スーパーフォーミュラ 第9戦・第10戦富士

小出峻を襲った人生初の珍事。冷却用ファンを取り付けたままスタート「あまりに大きくて笑ってしまった」 ”経験豊富”な小林可夢偉超え?

冷却ファンをマシンにつけたままレースをスタートしてしまった小出峻(San-Ei Gen with B-Max)が、当時の驚きを語った。

田中 健一

編集: 2025/10/12 1:15

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Syun Koide, San-Ei Gen with B-Max

Syun Koide, San-Ei Gen with B-Max

写真:: JRP

 小出峻(San-Ei Gen with B-Max)が珍事に見舞われた。富士スピードウェイで行なわれた、スーパーフォーミュラ第9戦の決勝レースでのことである。

 このレースはコンディション悪化のため、セーフティカー先導でのスタート。しかしセーフティカーランが解除されていないにもかかわらず、小出は突然ピットに飛び込んだ。そしてチームスタッフに、何やら非常に大きなパーツを手渡しているのが映し出された。

 実は小出は、マシンのエアインテーク部分に、冷却用のファンとオンボードカメラのカバーが一体となったデバイスを取り付けたまま、走り出してしまった。当初は小出も、このデバイスが付いたままになっていることを、気付いていなかったという。

 チームからこれについて伝えられた小出は、自らこのデバイスを取り外し、ピットに入るまで膝の上に抱えて、マシンをドライブした。

「伝えられたのは、確か1周目後半だったと思います。最終セクターだったかな」

2周目に入った小出峻(San-Ei Gen with B-Max)。この時、冷却ファンを膝に抱えているはず。

2周目に入った小出峻(San-Ei Gen with B-Max)。この時、冷却ファンを膝に抱えているはず。

写真: Masahide Kamio

 そう小出は言う。

「そんなのが付いたままなんて、全然気付いていませんでした。あれがついていることで、何か異常があるわけでもなかったんです」

「無線で言われて、何か小さいのが付いているだけかな……と思ったんですが、メチャクチャデカいのが出てきたんです。取り外してから、膝の上に置いていたんですけど、ハンドル切れないくらいデカくて……どっか他の場所に置けないかなとか思ったんですけど、無理でした」

 何か余計なモノが付いている状態で走り始めてしまったことは、これまでのキャリアでないと小出は言う。

写真: Masahide Kamio

「今までにはないですね。僕のレース人生の中ではないです」

 ただ、何かをつけたり、コクピットの内部に置き忘れた工具が残っていたり……という事例は、年間いくつかのレースを見ていると、時折ある事象だ。今年のF1モナコGPでは、ハースのオリバー・ベアマンが冷却ファンをつけたままレコノサンスラップを走り、5000ユーロの罰金を科された。またF1のハンガリーGPの際には、汗拭き用タオルが残ったままマックス・フェルスタッペンがコースインしてしまい、走行中にそれを投げ捨てたという事例もある。

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 小出に話を聞いていた際、ちょうど隣で別のインタビューを受けていたのが、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)である。小林はこれまでのキャリアの中で、”置き忘れ”に何度も見舞われたことがあるドライバーだ。

「隣の小林選手は、そういうことを何度か経験してますよ」

 そう言って小出を慰めていると、小林が当時のエピソードを話してくれた。

「懐中電灯がコクピットに残っていたこと、あるある。いっぱいあるよ。スパナが残っていたこともあった」

 さすが小林である。しかし小出の、”冷却ファンがついたまま”というのは、小林以上の出来事であった。

「ファンが付いていたことは、僕はないなぁ。でも、バトン(ジェンソン・バトン/マクラーレン時代の2010年モナコGP)は一回あったと思いますよ(実際にはラジエターのカバーを装着したまま走行。その結果、オーバーヒートでリタイア)」

 そう小林は続けた。

「でもそれをやったんでしょ? すごいじゃん。格好いい。でも今日のレースは、雨でレースにならなかったから、悔しいということもなかったんじゃない?」

 小出も「あまりの大きさに、怒るのを通り越して笑えてしまった」と語る今回のミス。今回は笑い話で済んだとはいえ、ひとつ間違えば大きな事故につながりかねないミスであり、改善を願いたいところだ。

 小出は気分を切り替え、ドライコンディションになると予想されている日曜日の第10戦に向けて意気込んだ。

「明日はドライだと思います。ドライの調子も悪くないです。むしろ今日は、ドライになってくれって願っていたくらいです」

 そう小出は言う。

「レインでも頑張ったんですが、惜しくも予選Q1を通過できず……でした」

「明日は確実にQ1は通過するつもりでいますし、少なくともポイントは絶対に獲得しよう……そういう気持ちです」

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