【特集】R35 GT-Rラストラン 第3回:星野一義「GT-Rは自分の分身みたいなものだった」

2021年スーパーGT最終戦でラストレースを迎えた、GT500の日産GT-R。選手としてスカイラインGT-Rを走らせ、監督としてR35 GT-Rを走らせてきた星野一義に話を聞いた。

【特集】R35 GT-Rラストラン 第3回:星野一義「GT-Rは自分の分身みたいなものだった」

 2008年にデビューして以来スーパーGTで主役を張り続けてきたR35 GT-Rは、2021年シーズンの最終戦をもってレースの場から引退することになった。この間、ニスモのエースとして大きなプレッシャーをはねのけてデビューレースで見事なポール・トゥ・フィニッシュを飾り、シーズン3勝を挙げてチャンピオンに導いた本山哲と、彼からニスモのエースを引き継いで17勝もの勝ち星をR35 GT-Rにもたらした松田次生。ふたりのエースに話を聞いたが、共通していたのは昔、全日本ツーリングカー選手権(JTC)で活躍したカルソニックカラーのスカイラインGT-Rへの憧れ、だった。

 そこでそのカルソニックGT-Rを振り回してしていたドライバー、かつては“日本一速い男”として知られたレジェンドで、今は自らのチームであるホシノ・レーシング=IMPULを指揮する星野一義監督にも話を聞いてみることにした。

 本山選手や松田選手は、星野さんがドライブしていたカルソニックGT-Rに憧れていた、と話してくれましたが……こう水を向けると星野監督は、開口一番「自分も昔からGT-Rに憧れていたんだ」と自らの人生とスカイラインGT-Rとの関わりを振り返ってくれた。

「まだGT-Rが登場する以前、18歳の時に免許を取って最初に乗ったのはスカイラインの、S54と呼ばれてた2000GTだった。その後、日産の大森と契約してワークスドライバーになったけど、自分たちがレースで任せられたのは小さいツーリングカーでブルーバードやサニー、前輪駆動のチェリーもあったけど、スカイラインGT-Rにはなかなか乗せてもらえなかった。でも(日産や大森の上層部から)声が掛かるよう、サニーやチェリーで誰よりも速く走ろうと頑張っていたら、GT-Rに乗れるようになった。ハコスカのGT-Rに初めて乗ってレースに出たときは嬉しかったよ」

「ハコスカが引退した後はしばらくGT-Rをドライブすることもなかったけど、R32が出てグループAのレースで走れるようになって、それも嬉しかったね。それからGT(全日本GT選手権)にもGT-Rで出て、引退した後は監督としてR35を走らせてきた。もうGT-Rとの付き合いは人生の大半になる。こうなると家族とか夫婦以上で、自分の分身みたいなものだよね」。星野監督はこう一気に振り返った。

 長年レースを取材してきて、星野一義=トップフォーミュラやグループCなどの純レーシングカーでの活躍が印象に残っていて、スカイラインGT-Rに関してはグループAによるJTCまで封印されたかのように感じてきていたのだが、彼の心の中にはレースで速く走ることと同じように、スカイラインGT-Rへの憧憬が深く根付いていたことを、今回のインタビューで改めて知らされる思いがした。

 ところで、2002年のシーズン途中で現役を退いた星野“選手”は、それ以降は監督に専念してきた。実は、星野“選手”が引退したタイミングは、結果的にR34スカイラインGT-Rが、RB26DETTからVQ30DETTにエンジンを換装したタイミングとシンクロしている。彼の“GT-R愛”が、ストレート6を降ろしたGT-Rを拒否した、と視るのは穿ちすぎだろうか。

 それはともかくR35だ。監督に専念して6シーズン目に、R35 GT-RがスーパーGTに実戦デビューを果たしている。“GT-R愛”に溢れた星野監督には、この新しいGT-Rはどう映ったのだろうか。その問いに星野監督は「R35がデビューした時はダウンフォースの量やパワーでもトヨタやホンダのライバル以上で、見事なパフォーマンスを見せていたけど、最近はライバルが2シーターのスポーツカーになって、なかなか簡単には勝てなくなってしまった」と分析した。

 そしてIMPULとしての作戦に触れ「でも文句を言っても仕方ないので、ウチ(IMPUL)ではドライバーに目一杯走らせることでやってきた。本山やブノワ(・トレルイエ)、(松田)次生もロニー(・クインタレッリ)もそうやってトップドライバーにしてニスモに送り出してきた。それがウチのやり方。平峰(一貴)や松下(信治)も頑張っているから、そのうちニスモから声が掛かるようになるんじゃないか? まぁそうなったらまた若いドライバーを見つけて育てるだけだけどね」。笑いを湛えた表情でこう答える星野監督の表情は一層穏やかに映った。

 
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