レースの緊張感で“クタクタ”の平川亮。百戦錬磨の小林可夢偉、レース「は」余裕|ル・マン24時間凱旋会見

トヨタの一員としてル・マン24時間を戦った小林可夢偉と平川亮による凱旋会見が実施された。ふたりはお互い、違った形で慌ただしいレースウィークを過ごしたようだ。

Ryo Hirakawa, Kamui Kobayashi

 スーパーフォーミュラ第5戦が行なわれるスポーツランドSUGOで6月17日(金)、先日のル・マン24時間レースでTOYOTA GAZOO Racingの一員としてワンツーフィニッシュを飾った平川亮と小林可夢偉の凱旋記者会見が行なわれた。

 この会見はJMS(日本モータースポーツ記者会)とJRPA(日本レース写真家協会)の共催で実施され、JMSの高橋二朗会長とJRPAの小林稔会長からふたりに花束が贈呈された。

左から高橋二朗JMS会長、平川亮、小林可夢偉、小林稔JRPA会長

左から高橋二朗JMS会長、平川亮、小林可夢偉、小林稔JRPA会長

Photo by: Masahide Kamio

 まず、最高峰クラスでのル・マン初挑戦ながら見事優勝を飾った8号車の平川。優勝を決めた直後、勝利の実感がなく「もう少し喜べば良かった」と冗談めかして語っていたが、レース後にたくさんの祝福メッセージを受け取った上でも「それでも実感が湧かない」という。また小林から「逆にいつ実感湧くねん!(笑) スーパーGT(でチャンピオン獲得)の時はどうやったの?」と聞かれると「GTの時もなかったんですけど……」と返して会場の笑いを誘った。

 そんな平川は、トヨタの一員として初のル・マンを終えて疲労困憊だった様子で、「気付いたら寝てた、という経験は多分初めて」だという。テストデーから緊張感のある日々が続き、レースでもいきなりトップ争いを演じることになるなど、プレッシャーを感じ続けたが、レース自体は全体的にうまく走れたようだ。

 今回のル・マンで感じた「予想外の発見」について問うと、平川はこう答えた。

「想像の何百倍も疲れたので、来年はもう少しマネージメントしないといけないなと思いました。24時間レースの前のテストデーから張り詰めた空気感で、自分はそこで疲弊していたなと思います」

「レースに関しては、セブリング戦は自分が乗る前に8号車がリタイアしてしまい、スパ戦でも(決勝で)乗ることができませんでした。その中でいきなり急にル・マンのトップ争いに出るというすごいシチュエーションだったので、乗る前は正直ビビりましたし、緊張しましたが、出ていってからは普通に走れました」

「あと、可夢偉さんとずっと同じところで走っている時に感じたのは、トラフィックのマネジメントで僕は余裕を持ちすぎている部分があるということです。来年、色々なカテゴリーが出てきて、プッシュしないといけない場面が出てくると思いますが、その際はトライしたいと思っています」

「とはいえ、自分なりにマージンを保ちながら走れたことは自信に繋がりましたし、来年自分がどれだけ成長できるか楽しみです」

 一方昨年のル・マンウィナーである小林は、チーム代表と7号車のドライバーを兼務するという新たなチャレンジでのル・マンとなった。7号車は8号車と長らく“スプリントレース”を展開して僅差の優勝争いをしていたものの、レース後半にトラブルで勝負権を失う悔しいレースに。ただ戦前のインタビューで語っていた通り、マシンには相当の手応えがあったようで「悔しいけど、サルト・サーキットをあれだけ気持ちよく走れたことには感謝しないといけない」と総括した。

 そして平川がレース後に疲労困憊になったということに関連して、ル・マンでの経験豊富な小林の疲労感はどうだったのかと質問すると、彼はこう答えた。

「もちろん最初の頃に比べると、色んなことで余裕を持てるようになります」

「どこでエネルギーを使うか、どこでしっかり詰めていくか、うまく分担できるようになります。正直言うと、24時間レースはやればやるほど楽になるんです。僕は最近、毎年2〜3回24時間レースを戦っていますが、今年は走りという部分で言えば体力的にすごく余裕でした」

「ただ“それ以外のこと”がいっぱいいっぱいで、80%くらいそこにエネルギーを使ったと思います。そこをうまくやっていくこともひとつの試練かなと思います」

 逆を返せば、小林はレースに余裕を持てるほどに経験豊富だからこそ、チーム代表を兼務するという難しいミッションもこなせたと言えるかもしれない。小林に「俺ちゃんと代表できてたかな?」と聞かれた平川も「乗っていない時でもミーティングをしたりとか、VIP対応していたり大変そうでしたし、すごいなと思いました」と語っていた。

 今回のル・マンはお互いにとって、形は違えど大変な週末となったようだ。

 
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