立しなければ、最終的にロケットになりません。その大きな力を出せるかというところが、大きな研究要素だと思います」
「エンジンも大きくするとハードウェア的には厳しくなっていきます。そのサイズで耐えられるか……出力をしっかり出して、信頼性も担保できるかというところが、肝になると思います」
「自動車では、パワーを上げるために燃焼効率を上げるというところもあります。ロケットでもそういう要素もありますが、多少の効率の話をしてもしょうがないので、サイズアップしなければいけません」
ちなみにホンダは、全社的に電動化を進める方向である。電動動力で宇宙に行くことは可能なのか? そう尋ねると、石村氏は「難しい」と語った。
「電動で重力に打ち勝って飛ぶためには、ヘリコプターのようにプロペラで空気を押し除けるしかありません。ですが宇宙空間に向かうと、途中で空気がなくなってしまう……押すモノがなくなってしまうので、それ以上は上がれないです」
「以前スタートアップ企業がやっていたのは、地上で機体を遠心力でぐるぐる回して、その勢いで飛ばして宇宙を目指すという方法です。それなら、電気で宇宙に行けるかもしれませんが、そういうレベルですね。あとは宇宙エレベータか……」
「自力で上がっていくのは、電気エネルギーだけでは難しい領域なんだろうと思います」
陸では速く走り、ホンダジェットやeVTOLで空を飛ぶホンダ。次は宇宙だ。
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