スズキが2019年に”王者”ロレンソではなく、”新人”ミルをライダーとして選んだ理由
スズキMotoGPチームの前チームマネージャーであり、今季からアルピーヌF1のレーシングディレクターを務めるダビデ・ブリビオは、2019年シーズンにスズキがホルヘ・ロレンソではなくジョアン・ミルを獲得した理由を語った。

2020年シーズン、チームマネージャーとしてスズキにMotoGPタイトルをもたらしたものの同年限りでチームを離れ、2021年からアルピーヌF1のレーシングディレクターを務めることになったダビデ・ブリビオ。そのブリビオは、2019年のスズキが、3度の世界チャンピオンに輝いたホルヘ・ロレンソではなく、新人のジョアン・ミルをチームのライダーとして選んだ理由を明かした。
ヤマハで活躍した後、ロレンソは2017年にドゥカティに移籍。しかし同年も、その翌年の序盤も、なかなか結果を残すことができず、その結果チームを放出されてしまうことになった。ただチーム離脱が決まった後、ロレンソは立て続けに好結果を残し、同シーズンに3勝を挙げた。
そして2019年、ロレンソはスズキに加入する可能性もあった。しかし最終的にスズキは、2017年のMoto3チャンピオンであるジョアン・ミルを、2019年のライダーとして選択。ロレンソはレプソル・ホンダに加入することになった。
当時のミルには、ホンダとの契約ついてオプションが存在していた。しかしそのオプションはサテライトチームに加入することについてだけのものであり、一方でミルはなんとかしてファクトリーチームに加入することを目指していた。それが叶う格好となったのだ。
ブリビオは当時のことを振り返り、ロレンソと契約できる可能性があったものの、ミルを選んだ理由について次のように語った。
「(2017年に)10レースに勝ち、Moto3のチャンピオンになったことで、我々の注目を集めた。その結果、2019年のライダーとしてミルを獲得することについて考え始めたのだ」
ミルはmotorsport.comのインタビューでそう語った。
「当時、ホルヘ・ロレンソと契約するという選択肢もあった。結局、我々はロレンソかミルか、どちらかを選ばなければいけなかったんだ」
「それはただふたりのライダーのうちどちらを選ぶかということではなく、ロレンソのようなベテランライダーを採用するか、若い才能を育成するか……我々が将来目指す哲学と方向性を選択することだったんだ」
「ジョアンのことを理解し、そして彼について学んでいくほど、彼は我々にとって特別な存在に見えていった」
「ジョアンはスズキのことを気に入っていた。しかし彼の代理人は、すでにホンダとのオプションがあるから、問題があると言っていたんだ」
「それで私は、ジョアンに直接尋ねた。『ホンダとのオプションがあるのに、スズキに興味があるのかい?』とか、『スズキとホンダのどちらかを選ばなければならないとしたら、どっちに行く?』とか、そういうことをだ」
「そして彼は、私にこう言った。『僕はスズキに行きたい』と。彼がそう言った時、私は思った。『彼は正しい選択肢だ』と」
スズキは2015年にマーベリック・ビニャーレス、2017年にはアレックス・リンスと、若い才能と契約を結んできた。ミルと契約したことで、その流れが引き継がれることになった。
そして2020年、ミルはスズキに、20年ぶりにMotoGP最高峰クラスのタイトルをもたらすことになった。
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。