“天才”福住仁嶺が5年ぶりのSF優勝。「このままじゃダメだ」と自ら茨の道へ……4年間の苦労がついに結実
スーパーフォーミュラで5年ぶりの優勝を飾った福住仁嶺は、自らトップチームを離れるという決断をして以降勝利から遠ざかったが、これまでの経験は決して無駄ではなかったと感じている。
写真:: Masahide Kamio
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラ第5戦は、ファイナルラップまで続く壮絶な優勝争いの末、ポールポジションスタートの福住仁嶺(NTT docomo business ROOKIE)が逃げ切り勝利を収めた。福住にとっては、2021年以来実に5年ぶりとなるスーパーフォーミュラでの優勝だった。
ヨーロッパのシングルシーターを戦っていた2018年に、FIA F2とのダブルプログラムでスーパーフォーミュラにデビューした福住。翌年からは国内レースに専念、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGに所属していた2021年は、2勝を挙げてランキング2位を獲得した。国内最高峰でのタイトル獲得も時間の問題かと見られていた中、2022年にThreeBond Racing(当時はドラゴコルセとのジョイント体制)に移籍すると、以降は苦しいシーズンが続いた。
当時のThreeBondは結成から日が浅く、入賞の経験もなかった。福住は下位を走るレースが続き、暗い表情でインタビューゾーンから去る姿ばかりが取材陣の記憶に残っている。しかしその中でも福住はチームにとっての初入賞を記録し、2年目の2023年には4回もの入賞を記録してみせた。
写真: Masahide Kamio
そして2024年には、ホンダ陣営からトヨタ陣営への移籍を決断。スーパーフォーミュラではKCMGのシートを得た。ここでも福住はKCMGにとって初のポールポジションをもたらすなど、チームの歴史を塗り替えるパフォーマンスを見せたが、2年間で優勝にはあと一歩届かず最高位は2位にとどまった。
迎えた2026年シーズン、福住はスーパーGTで所属するROOKIE Racingへ移籍。前年限りで引退した大嶋和也の後任だった。チームと大嶋の尽力により、同チームの14号車のパフォーマンスが向上しつつあったため、その類稀なるドライビングスキルから“天才”と称される福住はかなりの好成績を残すのではと、関係者間でも期待の声が多くあがっていた。
そんな福住は期待に違わぬ活躍を見せている。第2戦もてぎで3位に入り、チームに初表彰台をプレゼントしたかと思えば、今回の第5戦鈴鹿ではチームの初ポール、初優勝を同時に達成した。
「自分にとっても久しぶりの優勝ですし、ルーキーレーシングにとって今回が初ポール、初優勝でした。当初のチームの目標は表彰台でしたが、それを開幕ラウンドで成し遂げることができて、第5戦でポールと優勝を勝ち取れたので、個人的にも嬉しいですが、チームの皆さんにとっても素敵な1日になったと思います。おめでとうございますと言いたいです」
記者会見でそう語った福住。前述の通り、過去4年間は下位低迷、メーカー移籍など激動の4年間だったと言える。そのきっかけとも言えるのが2022年のThreeBond移籍だが、これは福住本人の希望によるものだと当時から語られてきた。精神的にも辛い日々を過ごしたことで、この決断を後悔しそうになることもあったようだが、福住はこれまでの全ての経験のおかげで優勝することができたのだと感じている。
2022年からの4シーズンを、彼はこう振り返った。
「僕が最後に勝ったのがダンディライアンでしたが、そこから『このままでは自分が成長できない』と思ってスリーボンドに移籍させてもらいました。そこから色々学び、トヨタに移籍するタイミングでKCMGに拾ってもらいました」
「当時のKCMGは苦戦していましたが、その中でも2年前の富士で初ポールをとることができました。ただ優勝はできず非常に悔しいシーズンを過ごしました。昨年は常にトップ争いをするという意気込みでしたが、昨年の方がかなり苦しいシーズンになってしまいました」
「スリーボンド時代もKCMG時代も、辛い時間が長かったですし、その時にクルマの方向性や自分の走り方について考えるきっかけになりました。当時は『あの時の判断は間違っていたのかな』と悩む時期もありましたが、自分が『このままじゃダメだ』と思って違う道に進んだからこそ、今日の結果に繋がっていると思います」
「今までの経験があったからこそ、ルーキーレーシングで優勝することができたと思います」
写真: Masahide Kamio
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