スーパーGT 富士公式テスト

ダンロップと共に全力で駆け抜けたタイヤ戦争の終焉は「惜しい」と伊沢新監督。今季投入プレリュードの見立ては「レースは大変だろう」

Modulo Nakajima Racingの伊沢拓也監督は、ダンロップと共に取り組んできたスーパーGTタイヤの開発が軌道に乗ってきた中、今季限りでタイヤコンペティションが終了することは惜しいことだと語った。

戎井健一郎

編集: 2026/03/15 11:38

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#64 Modulo HRC PRELUDE-GT

写真:: Masahide Kamio

 2025年限りでスーパーGTを引退し、今季は古巣であるModulo Nakajima Racingの監督に就任した伊沢拓也。伊沢新監督の下、大草りきとイゴール・オオムラ・フラガのコンビによる新体制となったNakajima Racingは、富士公式テストの初日にホンダ勢最上位の3番手をマークするなど早くも目立っている。

 2020年からNakajima Racingのドライバーとして、ダンロップのGT500タイヤの開発を引っ張ってきた伊沢。今季は監督に立場が変わり、ドライバーとダンロップのエンジニアとの橋渡し的な役割を担っているのかと問うと「僕が間に入ってもしょうがないですからね。ドライバーの生の声を聞いた方がダンロップさんも参考になると思います」と語る。

「それに、僕から何かアドバイスをする必要があるドライバーではありません。ここ(GT500)まで来ているだけあって素晴らしいドライバーですし、僕が口を出すようなものでもないので。『じゃあ何してるんだ』って言われちゃうと思いますけど(苦笑)。そういう意味ではスーパーフォーミュラの方が、オンボードを見られるので(監督業が)やりやすいですね」

 伊沢監督の後任としてGT500にステップアップしたのは、昨年PONOS NAKAJIMA RACINGからスーパーフォーミュラにデビューして初優勝も記録したフラガ。伊沢監督はそんなフラガについて昨年、かつてスーパーフォーミュラで活躍したストフェル・バンドーンやピエール・ガスリーに「肩を並べるような力があると思っている」と絶賛。さらには「クルマの話をしている時、イゴールの言っていることがすごく分かりやすい」とも語っていた。

イゴール・オオムラ・フラガ

イゴール・オオムラ・フラガ

写真: Masahide Kamio

 フラガのコメントの“分かりやすさ”は、GT500のタイヤ開発においても活きているようだ。

「彼とは昨年からSFで一緒にやっていましたが、GT500のタイヤを表現する、評価するというところは初めてです。ただ聞いている限りは非常に分かりやすいというか、僕が乗っていた時の感覚と近いものを感じる時があります」

「僕は僕で自分の物差しがある中で、彼の中でも表現の仕方などに決まり事があるんだろうなという気がします。僕が履いたことのないタイヤでも、『こういうタイヤなんだろうな』、『こういう動きをしているんだろうな』、というイメージができます。ひとことで“グリップ”と言っても、色々な表現がありますからね」

 迎えた富士テストでは、前述の通りホンダ勢最上位のタイムを記録するなど、少なくとも一発のタイムでは存在感を見せている。今回も非常に肌寒いコンディションとなっており、ダンロップタイヤの作動領域からは少し外れてしまっているというが、その中でこのパフォーマンスが出せていることは「ちょっと気持ち悪いくらい調子がいいんじゃないかなと思います」とポジティブなコメントを残した。

 ただその一方で、今季からホンダ陣営が投入したニューマシン、プレリュードGTについては辛口なコメントを残した。

「やっぱりスーパーGTはレースでのパフォーマンスが大切だと思います。その中でレースを戦いやすいかそうでないかで言うと、正直今のままならレースは大変だろうなと思っています」

 同じくホンダ陣営の100号車STANLEY HRC PRELUDE-GTをドライブする牧野任祐は先週の岡山テストの際、シビックよりもフロントタイヤがグリップするようになっており、ロングランは悪くないかもしれないと話していた。ただそれも、「混走になるとどうなるかは分からない」という注釈付きではあったが。

「それ(牧野らのコメントは)単独で走っているからそう思っている部分はあると思います。他人の後ろを走ると失うものも大きいですから」と伊沢監督は言う。

「あとは富士だとストレートが圧倒的に遅いので、少なくとも富士のレースは大変だろうなと。岡山のようなサーキットは純粋なパフォーマンスで戦えるかもしれませんが、横並びで加速勝負になった時は、シビックより難しい場面が多いのかなと思います」

「めちゃくちゃアツい気持ち」で開発に取り組んできたNakajima×ダンロップ

 そして今シーズンは、スーパーGTで長らく続いてきたタイヤ開発競争が行なわれる最後のシーズンとなる。Nakajima Racingはダンロップと共に懸命にタイヤ開発を進め、昨年は表彰台1回、入賞5回と近年では最も高い成績を残し、上り調子であることを印象付けていた。

 それだけに伊沢監督は、タイヤ戦争が終わってしまうことは「惜しい」と語った。

「中嶋企画とダンロップは本当に長く一緒にやってきたので、その最後を締めくくるべく、最後のシーズンでなんとしても勝ちたいです」

写真: Masahide Kamio

「ダンロップの開発陣も、(ダンロップブランドで参戦する)住友ゴムとしても、チームとしても、ドライバーとしても、そして僕としても、ひとつの目標に向かってめちゃくちゃアツい気持ちでやっています。去年から本当に戦えるタイヤになってきた中、最後になるのは僕は惜しいと思っています。長くやればやるほど、もっと戦えると思っているので」

「ただ、最後の1年にかける思いは本当に強いです」

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