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F1で進むコスト削減……MotoGPが“エンジンの開発凍結”に進まないのはなぜ?

F1は2022年以降のパワーユニット開発を凍結することを決定しているが、2輪最高峰のMotoGPでこうした動きが無いのはなぜなのか? その理由を探る。

Brad Binder, Red Bull KTM Factory Racing

Brad Binder, Red Bull KTM Factory Racing

Gold and Goose / Motorsport Images

 4輪レースの最高峰F1と2輪最高峰のMotoGP。両者は様々な点で比較されてきた。F1は2022年以降にパワーユニット(PU=エンジン+ハイブリッドシステム)開発を凍結させるが、MotoGPではそういったコスト削減の動きは見られない。その背景とは。

 F1はかねてより高騰するコストの削減を目指した活動を行なってきた。オーナーがリバティ・メディアへと変わって以降は特にその動きは顕著で、2021年からは年間予算に上限を設けることが決定されている。そして今年2月、F1は2022年からPUの開発を凍結するに至った。

 一方MotoGPでは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響を鑑み、2021年シーズンのエンジンは2020年型を引き続き使用することにはなったが、それ以降の開発凍結といった動きには発展していない。そこには様々な理由がある。

 F1側も当初は2022年からのPU開発凍結を決めていたわけではない。急激に開発凍結へ傾く契機となったのは、PUをレッドブルとアルファタウリに供給するホンダが2021年限りでその活動を終了させると決定したことだ。

 PU供給を受けるレッドブルはホンダとの合意により、ホンダのプロジェクトを引き継ぎ、PUを継続使用していくことを希望。しかしレッドブルがPU開発まで手掛けることは厳しいため、この案を実現させるには2022年以降のPU開発を凍結する必要があるとして、彼らは運営側のリバティ・メディアやFIA(世界自動車連盟)にプッシュ。認められない場合にはF1撤退も……という状況だった。

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 最終的にチームやリバティ・メディア、FIAで構成されるF1委員会は2022〜2024年(※2025年以降は新規則導入が予定)の3年間、PU開発を凍結することで合意。多額のコストが費やされてきたPU開発は、“ひとまず”の終わりを迎えることになった。

■コスト削減に動いたF1。MotoGPがエンジン開発を凍結することはない?

MotoGP pack at the start of the 2021 Portuguese GP

MotoGP pack at the start of the 2021 Portuguese GP

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGPではエンジン開発凍結のような決定には、参戦メーカーによって構成されるMSMA(モータースポーツ製造者協会)での合意の上、FIMやプロモーターのドルナ・スポーツが参加するグランプリ委員会による承認が必要になる。

 ただ前述のようにF1とは違ってMotoGPではエンジン開発を凍結させる動きは鈍い。新型コロナウイルスによる影響も、凍結を推し進めるほどの牽引力は持っていないように思える。

 実際、先日行なわれたグランプリコミッションでは2022年以降のレギュレーションについて、今季のエンジン開発凍結を延長させることはないことが公にされた。

 会合の常連出席者のひとりは、匿名を条件に「そうした提案はどの時点でもMSMAの議題に上がってはいなかった」とmotorsport.comにコメントしている。

「いずれにしても、一部のメーカーは決してそれ(エンジン開発凍結)を受け入れないだろうということは、広く受け入れられている。そして、そうした事を進めるためには、全会一致の承認が必要だ」

 F1とMotoGP、その両方で経験を持つ人物の話は興味深い。2020年までスズキMotoGPのチームマネージャーを務め、現在はアルピーヌF1のレーシングディレクターを務めるダビデ・ブリビオは、ふたつの世界選手権の間に存在する力学の違いについて述べている。

「F1では、現在のキーワードは“サステナビリティ(持続可能性)”だ」とブリビオは言う。

「そこには共通の利益のために行なわれた決定が存在する。ここではチームがプロモーターから直接収入を得ているという点は、考えるべき大きなポイントだ」

「近年F1が適用してきた、ビッグチームにとって受け入れるのは難しい規制の量を考えてみるといい。何が起こっているかというと、彼らはコスト削減を大胆に行なわなければ、小規模チームが生き残ることは不可能だと理解したのだ」

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 現在のMotoGPでも当然各メーカー間で規模の差は存在する。スズキはホンダなどと比べれば予算面で比較にならないほど小規模だと言われているほどだ。

 全6メーカーによるエンジン開発凍結の話し合いが行なわれる姿を想定しよう。既にドゥカティやスズキが2022年シーズン向けのエンジン開発を進めて、テスト走行に移っていることを考えると、2023年以前に開発凍結を通すことはできないだろう。

 motorsport.comの取材に対し、MSMAの関係者も投資の無駄を考えると公平ではなく、開発凍結は難しいと示唆していた。

 ただ将来的に規制を実現させる方法も考えられる。それはエンジン開発を2〜3年ごとに許可する方法だ。

「もちろん、MSMAからそういう話があれば、それは可能だ」と、MotoGPのテクニカルディレクターであるダニー・アルドリッジは語る。

「我々の側からすれば、問題はない。実際に以前そうしたこともあるのだから簡単だろう」

 

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