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アレックス・リンス、夏休み明けに勝負の時。ヤマハV4エンジン待てぬ現実とキャリア継続への懸念

ヤマハのアレックス・リンスは苦戦が続いているが、ウワサの新型V4マシンを待つ余裕はなく、夏休み期間が明けたあとは”勝負の時”となりそうだ。

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

写真:: Steve Wobser - Getty Images

 ヤマハのアレックス・リンスは、MotoGP夏休み明けのレースで自身のキャリアを左右する「結果」を残す必要があるという現実を抱えている。しかし、ヤマハのV4エンジンはまだ完成しておらず、リンスはこれまで苦戦してきたマシンで勝負しなければならない。

 リンスがヤマハと契約して以降、これまでのところ厳しい時期が続いている。メディアの前では常に笑顔を見せようとするリンスだが、ここ2年間、それを維持するのはかなり難しかったに違いない。

 ヤマハとリンスが契約したのは、当時はLCR所属だったリンスが2023年イタリアGPでキャリア最悪のクラッシュを経験し、右脚に重傷を負う前のことだった。リンスは右脛骨と腓骨の骨折という重い怪我を負ってしまった。しかし日常生活でまだ症状があると認めつつも、リンスはバイクのライディングに支障はなく以前と同じパフォーマンスを発揮できると主張してきたのがこれまでの流れだ。

 また過去1ヵ月半の間には、イタリアのスキー外傷専門クリニックで新たに受けている成長因子治療によって、目に見える足の引きずり(跛行)は改善しているようだった。

 だが、リンスに残された時間は限られている。あるいは、少なくともチームメイトでありヤマハMotoGP体制の中核を担うファビオ・クアルタラロよりも、はるかに少ないというのが現実だ。

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

Photo by: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images

 ふたりがチームメイトとなってからの2シーズンの成績は、その差を如実に示している。クアルタラロは今年のスペインGPでの2位表彰台を含め、13回のトップ10フィニッシュ、そして4回のポールポジションを獲得している。それに対し、リンスの最高成績は昨年のマレーシアGPでの8位であり、トップ10入りはわずか3回。予選順位でも、昨年のカタルニアGPでの8番手が最高という状況だ。

 マルク・マルケスの走りによって際立つドゥカティの支配力、そして2027年のレギュレーション大改定もあり、各メーカーはすでにその年に向けた新型プロトタイプの設計に着手せざるを得なくなっている。その中でヤマハも、加速性能と最高速の問題を解消すべく、V4エンジンの開発に全面的に取り組んでおり、これによってライバルとの差を一気に縮めることを目指している。

 だが、リンスにとっては、この新エンジンを待つという選択肢が現実的ではない。彼のヤマハとの契約は2026年末までとなっているが、成績不振により、すでにシート交代やプラマック・ヤマハへの移籍といった噂が浮上しているのだ。

 ただMotorsport.comの取材によれば、現時点でリンス本人およびマネジメントに対し、ヤマハ幹部からそのような動きが示されたことはないという。そこに加えて、日本メーカーが契約中のライダーと途中で関係を断つことは極めてまれなことであり、明確なきっかけがない限り、実行されることはない(2021年のマーベリック・ビニャーレスのケースが例外的)。

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

Alex Rins, Yamaha Factory Racing

Photo by: Alexander Trienitz

 とはいえ、両者ともに「すべてが順調」だと装っているわけではない。「ヤマハ陣営にはアレックスに対する懸念があり、彼には前進してほしいという強い思いがある」と、リンスに近い関係者は語っている。

 リンスは、ファクトリーチームのシートを守るためだけでなく、2027年以降もMotoGPグリッドにとどまる可能性を広げるためにも、ここから結果を出す必要がある。もし本人がその道を望むのであれば、の話だが。

 現在のMotoGPグリッドにおける契約の多くは2026年末で満了となるが、各チームのライダー確保の動きは年々早まっており、来季のヨーロッパラウンドが始まる2026年4月末には、すでに翌年に向けたライダー市場が事実上終了している可能性も十分にある。ランキング18位・獲得ポイント42(クアルタラロとの差は60ポイント)という苦しい成績にあるリンスは、夏休み明けに何らかのメッセージを示す必要がある。そして、すでに開発末期にあるYZR-M1の明白な欠点を克服する方法も見つけなくてはならない。

「アップデートはあまり期待できない」と、リンスはチェコGPで語った。

「(夏休み明け初戦の)オーストリアGPで新しいフェアリングがいくつか来るだろうというくらいだ。それだけだ。ファクイトリーは問題が何かを把握している。でも、彼ら自身も何と答えればいいのかわかっていない」

 なお、リンスが最後にMotoGPで勝利を挙げたのは、2023年アメリカズGP(ホンダ在籍時)まで遡る。しかし前戦チェコGPでは15位フィニッシュであり、6位に入ったクアルタラロから12秒遅れてのゴールだった。

「ファビオとの違いは予選だけだ。彼はポールポジションを今年すでに4回獲得しているし、スタート位置もずっと前なんだ」とリンスは説明する。

 非常に妥当な見解ではあるが、現状ではそれが彼の助けになるとは言い難い。

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