ライドハイトデバイス、2023年以降は使用禁止か? ドゥカティ以外のメーカーが禁止に賛成
MotoGPで近年各メーカーが開発に力を入れているライドハイトデバイス。しかしこの装置は現在使用禁止に向けた動きが進んでいる。
MotoGPにホールショットデバイスが初導入されたのは2018年。その年のシーズン後半に当時プラマックに在籍していたジャック・ミラー(ドゥカティ)が日本GPからテストをして以来、常にマシン開発において注目を浴びてきた。
この装置はマシンを停止させた状態でライダーがスイッチ操作をし、サスペンションが縮んだ状態をそのまま固定するものである。当初は単なるスタートツールであり、油圧でマシンの後部を下げ、重心を低く保つことから加速を助けるものだった。
その後ホールショットデバイスは更なる進化を遂げ、単なるスタートツールではなくなる。この技術はコーナリングにも活かされ、コーナー出口でも効果を得ることができるライドハイトデバイスが誕生した。
ドゥカティは近年、ウイングレットを始めとしたいくつもの新機軸を打ち出すなど、MotoGPの技術進歩において先鞭をつけてきたメーカーだ。2021年には他メーカーもこのライドハイトデバイスに追いつく形で、スタート時フロント部分にホールショットデバイスを使用するメーカーも現れた。
しかしドゥカティも開発を進めており、2022年シーズン開幕前のプレシーズンテストでは、ライドハイトデバイスをフロントに試すなど、進化は止まっていない。
これまでにもライドハイトデバイス(ホールショットデバイスを含む)の安全性に関しては疑問視されてきたが、2022年シーズン開幕を前にこの装置の使用禁止を問う決議が実施された。決議では参戦する6メーカー中5メーカーが禁止に賛成したとみられ、この議論は今後グランプリコミッションの投票にかけられる。
これまで技術面において常に最新の装置を開発してきたドゥカティは、その中で唯一反対するメーカーという結果になった。
デバイスの安全性に対して、昨シーズンランキング2位で終えたドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは以下のように語っている。
「(ライドハイトデバイスを使用するためには)ボタンをクリックしなければならない。だから僕にとっては問題はない」
またドゥカティのスポーティングディレクターを務めるパオロ・チアバッティは自メーカーが開発したフロントライドハイトデバイスに対する反応は“悲しい”とし、この開発から得られるものは僅かだと感じているという。
「レギュレーションの範囲内で昨年取り組んだ解決策だ」
チアバッティはこのように述べた。
「ドゥカティの新たな開発を目の当たりにした他のメーカーがレギュレーションを変更し、これを禁止させようと反応したことは悲しい」
「5対1の決議のとおり、他メーカーの要望は2023年から禁止をすることだ」
「グランプリコミッションが今後どのような決定を下すのか見届けよう。繰り返しになるが我々の見解は、この新たな改革を競争相手である他メーカーが”妥当でない”理由を挙げ、我々の最新装置を阻止しようとしているというモノだ」
「MotoGPではコンマ1秒が争われる。このシステムはサーキットによっては効果を発揮するが、いくつかのサーキットではコンマ1秒もしくはそれ以下の効果であると考えている」
「知っての通り、レギュレーションの範囲内で100分の1秒を探すのが我々の仕事であり、それが現状だ。これからどうなるのか見守る必要がある」
5メーカーの主張通りにライドハイトデバイスが禁止された場合、最も開発に力を入れ成果を享受してきたドゥカティは、当然だが不満を抱くことになる。
そしてこの問題はプロトタイプによるレースシリーズにおける、技術的な創意工夫を罰するべきかどうかという領域に踏み入れるものだ。
安全性の懸念はもっともだが、これまでにライドハイトデバイスによる大きな事故は起きていない。この装置を規制するかどうかは、モータースポーツにおける哲学的な考えに立ち戻ることになるだろう。
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