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アイルトン・セナ、インディカーテストの舞台裏。驚異の速さを当時のエンジニアが証言「あらゆる面で期待を裏切らなかった」
アイルトン・セナは1992年にインディカーをテストした。当時の担当エンジニアであるナイジェル・ベレスフォードがmotorsport.comに対し、その経緯や裏話を明かした。
René Fagnan
公開日時: 2026/04/21 2:31
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F1で3度のワールドチャンピオンに輝いたアイルトン・セナ。彼は1992年の12月にペンスキーのインディカーをテストしたことがあった。実際に参戦することはなかったものの、セナがアメリカのオープンホイールに関心を示したことを物語る、知る人ぞ知る出来事だ。
セナは1991年にマクラーレン・ホンダで3度目の王座を手にしたが、1992年はウイリアムズ・ルノーのナイジェル・マンセルにタイトルを譲った。そして同年限りでホンダはF1から撤退。翌1993年のマクラーレンはカスタマー仕様のフォードエンジンを搭載することになっており、セナはこれではマンセルの後任としてウイリアムズに加入した宿敵アラン・プロストに太刀打ちできないと考えていたのだ。
そんな中で今後に向けた進路を模索していたセナは、インディカーがどのようなマシンなのか実際に体感したいと考えていた。当時はF1のハイテク化が進んでいたが、インディカーにはそういった電子制御が一切搭載されていなかった。
現在はフォーミュラEのドラゴン・レーシング(DSペンスキー)でテクニカルディレクターを務めるナイジェル・ベレスフォードは、そのテストでセナを担当したエンジニアであった。
「我々は新型のペンスキーPC22のテストを3日間行なう予定だった。最初のテストはファイアバード・レースウェイ・ウェストという、全長1.1マイルの非常に短いロードコースで行なう計画で、比較用として1992年用のマシンも用意していた」
当時のことをそう振り返ったベレスフォード。セナの参加はテスト数日前、エマーソン・フィッティパルディとマールボロを通じて合意されたという。
「土壇場での合意だった。セナはマールボロのジョン・ホーガンだけを連れていて、ほとんどひとりでやってきたようなものだった」
「彼に最後に会ったのは1991年、アデレードで行なわれたオーストラリアGPだった。その1年後に、ありふれた場所で彼を見るのはどこか非現実的に感じられた」
テストではまず、フィッティパルディが92年型をドライブ。気温は非常に低く、路面は滑りやすい中でのテストだったとベレスフォードは回想する。
「エモ(フィッティパルディ)はコールドタイヤでスピンしていたが、バランス自体は良いマシンで、全体的なグリップだけが少し足りていなかった」
「彼が(ピットに)戻ってきて、タイヤを交換してブレーキバランスをリヤ寄りにアジャストした。そこから12周と13周のランを行ない、49秒7というベストタイムを記録した」
短い休憩の後、いよいよセナがインディカーのコクピットに乗り込む時がやってきた。
「通常、F1ドライバーはすぐにペースを掴むものだ。しかしアイルトンはかなりゆっくりなペースで走り始めて意外だった」とベレスフォード。
「あのマシンはシーケンシャルギアボックスだったので、彼はシフト操作に慣れる必要があった。時折ギヤが分からなくなり、完全に停止して1速に入れ直してから再スタートすることもあった」
また、セナはターボエンジンの特性にも慣れる必要があったという。14周を終えた時点でピットに戻り、ベストタイムは49秒5だった。
「彼はエンジンが非常に扱いやすい一方で車重が重く、はるかに軽いF1マシンほど俊敏ではないと話していた。そしてエンジン音が全く違うため、どのくらいの回転数まで回しているのか分からないとも言っていた」
「ファイアバードには中速コーナーがひとつあるが、セナはそこを徐々に攻め始めていた。ただ、重さを感じていることもあって限界まで攻めようとはしていなかった。そうするシチュエーションでもなかったからね」
Ayrton Senna, Penske Chevrolet PC22
Photo by: Sutton Images
「彼はマシンの感度を確かめるため、リヤのスプリングを柔らかくし、リヤのアンチロールバーを外し、さらにメタノール(燃料)を20ガロン追加した」
セナは同じタイヤでさらに10周を走り、ベストタイムを49秒09に縮めた。
「彼はピットに戻ると『ありがとう、必要なことは分かった』と言い、マシンから降りてそれで終わりだった」
そう語るベレスフォードは、セナの速さに衝撃を受けたという。
「セナはあらゆる面で期待を裏切らなかった。本当に驚異的に速かった」
「エモのベストが49秒7だったのに対し、セナは49秒09だった。最終的にはエモが新型に乗って48秒5を記録したが、それでも0.6秒速かっただけだ。セナは1年落ちのマシンで中古のタイヤだったことを考えれば、非常に素晴らしい結果だ」
「私にとってこのことは、彼がいかに並外れたスピードで適応し、競争力のあるタイムに近付けるのかということを思い知らされた出来事だった」
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