スーパーフォーミュラ 第6戦・第7戦・第3戦富士

ウエット路面でこうも変わるか。SF第6戦予選での序列激変は、セットアップのコンセプトが理由?「ワンメイクだけど“違うクルマ”で戦っている」

スーパーフォーミュラ第6戦の予選は、ハーフウエットの難しいコンディションとなったことで、普段の序列とは大きく異なる順位になった。この要因については、車両のセットアップコンセプトが影響しているだろうと、TEAM MUGENの小池智彦エンジニアは指摘する。

戎井健一郎

公開日時: 2026/07/21 10:33

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Zak O'Sullivan, TEAM IMPUL

Zak O'Sullivan, TEAM IMPUL

写真:: Masahide Kamio

 予選2セッション、決勝3レースが行なわれる激動の週末となったスーパーフォーミュラ富士ラウンド。土曜日に行なわれた第6戦は、今季初めてウエットコンディションで予選が行なわれたが、普段とは全く異なる顔ぶれが上位に並んだ。

 ポールポジションはザック・オサリバン(TEAM IMPUL)で、2番手は大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、3番手はルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)。そこに小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)とロマン・スタネック(Buzz MK RACING)が続いた。この中で大湯を除く4人は、今季一度も予選トップ5に入ったことのないドライバーだった。

 ここまでの番狂わせが起こった一番の要因は間違いなく、トリッキーな路面コンディションだろう。予選開始時には雨は止んでいたとはいえ、前日から降り続いた雨の影響で路面が濡れており、曇りだったこともあって最後までなかなか乾いていかなかった。ハーフウエット、もしくはダンプコンディションといった表現が適切か……いずれにせよ、スリックタイヤではタイムが出せないような状況だった。

 そんな中で、有力ドライバーは大いに苦しんだ。それまで5度の予選で3回ポールポジションを獲得していた岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)は、グリップのなさに苦しんでまさかの22番手。富士で無類の強さを誇るVANTELIN TEAM TOM’Sの坪井翔も、もう少し路面が乾くことを想定してセットアップをしていたようだがそれが外れ、21番手に終わった。今季圧倒的な速さを見せている太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)でさえも、Q1突破にあと一歩及ばず13番手に沈んだ。

 自身初のポールを獲得したオサリバンは、TEAM IMPULの19号車はウエット路面で戦闘力の高いマシンになっていると話した。実際、雨の中行なわれた第3戦オートポリスのFP2では2番手タイムを記録。第4戦鈴鹿でも、小雨が降ったレース中盤にはあわや優勝かというパフォーマンスを見せていた。

Zak O'Sullivan, TEAM IMPUL

Zak O'Sullivan, TEAM IMPUL

写真: JRP

 また第6戦予選の時点では入賞がなかったルーキーの小林も、自分たちはドライコンディションよりもウエットコンディションの方が“方向性”が見えているのだと語った。

「練習の段階から、ウエットの方がドライよりは少なくとも方向性は見えていました」

「ウエットの方が、何が足りていて何が足りていないのかというクルマの方向性がチームとしてハッキリしていました。今回の予選では、そこを淡々と突き詰めていった結果、すごく良いポテンシャルを引き出すことができました」

Rikuto Kobayashi, KDDI TGMGP TGR-DC

Rikuto Kobayashi, KDDI TGMGP TGR-DC

写真: Masahide Kamio

“車両コンセプト”が与える影響

 この第6戦の予選結果は、競争の激しいスーパーフォーミュラにおいて、ドライでもウエットでも上位にいけるマシンを作り上げることがいかに難しいかを如実に示していると言える。ちなみにその数時間後に行なわれた第7戦の予選はドライコンディションとなったことで序列が元に戻り、太田や岩佐らが順当に上位グリッドを確保。同日午後に行なわれた第6戦決勝も同じくドライだったため、太田は13番グリッドから大逆転で優勝。岩佐も22番手から10位まで追い上げるなど本領を発揮した。

Ayumu Iwasa, TEAM MUGEN AUTOBACS

Ayumu Iwasa, TEAM MUGEN AUTOBACS

写真: Masahide Kamio

 スーパーフォーミュラはF1のようなパルクフェルメルールが存在しないため、セッションとセッションの合間にセットアップを変更することが可能だ。そのため、ウエットの第6戦予選、ドライの第7戦予選・第6戦決勝にそれぞれクルマを合わせ込むこともできるように感じてしまうが、TEAM MUGENで岩佐を担当する小池智彦エンジニアは、車両セットアップの“コンセプト”が各車で異なる関係上、そう簡単なことではないのだと説明する。

「第6戦と第7戦の予選で、順位がガラッと入れ替わりましたよね。ただ、どのチームもコンディションに合った対策はしています。セットアップをキープしたわけじゃないので」

「それぞれがコンディションに合わせたセットアップをしても、あれだけ順位が入れ替わってしまうということは、自分たちがやっているセットアップの範囲外のこと……つまり“ガラチェン”に近いことをやらないと、ドライとウエットどちらも取ることは難しいです」

「一番違うのはコンセプト、クルマ作りの考え方なんじゃないかと思います」

 小池エンジニアは、岩佐のマシンは「尖った」コンセプトなのだと明かす。また、ダンプ路面はセッションの中でも非常に限定的な条件でもあるため、そこへの対策は優先順位として高い位置にはないようだ。

「ダンプコンディションは、すぐドライになる可能性もあるし、すぐフルウエットになる可能性もある、非常に狭く微妙なコンディションです」と小池エンジニア。

「今までレースをやってきて、ダンプコンディションでレースをしたこともあまり多くないと思いますし、そこにわざわざ合わせていくのは、メリットに対して時間と手間が釣り合わないと考えています」

「その点太田選手のクルマはいかなるコンディションでも力を発揮できています。それがスーパーフォーミュラでは大切だと思っていますが、とはいえ我々がそっちの方向性に振ったら、ピークがなくなって終わるんだろうなと」

「原因はなんとなく分かっているのですが、それを対策すべきかという点は、難しいところですね」

Ayumu Iwasa, TEAM MUGEN AUTOBACS

Ayumu Iwasa, TEAM MUGEN AUTOBACS

写真: Masahide Kamio

 スーパーフォーミュラは車両、タイヤがワンメイクでエンジンも共通スペックのカテゴリーだ。そうなるとドライバーのスキルが問われるのも当然だが、それ以上に同一スペックのマシンをチームがどうセットアップするかが肝になってくる。小池エンジニアは、各々のコンセプトによってマシンが全くの別物になるところも面白さのひとつだと語った。

「クルマはワンメイクですけど、全然違うクルマでドライバーが戦っているんです。そこがこのシリーズの面白いところです」

「今回もコンディションが変わる中で色々と順位が変わり、オサリバン選手が活躍したり、ブラウニング選手がトップ3に入ったり……。ドライバーの能力ももちろんありますが、クルマのコンセプトによってもそういった変化が出てくるのは面白いなと思いますね」

関連ニュース:

Luke Browning, REALIZE KONDO RACING

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写真: Masahide Kamio

 

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