「すぐに大きな事故が起こる」クアルタラロ、MotoGP初スプリントレース後に改めて反対姿勢示す
ヤマハのファビオ・クアルタラロは、MotoGPで初めて実施されたスプリントレースについて好ましく思っておらず、「すぐに大きな事故が起きるだろう」と語った。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
3月25日、MotoGPの開幕戦ポルトガルGPで初めてスプリントレースが実施された。この新フォーマットについてファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は批判的で、重大な事故が発生する可能性を指摘している。
2023年から新たに導入されたスプリントレース。日曜日に行なわれる決勝レースの半分の距離で争われるこのレースの”1戦目”は、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が勝利を収める結果となった。
この新しいレース形式には、昨年導入が決まったときから批判的な声が聞かれてきた。クアルタラロは反対派のひとりだったが、実際にスプリントレースをこなした後も、その姿勢は変わっていない。
スプリントレース終了後に、この新形式が好きかどうかを尋ねられたクアルタラロは、「いや、全くもって好きじゃない」と答えた。彼は短い距離での争いとなることにより、レースがどうしてもアグレッシブになってしまうため、将来的に大きな事故が起こるはずだと危険性を訴えている。
なお今回のスプリントレースでクアルタラロは、1周目からジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)と接触。ミルは転倒してレースを終え、クアルタラロはポジションを下げなくてはならなかった。
さらに2周目にはルカ・マリーニ(VR46)がエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)を追い抜こうとインに入った際に転倒。バスティアニーニを道連れにした。バスティアニーニはこの事故で右鎖骨を骨折し、ポルトガルGPの決勝と次戦アルゼンチンGPを欠場することになった。
「すぐに大きなアクシデントが起こるだろう。(コース上の状況は)まるでジャングルだ。クルマなら接触しても問題にはならないだろうけど、僕らはクルマに乗っているわけじゃないんだ」
「僕はかなり遅れていたけど、ベストを尽くそうとしていた。(ミルとの接触は)幸運で何とも無かったけど、スプリントレースはまだ20戦もある。だからどうなるだろうね」
「アグレッシブになることが可能なんだ。今日は大丈夫だったし、クラッシュも他はマリーニとバスティアニーニくらいだった。でも確実にこの先もっとたくさんのクラッシュが起きるだろう」
Fabio Quartararo, Yamaha Factory Racing
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
クアルタラロはスプリントレースをするよりも、フィジカル的に厳しくともフルレースを2回行なうほうが安全性は高いと考えているようで、次のように付け加えている。
「(スプリントレースでのアグレッシブさに)驚いたりはしていない。12周しか無いんだからね。僕としては25周のレースの方が良いと思う」
「フィジカル的にはタフになってくる。でも僕が言いたいのは、25周ならもう少し余裕があるということなんだ」
「今のスプリントレースでは、3つポジションを失えば困難な状況になる。僕が最後尾に落ちたのも、接触があったからだ。それで学んだよ。安全のためには、12周のレースを加えるよりも25周のレースを2回やったほうが良いと思う」
ただクアルタラロは、ライダー達には望んだ変化を「起こさせる力がない」としており、唯一慰めになるのは「この状況が誰にとっても平等なこと」だと語っている。
なおクアルタラロは、自身のスプリントレースそのものに関して、ミルと接触する以前に、スタート時のローンチコントロールに問題があったと明かしている。
「2速のローンチコントロールに問題があったんだ」
「スタートは良かったんだけど、2速にシフトアップするとかなりのポジションを失ってしまった」
「その後はジョアンと接触して、最後尾まで落ちた。ペースは悪くなかったんだけどね。でもこのレース中にいくつかのことを理解できた」
「それ以外にも僕らはグリッドポジションを良くするために、1周のペースを改善する必要があるんだ」
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