スーパーフォーミュラ冬の合同テスト“不参加”の野尻智紀は何をしていたのか? 王者が鈴鹿で「最後の答え合わせ」
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテストで、今季のチャンピオンである野尻智紀はマシンに乗ることなく外からテストを見届けた。新たな発見が多くあった訳ではないものの、良い“答え合わせ”の場となったようだ。
Tomoki Nojiri, MUGEN
Masahide Kamio
2021年、2022年とスーパーフォーミュラを連覇したTEAM MUGENの野尻智紀。しかし彼は2022年シーズン最後のテストとなる12月の合同/ルーキーテストにエントリーされなかった。
ただ野尻のテスト不参加の理由については、来季の野尻の去就とは無関係とされている。スーパーフォーミュラは来季からタイヤや空力パッケージの刷新が計画されており、現行パッケージでの走行はこのテストが最後の予定。TEAM MUGENはそんな状況下で野尻にテストをさせることよりも、SF初ドライブのリアム・ローソンとのプログラムに集中することにした形だ。
野尻は走行こそしなかったものの、TEAM MUGENに帯同してテストに“参加”。セッション中はS字の観客席で走りを見守る姿も目撃された。
今回のテストでは「特別何かをしていたという訳ではないです」と語る野尻だが、国内レース界随一のストイックさで知られる野尻が、この2日間ただぼーっと過ごして時間を浪費していたはずがない……彼はどんなことを考えながら過ごしていたのか?
「慣れ親しんだSF19の最後の答え合わせの場というか……コースサイドで見ている時に、クルマがこういう風に動いたらロスになるよな、こういう風に動かしたらタイムが出るよなとか、そういった確認をしていました」
素人目には、コースを走るマシンから読み取れるものはせいぜいライン取りや挙動を乱しているか否かくらいだが、野尻はマシンがスライドする直前にどういったことが起きているのかなどを詳細に分析していたという。
「滑ることはタイムロスになりますが、その直前に何が起きるかです。滑るにも原因があるので、そういうものを見ていました」
「同じような路面を走っていてもクルマによって振動の度合いが違っていたりしますが、それはフロントが跳ねているのか、リヤが突き上げられているのか。あとはハンドルを切った時に、どのあたりを起点にヨーイング(※マシンの垂直方向の軸を起点にした回転。平たく言うと左右の旋回)しているか。コーナーではロールした状態(マシンが左右に傾いた状態)でトラクションに移行していきますが、そこでどれだけ積極的にスロットルを開けられるのか……そういった動きの確認はできます」
Photo by: Masahide Kamio
ただ野尻によると、チームはスーパーフォーミュラが来季の正式導入に向けて開発中のアプリ『SFgo』で見られるオンボード映像を駆使してライバルの動きを研究していたようで、今回コースサイドで見た各車の挙動もおおむね想定通りだったようだ。野尻が冒頭で“答え合わせ”と表現したのはそのためだ。
「僕たち関係者はSFgoのアプリを見ていますが、『このオンボードの動きは、外から見たらこういう風に映っているんだろう』という想像がある程度リンクしていました。想像していた通りの動きを各車しているなという印象です」
テスト初日を終えた際、「外から見てこういう妄想をするのが好きなので、個人的には楽しかったです」と総括した野尻。前述の通り今回が現行パッケージでの最後のテストとなると見込まれており、今後に向けて何か大きな発見があったという訳ではないようだが、今回“答え合わせ”ができたことは野尻やチームにとってもひとつ収穫になったはずだ。
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