初優勝アレイシ・エスパルガロ「夢のよう、本当に嬉しい。フロックでもなんでも無い勝利」

　テルマス・デ・リオ・オンドで開催されたMotoGP第3戦アルゼンチンGPではアレイシ・エスパルガロがキャリア初優勝。アプリリアにMotoGPクラス初優勝をもたらし、歴史に名を刻んだ。

　第3戦アルゼンチンGPでは、フリー走行からアプリリアが好調。エスパルガロは予選でトップタイムを記録し、アプリリアにMotoGPクラス初のポールポジションをもたらした。

　初優勝に向けた期待が高まるなか行なわれた決勝レースで、エスパルガロはホルヘ・マルティン（プラマック）との激しい一騎打ちを展開。終盤にバックストレートエンドでのブレーキング勝負で前に出たエスパルガロは、反撃を許さず走りきって、MotoGPでの初優勝を達成。奇しくも彼にとって最高峰クラス200戦目の節目での初優勝だった。

　アプリリアにとってもMotoGPクラスでの初優勝となったアルゼンチンGP。エスパルガロは激闘のレース後、会見で喜びを次のように語った。

「本当に、本当に嬉しいよ」と、エスパルガロは口を開いた。

「プレシーズンテスト、そして開幕戦カタールから、僕らはキャリアでも今ベストなマシンを手にしていると感じていたんだ」

「もちろんプレシーズンテストというのはそのバイクでトップ10を争えるのか、トップ5なのか勝利なのかを判断するのは難しい。でも僕はトップライダー達にプレシーズンテストですごく接近していたし、カタールでも強さを感じていた」

「一歩一歩、僕らはポテンシャルを示してきた。昨日は予選で僕らが最速だということを証明して、今日のレースでもそうだった。僕らが（チャンピオンシップを）リードしているなんて、夢のようだ。本当に嬉しいよ」

「今のチャンピオンシップはかつて無いほどにどのメーカーもレベルが高いからね。だから凄く嬉しいんだ。僕だけじゃなく、アプリリアのみんな、そして家族にとってもね。僕らはやっとここにたどり着いた。そして、それに値すると思う」

　アプリリアは2015年にMotoGPクラスへの挑戦を開始。エスパルガロは2017年にスズキから移籍し、マシン開発の初期からチームを引っ張ってきた。

　ただ結果の面では同時期にMotoGPへ参戦したKTMに先行されてしまっていた。KTMは2020年に初優勝を果たすと優遇措置（コンセッション）非適用となり、ホンダやヤマハといったライバルたちと同じ土俵での戦いにステージを移したのだ。

　そうした中で掴んだ初優勝……これまでの苦労が報われる勝利と言えるだろう。エスパルガロはプロジェクトに携わってきた人たちにとって、大きな一步だと誇った。

「レースに勝てたことは凄く嬉しいけど、僕にとっては何も変わらないとも思う。僕はすごく幸運な人間だ。情熱を仕事にしているし、夢のような家族がいる」

「優勝したからといって、僕の人生に大きな違いはない。でもアプリリアにとって、これは大きな一步だ。6年前、僕がアプリリアと契約した時は誰もこのプロジェクトを信じてくれなかった」

「だから、アプリリアが少しずつ進み、懸命に取り組んで達成したこの結果は、信じられないほど素晴らしいモノだ。ポールポジションを獲得して勝利し、チャンピオンシップをリードしている……（拠点の）ノアーレの皆やアプリリアグループにとっても嬉しいことだ」

　1週間後には、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで早くも第4戦アメリカズGPが開催される。アプリリアはここでも再び優勝を争えるのか？　そう尋ねられたエスパルガロは予想は難しいものの、ミスをせずに取り組んでいけば、表彰台や優勝争いに加わって行けるはずだと語った。

「簡単じゃないだろう。でも僕らが優勝争いに加わっていることは間違いない。さっきも言ったけど、これは幸運でもフロックでも無いんだ」

「チャンピオンシップはとても長い。でも僕らが何もミスを犯さなければ、優勝や表彰台争いに毎週加わっていけるだろうから、全力を尽くすよ」

「アメリカズ、ポルティマオと勢いを持ち越すことを考えている。僕は32歳で、キャリア終盤にいることも確かだ。だからできる限り最高の形でフィニッシュしたいね」