バニャイヤ、タイトル争いでベッツェッキから“忖度”受ける。「大惨事を起こしたくなかった」と配慮
ドゥカティのサテライトチームであるVR46のマルコ・ベッツェッキはMotoGP第16戦日本GPで“本社”からの指示は無いものの、タイトル争い中のフランチェスコ・バニャイヤにアタックしないことを選んだという。
Marco Bezzecchi, VR46 Racing Team
Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGP第16戦日本GPにおいて、マルコ・ベッツェッキ(VR46)は同じドゥカティ陣営でタイトルを争っているフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)に“忖度”していたという。
ベッツェッキはMotoGP最高峰クラスで初の日本GPを迎えていたが、レース前半バニャイヤやエネア・バスティアニーニ(グレシーニ)などドゥカティ陣営のライダー達と中団グループで争っていた。
レース前半には彼らから離され、11番手を走行。最終ラップにバニャイヤがファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)にオーバテイクを仕掛けた際に転倒したため、ベッツェッキは10位でレースを終えている。
バニャイヤはこの転倒でノーポイントになってしまい、クアルタラロとのポイント差は18点に拡大。チャンピオンシップを争う上では手痛い結果になってしまった。
そんなバニャイヤに対し、実はレース前半にベッツェッキは“忖度”を働かせていたというのだ。
ベッツェッキはレースを振り返ると「ハードタイヤは試していなかったんだけど、悪くなかったよ」と答え、さらにこう続けている。
「でもソフトはリスクが高すぎる選択肢だった。正しい選択肢を選んだと思うよ。ウォームアップではルカ(マリーニ/チームメイト)とペッコ(バニャイヤの愛称)がハードを、僕がミディアムを、他がソフトを試していたはずだ。それで、ハードかソフトから選ばなくてはと結論付けたんだ」
「というのもホルヘ(マルティン/プラマック)のアベレージがとても良かったにもかかわらず、僕らには伝わってきていなかったからなんだ」
「スタートは良くてペッコの後ろに追いついたんだけど、あまり大惨事を起こすリスクを犯したくなくて、後ろにとどまっていた」
「集団が再編されたときも、既にタイヤが過熱して内圧の問題が出始めていたんだ」
タイトル争いを巡り、ドゥカティはアンドレア・ドヴィツィオーゾ/ホルヘ・ロレンソ時代に“Mapping8”という『ポジションを譲れ』の指令を送ったことがある。今年のバニャイヤのタイトル争いを巡っても、サンマリノGPでのバニャイヤVSバスティアニーニの激戦についてドゥカティCEOが苦言を呈するなど、陣営からは”無用な争いはするな”という言外のプレッシャーも発せられていた。
しかしベッツェッキは、日本GPでバニャイヤに仕掛けなかったことについては「完全に個人的な判断」だと話している。つまり、ドゥカティからのチームオーダーではなかったということだ。
「レース中は考えすぎていたよ。ペッコは僕にとっても凄く親しい友人だけど、ある時点で僕は自分のペースが彼よりも良いと感じていた。でも後ろに留まったんだ」
「そして、これは100%僕自身の選択だった。ドゥカティの誰かに、例えばジジ(ダッリーニャ/ゼネラルマネージャー)に言われたわけじゃないんだ」
なおそうしたベッツェッキの気遣いも虚しく、バニャイヤは前述の通り転倒でノーポイントでレースを終えている。今シーズンの残るレースは5戦となっており、現在の18点差をバニャイヤが逆転し、ケーシー・ストーナー以来のドゥカティ王者となれるかには、今後も注目が集まるだろう。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments