「日本での経験は僕にとって大きな強み」キャシディが日本のレースで学んだもの
2021年は日本のレースを一旦離れてフォーミュラEに参戦することになるニック・キャシディ。彼が6年間、日本のレースを戦い、そこで得たものとは。
6シーズンにわたって日本のレースに参戦し、2021年からはフォーミュラEに挑戦するニック・キャシディ。スーパーフォーミュラやスーパーGTなど日本のトップカテゴリーでチャンピオンをかけて争ってきた経験が、今後大きな強みになっていくだろうと彼は語った。
キャシディが初めて日本のレースに参戦したのは2015年。全日本F3選手権に挑戦し、シーズン7勝を挙げてチャンピオンに輝くと、翌年からスーパーGTのGT500クラスに参戦を開始し、2017年にはKONDO RACINGからスーパーフォーミュラ参戦のチャンスも手にした。
スーパーGTでは5シーズンで5勝をマークし、2017年にはチャンピオンを獲得。スーパーフォーミュラでも4シーズンで3勝を挙げ、VANTELIN TEAM TOM’Sに移籍した2019年にチャンピオンを手にした。
今ではすっかり日本のレース界で中心人物となったキャシディだが、2021年はフォーミュラEにフル参戦することが決定……日本での彼の活躍は一旦見納めということになった。しかしキャシディ曰く、この日本での6年間で得た経験は非常に大きなものだったという。
「確かに僕はこの6年間でたくさんのことを学んだし、そういう意味ではチームも同じように収穫がたくさんあった期間だったことを願っている。 TOM'SもKONDO RACINGも、すごくレベルが上がったと思うし、それに僕も貢献できたことは誇りに思っている」
「何より僕にとって幸運なことは、過去4年間、すべてのカテゴリーで、チャンピオンシップをかけて最終戦まで戦えたことだ。極限のプレッシャーに対処し、そのシーズン最後のレースを戦うという経験ができた。その中で勝利を掴んだ年もあれば、惜しくも負けてランキング2位に終わった年もあった。そういった環境で毎年戦うことができて様々なことを経験できたから、今では大きなプレッシャーの下でも最高のパフォーマンスを発揮できる。それがドライバーとしての強みのひとつになっていると思うし、日本のレースで得たことをこれからも大事にしていきたいと思っている」
そう語ったキャシディは、将来再び日本のレースに戻ってきたい意思があると強調した。
「新型コロナウイルスの影響で、2021年も渡航制限が続くと思う。僕はいつも日本でレースを続けたいと思っているし、フォーミュラEでのレースと、日本でのレースを組み合わせたプランもやりたかった。しかし今それを難しくしているのが“渡航制限”だ。その状況が変わったら、また日本に戻ってきたいと思っている」
「僕は日本でのレースを通じて充実した時間を過ごすことができた。だから、このオプションを残しておきたいと思っている。数年前、フェリックス・ローゼンクヴィストも、フォーミュラEとスーパーフォーミュラまたはスーパーGTの両方を掛け持つことができていた。それが僕の中では理想のプログラムと言える」
2020年のスーパーフォーミュラの最終戦では、最後尾から4位まで追い上げる快進撃を見せたキャシディ。残念ながら2年連続のチャンピオン獲得とはならず、日本での最後のレースを飾ることができなかったのだが、「これが最後ではない。きっと、また近いうちに会えるよ!」と笑顔で再会を約束してくれた。
一旦日本を離れることになることになるが、将来また日本のファンの前にキャシディが帰ってくる可能性は十分にありそうだ。そして何より、日本での経験を携え、フォーミュラEに挑戦するキャシディの戦いぶりから目が離せない。
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