スーパーフォーミュラ
海外志向の太田格之進、来季の道は? 本人から“時間”を意識する発言「ホンダと共に成し遂げたい。互いのベクトルがズレていかなければいいなと」
海外でのレース参戦を望む太田格之進。スーパーフォーミュラ初王座に王手がかかる中で去就が注目されるが、本人はホンダの意向を意識した発言をしている。
戎井健一郎
公開日時: 2026/10/14 2:31
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写真:: Masahide Kamio
2026年のスーパーフォーミュラでタイトル争いを独走する太田格之進。残り2戦で大量リードを築いており、世間の注目は彼が今年SF王者になれるかどうかより、来季以降どんな道に進むのかというところに向いている。
太田と言えばここ数年、アメリカのレース界での存在感を強めてきた。昨年からIMSAスポーツカー選手権にスポット参戦しており、アキュラのLMDhマシンをドライブ。インディカー・シリーズのテストにも参加した。そして将来的なインディカー参戦も、自身の目標として公言していた。
ただ太田はこれまで、将来的なインディカー参戦を「焦っているわけではない」「急ぐ必要はない」とコメントしてきた。しかしながら今回太田に話を聞くと、そのトーンが少し変わったような印象を受けた。
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来年以降に関してコメントを求めると、彼はこう語った。
「難しいですね。戦う場所が日本かアメリカか、という話ではなく、どのカテゴリーなのか、例えばIMSAでもどのクラスなのか、そういったところに大きく依存します」
「どのカテゴリー、チームなのか、そういうところを含めて話していかないといけない。ただ単に行けたらいいわけではないし、結果を出さないといけないスポーツなので」
「少なくとも海外でレースをしないといけないと思っていますし、ホンダのファクトリードライバーとして、メーカーのためにという気持ちもあります。僕もホンダに助けられてきていますし、そういう意味では一緒に何かを成し遂げたいというひとつのゴールがあります」
「その中で、それを実現するために力を合わせて向かっている以上、彼らの考え方はリスペクトしないといけないし、もちろんそうするつもりです。だからこそ、そのベクトルが時間が経つにつれてズレていかなければいいなと」
時間の経過によって、お互いのベクトルがズレる……つまり、ホンダの考えが変わってしまうことへの懸念なのか? 太田はさらに続ける。
写真: Masahide Kamio
「ある瞬間ではそれぞれの目的・ゴールが一致していても、それが数ヵ月、半年、1年と経つと、実現可能性も含めて、できること・できないこと、やりたいこと・やらせたいことが変わってくることもありますよね」
「僕のゴールが変わることはないけど、ホンダがそれをどういう風に捉えて、どういう風に一緒にやっていけるのか……そこに関してはより一層密に関係性を持ってやっていかないといけません。そこで気持ちの乖離だとか、情報の不整合のようなものが出てきてしまうと、うまくいかなくなることも多くなると思います」
写真: Masahide Kamio
「とはいえ、今は同じ船に乗って同じ目標に向かっているという意識は強くありますし、スーパーフォーミュラもスーパーGTもホンダがすごく良い環境を用意してくれているおかげで結果も出せています。そういう意味ではリスペクトと感謝がありますし、ホンダのドライバーとして結果を残すことが僕の一番のプライオリティですし、それは間違いないことです」
「ただ、自分の大きな目標に対して、どれだけ同じ方向に向かってやっていけるかについては、これから変わる可能性もあるので、そこはしっかりと話し合ってやっていかないといけません」
やや抽象的な表現を交えつつも、将来に対するある種の“危機感”のようなものをコメントから滲ませた太田。さらに踏み込んだ質問として、「たとえ2027年のインディカー参戦が叶わないとしても、IMSAフル参戦など、何かしら2028年のステップになるような活動が海外でしたいということか」と尋ねた。
「そうですね、それは間違いないです」と言う太田。「僕も今後は自分自身でシートや道を切り拓いていかないといけない部分があると思っていますが……」と前置きしつつ、こう続けた。
「最近ではありがたいことにIMSAのパドックでも、アメリカのチーム関係者・ファンから、参戦当初とは比べ物にならないくらい声をかけてもらっていて、いちドライバーとしてのリスペクトを感じる瞬間が多いです。それはハイパーカーの結果を基に評価してもらえているのだと思っています」
「ただ、1年そこにいないだけでも忘れられてしまうかもしれませんし、その次の年(2028年)に戻るとなってもギャップが空いてしまいます。だからそこ(2027年)はフルじゃなくても出たいという気持ちもあります」
「IMSAがどうこうというより、契約や条件など色々な要素がある中で、そういうところを自分の中で取捨選択して、ホンダへのリスペクトを最大限持った中で判断していく段階なのかなと思っています」
ひとつ記しておくべきなのは、太田のアメリカでの活動は日本のホンダの一存で決められるわけではないということ。アメリカでのレース活動を行なうHRC USは、本田技研工業の完全子会社ではなく、あくまで米国ホンダの子会社。USの意向を日本側で完全にコントロールすることはできないため、そこにも難しさがある。
またHRC USは2026年をもって、アキュラブランドで参戦していたIMSA最高峰GTPクラスから撤退。もし来季太田がIMSAに活躍の場を求めるにしても、GTPは欧米メーカーのワークスチームが多く、入り込むのは容易ではないだろう。果たして、太田の海外挑戦への野望はどのような形で展開していくのだろうか?
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