浮き沈み目立ったKTM、優遇措置失い”一人前”になった洗礼か……「影響はあった」とチーム首脳陣
MotoGP2021年シーズン、KTMは3勝を記録した2020年に比べて、苦しむ場面が多く見られた。不安定なパフォーマンスとなった原因としては、コンセッション(優遇措置)を初めて失ったことが考えられると、彼らは語っている。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
ロードレース世界選手権の最高峰となるMotoGPクラス。KTMはこのカテゴリーに2016年シーズンから参戦を開始し、2020年シーズンには3勝を記録。急速な進歩による好結果を打ち立ててきた。
しかし翌2021年シーズン、KTMは2勝こそ記録したものの、浮き沈みのあるパフォーマンスが目立つ結果に終わった。
2021年シーズンにKTM勢がこうした状況に陥った要因については、ライダーやスポーティングディレクターは、コンセッション(優遇措置)を初めて失ったことによる影響が考えられると語っている。
コンセッションとは新規参戦のメーカーや勝利から遠ざかっているメーカーに対して与えられている優遇措置のことで、通常は凍結されているシーズン中のエンジン開発を許され、レギュラーライダーによるテストも自由になるなど、様々な点で恩恵を受けることができる。
KTMは2020年の躍進の結果、そのコンセッションが外れ、アプリリアを除く他メーカーと同じ土俵で争うことになった。
その影響が大きく出た点が、テストだ。KTMも他と同様に、テストを行なう機会が制限され、テストライダーのワイルドカード参戦も3回までとなった。そのため、これまでとは仕事の進め方を変える必要に迫られ、多くのパーツがレースウィーク中にテストされるようになった。
「上手くフィットしないようなら、当然だけど常にいろいろな事を試すことになる」
KTMのミゲル・オリベイラはそう語る。
「もうあまりテストはしていない。レースウィーク以外ではもう、公式テストくらいしかテストをすることはないんだ。その結果、代わりにファクトリーライダーが(レースウィークに)テストをすることになる」
「テストライダーなどに頼ることなく、僕らが仕事をすることになる。でも(MotoGPの)レベルはとても高い。このタイトなグリッドでは前方も後方も、すぐに入れ替わってしまう」
KTMのスポーティングディレクターを務めているピット・ベイラーも、レースウィーク中に非常に多くのテストを行なっていたことを認めている。しかし、エンジニアとライダーがバイクから最大限の力を引き出すことに集中できるよう、2022年はより落ち着かせなければならないはずだ。
昨年までKTMレースマネージャーだったマイク・レイトナーは、チームの躍進に大きな役割を果たしてきた人物のひとりだ。そのレイトナーも、2021年のパフォーマンスに一貫性を欠いていた原因に、コンセッションの喪失があると考えている。
「そのこと(コンセッション喪失)は影響している」と、レイトナーはmotorsport.comに語った。
「こういったことは、他のメーカーにも見られたことだ。スズキはコンセッションを失った後、問題を抱え、レースを通じて解決していったことを覚えている」
「アプリリアの好パフォーマンスからも見て取れるだろう。このコンセッションというアイデアは、新規参入メーカーなどを、上位に食い込ませるためのものだ。良いアイデアだ」
「そして、資格を喪失すると、大きく変化するんだ。外部から見ているとあまり気が付かないかもしれないがね。チームとして、メーカーとして違った方法で戦略的に取り組む必要がある。それが来年(2022年シーズン)に向けて考慮すべき要因のひとつであることは間違いない。しかしお話ししたことがあるように、コンセッションの喪失は皆が喜んでいる。コンセッションの喪失は、我々が素晴らしい仕事をしたことの証明だからだ」
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