スーパーGTのカーボンニュートラル化は“eフューエル”から? レース距離増加の計画も明らかに

スーパーGTを運営するGTアソシエイションの坂東正明代表は、同シリーズにおけるカーボンニュートラル化の第一歩として、水素と二酸化炭素を合成した液体燃料“eフューエル”の導入を目指したいと語った。

スーパーGTのカーボンニュートラル化は“eフューエル”から? レース距離増加の計画も明らかに

 世界的にも注目度の高い国内最高峰レース、スーパーGTシリーズを運営するGTアソシエイション(GTA)では、シリーズ戦が開催されるたびに定例会見を開いて坂東正明代表が日本モータースポーツ記者会(JMS)からの代表質問や、イベントを取材に来たジャーナリストからの質問に答えてきた。富士スピードウェイで開催された2021年シーズン第2戦・富士500kmでは、電動化など、カーボンニュートラル(編注:二酸化炭素の排出量と吸収量の関係をプラスマイナスゼロとすること)に向けてクルマが抱える問題などについて、スーパーGTシリーズを運営する立場から語った。

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■スーパーGTでのカーボンニュートラル化は、eフューエルから

 今回もまた、いつものように高橋二朗JMS会長が代表質問を行ない、まずは先日、FIA(国際自動車連盟)が新たな電動GT選手権の技術概要を発表したことを引き合いに、電動GT車両の導入に関するGTAの考えなどを聞いた。

 坂東代表は「GTAでは、2024年から導入する新しいGT500の車両規定のコンセプトについて、カーボンニュートラル化をはじめとする環境対応やコスト削減を強く意識し、各自動車メーカーや各タイヤメーカーと意見交換をしながら検討を進めています」としたうえで。カーボンニュートラル化はインフラの問題をはじめとして、重要な課題も多く、スーパーGTに限らず、モータースポーツ業界だけで判断できるものではなく、国が定める方針や方向性も合わせて考えるべき問題で「日本の(政府が決定した)方針や方向性に沿って技術開発を進めていくことが大切」と続けた。

 具体的なプランについては「車両開発を行なう自動車メーカーが直接的に参戦しているGT500クラスに加えて、スーパーGTではFIA-GT3のように販売されているレーシングカーを購入して参戦するチームが多いGT300クラスもある」とし、「スーパーGTでのカーボンニュートラル化は、eフューエルから入っていくのが良いと考えています」と続けた。

 そして「まずeフューエルから始めて、2027年に次なるGT500車両規定を導入するところでさらに大幅な環境対応を図り、そして2030年には100%カーボンニュートラルなエネルギーのパワーユニットでレースができるものを考えていきたい」と将来に向けての展望を語っていた。

 また、富士スピードウェイで3週間後に行なわれる24時間レース(5月22日スタートのスーパー耐久第3戦・NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース)においてトヨタが水素エンジンの実戦テストを行なうことについても触れ「スーパー耐久の24時間レースでトヨタが水素エンジンの車両を走らせ、モリゾウ選手(トヨタ自動車の豊田章男社長)が自ら乗ってテストされますが、そのようにモータースポーツが将来の選択肢を探っていく場になるのは良いことだと思います」とモータースポーツが技術革新の一翼を担うことに期待を寄せていた。

 念のために解説しておくと、水素をエネルギー源とするクルマとしてはトヨタのMIRAIなどの燃料電池車(FCV)がよく知られているが、これは水素を酸素と反応させて発電した電気でモーターを動かすもので、今回トヨタが24時間レースに持ち込む水素エンジンは、水素……正確には圧縮気体水素をそのまま燃料とした内燃機関。これまでに1世紀余りかけて蓄積されてきたガソリンエンジンの技術が応用できるものとして注目を浴びているものだ。ちなみに、eフューエルとは、水を電気分解した水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を触媒反応で合成した液体燃料で、現在のガソリンスタンドなどインフラもそのまま使用できるなど、カーボンニュートラルに向けての有効な手段のひとつとして注目を浴びている。

 また坂東代表は、これもカーボンニュートラル化への一歩として「来シーズンのスーパーGTの各ラウンドのレース距離を伸ばす計画がある」ことについても触れている。「数字はまだ正式なものではありませんが、たとえば現在は300kmで行なっているラウンドであればそれを350km程度に、今大会のように500kmで行なっているラウンドであればそれをたとえば560kmなどにする」としたうえで「レース距離は伸ばしますがタイヤの持ち込み本数は削減する方向とし、車両の燃料タンクの容量も現在と同じで、結果的により省燃費が求められるものとし、カーボンニュートラル化を進めていきたい」としていた。

■ついに実施されたFCY(フルコースイエロー)

 近未来図に関する質問に続いて、この日のレースで初めて導入されたFCY(フルコースイエロー)についても高橋会長から導入理由などへと質問が及んだ。坂東代表は「我々はかねてよりFCYを導入すべく準備を進めてきました。特にこの富士スピードウェイや次戦が行なわれる鈴鹿サーキットなどでは昨年までに、出場各車の協力を得て実走行でのテストを重ねてきており、そうしてやってきたことが生きて今大会からFCYを導入することを決断しました」とコメント。そしてその運用の詳細について「スーパーGTにおけるFCYの運用手段は、現時点ではマーシャルポストのフラッグとボードがメインで、各車両が搭載している無線やディスプレイは補助という位置づけです。その上で、昨日行なったテストでも大きな問題なくFCYを運用できることが確認できました」としている。

 実際、500kmの決勝ではレース中に3度、FCYが発令されたが大きな混乱もなくトラブルも聞かれていない。なお、富士と鈴鹿、もてぎでは昨年までにテストを重ねてきているが、それ以外のサーキット……これからシリーズ戦が開催されるスポーツランドSUGO(第5戦:9月11~12日)やオートポリス(第6戦:10月23~24日)では、これまでにテストが行なわれていないために「今後しっかり確認をしていかなければならないと思っています」としている。

 

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